公益財団法人日本ラグビーフットボール協会(以下「JRFU」、会長:土田 雅人、東京都港区)は、独立行政法人国際協力機構(以下「JICA」、理事長:田中 明彦、東京都千代田区)と2013年7月に締結した「JICA-JRFUスクラムプロジェクト」(以下「本プロジェクト」)に関する覚書を5月12日付で延長しましたので、以下のとおりお知らせいたします。
JRFUでは、本プロジェクトをJRFUが取り組む国際協力事業「アジアンスクラムプロジェクト」の一環と位置付け、ラグビーを職種とするJICA海外協力隊の派遣を通じ、主としてアジアを対象とする様々な国に指導者を派遣し、ラグビーの普及と活動を通じた国内の人材育成に取り組んできました。
これまでの成果を踏まえ、今般締結した覚書においては、ラグビー以外の職種の隊員によるラグビー関連活動も協力の視野に入れ、また、対象国をJICA海外協力隊のすべての派遣国として、ラグビーを通じ開発途上国における健全な青少年の育成及び社会の発展、及び日本におけるラグビー関係者の人材育成及び裾野拡大を図ります。
JICA青年海外協力隊・大塚卓哉事務局長(左)とJRFU 安井直史 CDO(事業遂行責任者 普及育成担当)(右)
締結内容概要
- 目的:
本プロジェクトは、アジアで初のラグビーワールドカップ(以下「RWC」)となったRWC2019日本大会のレガシーを後世に残し、日本へのRWCの再招致を目指すJRFUの活動とJICAが行うJICA海外協力隊との連携によって創出が期待される相乗効果に鑑み、JICAが主にラグビーを職種とするJICA海外協力隊の派遣を行い、JRFUがそれに協力を行うことを通じて、開発途上国における健全な青少年の育成及び社会の発展、及び日本におけるラグビー関係者の人材育成及び裾野拡大等を図ることを目的とする。 - 期間:
5年(2030年3月31日まで) - JRFUの主な協力内容
・主にラグビーを職種とするJICA海外協力隊派遣に係る告知や情報発信等の広報
・派遣前や派遣中の隊員へのラグビーに関する技術的なアドバイス - 主な活動実績:
11か国に93名の協力隊員を派遣(2025年5月時点)
派遣国:インドネシア、ラオス、インド、スリランカ、ウズベキスタン、キルギス共和国、セネガル、マダガスカル、フィジー、モンゴル、ネパール
再締結の調印の様子
- 安井 直史 JRFU 事業遂行責任者(CDO普及育成担当)
「今回、JICA-JRFU間での協定を再締結できたことを大変嬉しく思います。私達もこの取り組みを通じて、多くの国との関係性を深め、まさにスクラムを組んでラグビーの普及に一緒に取り組んできました。
2019年のRWC以前は競技人口が少なく、プレー環境が整っている国が少なかったアジアでも、RWCのレガシープログラム等を通じて、ラグビーはこの10年で大きく成長し、本プロジェクトはこの成長に大きく貢献して来ました。
ラグビーが盛んでない国にとっては、協力隊の派遣は、各国のラグビーの普及にとって大変重要であり、協力隊の皆さんの活動によって世界中の多くの選手・子どもたちがラグビーをプレーし、楽しむことができています。
次回の日本へのワールドカップ招致にむけて、2019年からのレガシーとして、引き続き本協定を通じて、今後も多くの国にラグビーの普及とラグビーの価値を通じた人財育成に取り組んでいけることを楽しみにしています」
- 大塚 卓哉 JICA 青年海外協力隊事務局 事務局長
「JICA海外協力隊は1965年度の派遣開始から2025年でちょうど60周年。スポーツ分野についても初代隊員より長きにわたって取組み、すべての人々がスポーツを楽しめる平和な世界の実現を促進してきました。2013年に開始した本プロジェクトでは、これまでに90名以上のラグビー隊員を派遣し、ラグビーの普及やラグビーを通じた青少年の育成など、多くの成果を上げてきました。この度の連携協定の再締結は、JICA-JRFUの協力関係が引き続き強固であることを示すものです。
JRFUからは協力隊の派遣前から活動中隊員の支援まで各段階に応じた支援をいただいてきました。ワールドラグビーが示している『品位・情熱・結束・規律・尊重』というコアバリューに加え、日本独特の『No Side』『One for All, All for One』の精神を開発途上国の人々に伝えています。近年は派遣国をアジアに限らずアフリカなど全世界を対象とし、プロジェクトの拡大に取り組んでおり、これらの活動が更に発展し、ラグビーを通じて世界中の人々に希望や可能性をもたらすことを願っています」
- 古川 新一 JICA 青年海外協力隊事務局 技術専門委員(ラグビー)
「2013年にJICA海外協力隊としてスリランカに赴任して以降、現在はJICA技術専門委員としてJRFUの国際協力事業に関わり続けています。ラグビーには、言語や文化を越えて人と人とをつなぎ、信頼関係を築く力があります。スリランカでの活動を通じて、スポーツが若者の自信や地域の活性化につながることを実感しました。JRFUとJICAの連携は、ラグビーがまだ広く普及していない国々でも可能性を広げる取り組みであり、今後さらに多くの国や地域でその力が活かされることを期待しています」
以上