2024年12月21日(土)秩父宮ラグビー場
第1試合 慶應義塾大学 24-73 帝京大学
▼慶應義塾大学共同記者会見
青貫浩之監督、中山大暉主将
青貫浩之監督
「今日の試合は、帝京大学さんという前年度優勝した相手、そして2か月前に40点近く差をつけられて負けた相手に対し、慶應らしく80分間向かっていこうという話をして臨ませていただきました。試合内容については、随所に慶應らしさは見られたかと思いますが、帝京大学さんの精度の高いラグビー、集中度に力及ばずというところで力負けしたと思っています。今シーズンどんどん成長しているこのチームが、今回負けてしまって残念ではありますが、来年またここに戻ってきて、もう1歩2歩上にいけるよう成長していきます」
中山大暉主将
「今日の試合を迎えるにあたっては、自分たちは慶應らしさをどこまで出すか、見ている観客の方々に『慶應ラグビーはこういうことをしたいんだ』『慶應ラグビーはどういうラグビーなんだ』ということを知ってもらいたい、そして帝京大学に勝ちたい、そういった思いで1週間準備してきました。先ほど監督からもありましたように、帝京大学のすごく強いキャリアだったり、切れない集中力とか、そういうところで自分たちがまだまだ及ばない部分が多かったですが、試合中何度も諦めそうになっても、『80分間とにかく慶應ラグビーを体現し続ける』と1週間言い続けてきて、試合に出た23人が最後までファイトし続けられたという点は、今後の慶應ラグビーにつながる80分間だったと思います。今日の試合はすごく悔しいですが、また来年以降、後輩たちには頑張ってもらいたいという思いが強いです。本日はありがとうございました」
―後半の最後のモールトライを振り返って
中山大暉主将
「バックスと、外でボールを展開するかモールで押すか話したのだか、やはり自分たちはこの1年間春季大会からモールを強みにしてきて『慶應といえばモール』と関係者の方から言っていただけている中、ここはしっかりフィジカルでぶつかっていきたい、慶應らしさを出すためにモールで押そう、とフォワード8人全員が言っていた。そこで最後まで押せたのはすごく良かったと思う」
―12-24になった前半34分のトライ。チャンスだったが、その後相手との集中力の差を感じた?
中山大暉主将
「あそこが試合のターニングポイントというか、慶應が接戦に持っていくためには、その時間帯を有利に過ごさなくてはいけなかったことは、自分では理解しながらも、チーム全体15人が、ボールへの執着だったり『この時間帯が大切だ』という認識がまだ取れていなかった。接戦でなく突き放すために自分たちがここを取るのが一番必要な要素だということ、ここが一番大事な時間帯だということを、試合中に相手が向こうで言っているのが聞こえた。あそこの我慢比べのところで、自分たちの甘さが出たというか、自分たちが帝京大学の後手に回ってしまったところだと感じる」
青貫浩之監督
「(主将と)全く同じことを思っている。今日ひとつラグビー面で改善点があるとすると、特にあのプレー。集中力が切れなかった帝京さんと、集中力が切れてしまった慶應との差が、この点差につながったと思っている」
―最後のコンバーションキックへのチャージについて。感情は?
中山大暉主将
「最後ホーンが鳴った後だったので、ここからプレーはないとは思いつつも、その後のキックオフのプランも話していたし、もしかしたらプレーがまだ終わらないかもしれない。80分間自分たちは『愚直なプレーをし続けよう』『どんなことがあってもポジティブに諦めずに慶應ラグビーを体現しよう』と言ってきた。主将に選んでいただいたからこそ、やはり自分がいちばん最後まで諦めずに、またプレーが続けばその後の流れがこの1歩2歩で変わってくるかもしれず、自分たちが決めたことに対して遂行した」
―就任して2シーズン。上位校との差をどう感じているか?
青貫浩之監督
「人材面で慶應大学が急に変わることはない。今日一番帝京大学さんとの違いを感じたのは、やはり80分間の集中力。所どころ慶應も前に出る良いディフェンスができたし、セットプレーは少し受けたがモールは振り切ることができた。こういったところは日々の練習で成長でき、鍛えることができると思う。そこを慶應は最低限やらないと、強豪校には勝てない。慶應が勝てる部分で負けてはならないと思っている。今日は帝京大学さんに本当に良い勉強をさせていただいた」
▼帝京大学共同記者会見
相馬朋和監督
「今日は、試合が空いた2週間~3週間きちんと準備してきたことを十分出せたゲームになったと思います。このような状態を維持しながら、次の試合に向けて成長できるよう、準備を進めてまいりたいと思います」
青木恵斗主将
「今日の試合は久しぶりのゲームになったのですが、自分たちの形であるフィジカルであったり、アタッキングマインドのラグビーができたのは良かったのですが、慶應大学さんの激しいプレッシャーに対し自分たちが受けてしまったところがあったので、そこは次に向けてしっかり調整し、頑張りたいと思います」
―慶應大学への対策は?
青木恵斗主将
「いくつかペナルティをしてしまって自陣に入られ、モールに対ししっかり準備はできたのだが、相手の良い形で組ませてしまったのは少し反省点。タックルのところは、ブレイクダウンでも1on 1を作って勝負しようとチームで決めていて、結果チームとして良いアタックはできた」
―負けられない戦い。メンタル面なども踏まえ言ってきた言葉は?
青木恵斗主将
「自分たちが今シーズン一番目標にしてきた選手権が始まって、負けられない戦いの中、しっかりチャレンジャーとして挑み続けるマインドであったり、自分たちで仕掛けて、相手に対し自分たちが用意したチャレンジをする、ということを今日は伝えた」
―対抗戦と比べて成長の実感は?
青木恵斗主将
「対抗戦で早稲田に負けてから、自分たちの形が明確になって、自分たちがどういう風に戦っていくか、チームとしてもはっきりしてきた。それらを自分たちが遂行し、自信にもつながっているので、今チームには勢いがあると思う。これまでの試合では少しコンテストキックが多かったイメージがあった。そこのバランスのところと、チームとしてフィジカルの強みを再認識でき、修正ができている。チームとして一人一人の役割が明確になってきている」
―準決勝に向けて詰めていきたいところ、大事にしたいところは?
青木恵斗主将
「対戦相手はまだ分からないが、チームとしては準決勝というマインドではく、常に決勝戦を見据えて、日本一になるために練習を続けることを意識し、対戦相手関係なく自分たちのラグビーをしていきたい」
相馬朋和監督
「キャプテンの言う通り。とにかく準決勝に残る4チームの中で、一番元気なチームになれるよう、チームとしてはコンディションなどに気を配っていくことが一番重要。インフルエンザ等々が流行っているので、注意していきたい」
第2試合 早稲田大学 53-10 近畿大学
▼近畿大学共同記者会見
神本健司監督
「早稲田大学さんに対し、まず自分たちの強みであるスクラムの面でいかにいけるかということ、早い展開については粘り強く入って我慢し続けてということを掲げていました。スクラムは前半思い通りの形でしたが、ラインアウトからモールのところで、こちらとしては止められず交わされるという展開となりました。全体的に早稲田大学さんは全てにおいて上だったというのが正直な感想です。この4年生は常に、リーダー、スタッフ含めミーティング等の練習を重ね、すごく良いチームになったと思います。当初チームが始まった時には、こういった場で僕らなりのラグビーができるとは思っていませんでしたが、横にいる中村キャプテンと一緒にこの1年何やってこれて、幸せだと思っています。彼の姿を後輩たちが見てまた良いチームを作ってくれて、またここに戻ってきて勝利したいと思います。本日はありがとうございました」
中村志主将
「近畿大学としては、セットプレーの部分などでチャレンジし、今年のチームの目標では関西一・全国ベスト4、フォワードの部分では日本一を掲げてやってきました。セットプレーの部分ではラインインアウトをしっかりこだわって、そこの重ねてきたところの集大成を、今日早稲田大学さんにぶつけようとやってきました。結果ではこういった形で敗北しましたが、自分たちの集大成を早稲田大学さんにぶつけることができたと思います。一番頼りになる周りの選手もそうですが、チームの中には下級生の存在もあり、近畿大学にはとても良い下級生がいます。下級生たちは必ず強いチームになるため、この舞台にまた上がるために努力してくれると思うので、これからも近畿大学に注目してほしいと思います」
―風上で戦いながらの前半は?ベスト4との距離感は?
中村志主将
「前半かなり風が強く、その中でもしっかり敵陣でプレーしている時はスコアもできてスコアされないこともできていたが、1つのペナルティで自陣に入ってしまわれた時にすぐにスコアされてしまい、徹底して順に行った方が良かったというのは修正点。 伝統ある早稲田大学さんのテンポの早いアタックは素晴らしかったが、フィジカルだったりセットプレーでは戦い方にあまり差がないと感じている」
―関西全体でのフィジカル面ので組み立ては?
神本健司監督
「近年、関西の中から3チームが出ていることが多いが、上位の京都産業大学さん、天理大学さんは関西の中でも安定した力があるチーム。それに3位以下が肉薄するようしっかり努力してきた結果がこういった形になっている。こういうリーグが、早稲田大学さんは対抗戦だが、対抗戦のところは良いレベルでやっているので、関西の方もそこのところをレベルアップすれば良くなると思う」
―スクラムはどういう印象だったか?
中村志主将
「前半は試合ができていた。後半では早稲田大学さんの修正力がすごくて、かなり修正してきて、前半とは全く違うスクラムを組んできた。そこに対応できなかった」
―第2節で関西大学に負け、崖っぷちからここまで来たシーズンを振り返って
中村志主将
「関西Aリーグでは開幕戦で良い形でスタートできて、2節目で関西大学にああいった形で負けてしまった。自分たちはしっかり気を引き締めて関西大学さんに臨んだのだが負けてしまい、あの負けからリーダー陣だけでなくチーム全体の士気も大きく変わった。チームでは僕たちはスタンダードという言葉を声に出してやっているのだが、そのスタンダードの部分が、あの試合の後高くなって、そこが出来ていない選手に対しそれを見逃すのではなく指摘する声も出てくるようになり、意識が高くなった。あの負けが今のチームにつながっていると思う」
神本健司監督
「開幕を終えてから決して緩めることなくやっていた。そこ(Aリーグ第2節関西大学戦)では欠場していたメンバーもいて、強みのスクラムが上手くいかないことのフラストレーション、天候、最後後半には足をつった者も5~6人いて、蓋を開けてみたら負け。こうったことが起こるのは、学生スポーツの中では多少なりともメンタリティにもよるということを知らされた。そういった部分は、自分がしっかりと学生たちに伝えていかなければならないのだが自分も未熟だった。今後はこれらを生かしてより良いチームをつくっていきたい」
▼早稲田大学共同記者会見
大田尾竜彦監督、佐藤健次主将
大田尾竜彦監督
「関西リーグ、選手権で、非常に勢いのある強みのしっかりしたチームである近畿大学さんに、しっかり勝負できたことは非常に良かったと思います。自分たちのディフェンスでまだ課題はありますが、これから準決勝へ向け、しっかり準備して臨みたいと思います」
佐藤健次主将
「勝てたことは良かったと思うのですが、精度とか自分たちのフォローアップのところができたかと言えば全然そうでなくて、すごく課題が残る試合だったと思うので、来週から1月2日に向けもう1回チャレンジャーとして良い準備ができるようにしていきたいと思います」
―課題における精度とは?
佐藤健次主将
「まずアタックから22メートルに入ったところの取り切る精度とか。今回の試合は22メートルに入る時間が多かったが、そこでのラインアウトミス、アタックしている中でのパスミス、キャッチミスが多かったという反省がある。風が強かったのに今まで通りの幅で、深さでラグビーをしたり、ラインアウトも今まで通りのサイン出しをしてしまっていた。風が強い中での戦い方、距離を一歩寄せるとか、そういったところまでこだわっていけると良い。スクラムを関西のチームと初めて組んで、間合いの取り方や相手の掛け具合などが、前半上手くいっていなかったが、後半はしっかり集中できたので、スクラムについては悪かったけれども修正ができた点は良かった」
―4強からの戦いで大事なことは?
佐藤健次主将
「一個一個の精度のところ。今日みたいな軽いミスをしてパスカットされてしまったら一気に負けるゲームであるし、ベスト4を経験しているのは3年と4年だけ。どういうところかだとか、こういうミスをしたら負けてしまうとか、3・4年生中心に言い続けて、もっとミスのない精度で良いアタック・ディフェンスをできると良い」
ー後半のスクラム、具体的にどのあたりを修正?
佐藤健次主将
「関東の対抗戦チームではあまりないような、ほぼ僕たちに寄り掛かるほどの圧力があって、そういう相手に自分たちが止まってしまって前半やられてしまったが、そこを一歩前で仕掛けてスクラムを組めたのは良かった。今後そういうチームも増えてくると思うので、そういうチームに対しても試合中にアジャストできるようにしたい。スクラムマネジメントは僕の責任でもあり、練習中もゲームライクにやっていきたい」
―早明戦から間が空いての試合の難しさは?
大田尾竜彦監督
「難しさはあるし、やはりまず近大が非常に良いチームで、非常にコンタクトがしっかりしていて、スクラムの強みがあって、スピードがあって、体が強くて、といったことが大前提であった。その中で服部亮太が入って、服部のゲームメイク、エリアマネジメント含め今までとは違うようなところがあり、3本取ったことでいつものように服部に任せたところで、アタックするマインドが少し薄くなった。実際前半の戦い方は風上の戦い方で、フォワードはきつかったと思うが、崩れることが無かったのは地力というか、ディフェンスが積み重ねてきたものの手応え。あの辺はもう少し細かくコーチングしないといけないが、詰め込み過ぎてもいけないので。3週間空いての試合の中で、厳しい相手から良い課題をもらった」
―まさに近大は良いチームで、嫌な相手を乗り切れたのは大きい?
大田尾竜彦監督
「機能していたのはディフェンス。ちょっとしたミスはあるが、基本的にはタックルした人間が素早く起きて次に行くところ、そういったところで崩されなかったのが収穫。上から見ているとあまり崩れていなかった」
―フルバックの選手起用について
大田尾竜彦監督
「一番良い状態の選手を使うのが今年のポリシー。植木太一に関してはスピードが非常にあって良かった」
―ディフェンスのどういうところが良くなっている?
佐藤健次主将
「まずは細矢聖樹がディフェンスマネジメントをしている。僕らからの細矢への信頼は厚い。スコアが3本取られるか取られないかというところのディフェンスの整備を、細矢がしてくれているので、フォワードとしてはノーストレスというか、僕たちは自分たちでも判断はするが細矢の声を聞いていれば良いというシーンが多い。ディフェンスが良いのは、フォワードがタックルしてすぐ立ち上がるのもそうだが、細矢のディフェンスマネジメント能力が長けているところが大きい」
以上