第31回全国高等学校東西対抗試合は、12対12の引き分けとなり、東軍の17勝、西軍の12勝、1分となった。
試合は、ノーサイド直前、西軍のトライが決まり、ゴールキック成功後にゲーム終了のホイッスルが吹かれ、まさに、先のワールドカップでの、日本対カナダ戦での幕切れと同じ終り方であった。

冷たい雨が降りそそぐ中、正午から、毎年恒例の高校東西対抗が東軍のキック・オフで始まった。ゲームは前・後半ともに東軍がアタックを仕掛け、終始、西軍陣内でプレイを続けた。
前半24分、それまで東軍のアタックを、自陣で思い切ったディフェンス、タックルでしのいでいた西軍が、東軍ゴール前15mで得たラインアウトから、モールを押し込み、この試合の初得点(7番小河がトライ。ゴール不成功)をあげる。0対5、西軍リードで前半を終了。

後半9分、東軍が反撃する。西軍ゴール前15mでのスクラムで、西軍FWがサイドアタックを仕掛けたが、これをタックルからのターンオーバーにより、23番安達がトライ(ゴール成功)。7対5とする。東軍は15分にもゴール前でのモール、ラックからNO8ロトアがトライ(ゴール不成功)、12対5とする。西軍は終始防戦を続けていたが、ロスタイムの31分、東軍のキックを自陣からカウンター攻撃し、ラックを連取して、17番井上がタッチライン沿いを駆け抜けトライをあげる。ゴールキックも決まり12対12の同点としたところでノーサイドとなる。

今回の東西対抗は、両チームともにキック、タックル、モール、ラック等を思い切ってプレイしており、ともすると点の取り合いとなり、大味なゲームとなりがちであるが、両チーム選手の気持ちの入ったプレイにより、引き締まった内容となった。反則数が両チーム合わせて8と少なかったことも、好ゲームとなった一因であろう。
今回、東西対抗に参加した選手にとっては、国立競技場でプレイしたことは良い記念となったであろう。各人の今後の更なる活躍に期待する。

高校東軍 12-12 高校西軍   高校東軍 12-12 高校西軍
高校東軍 12-12 高校西軍(1月12日 at国立競技場)

下村監督(右)と仲宗根キャプテン

下村監督(右)と仲宗根キャプテン

◎東軍
○下村大介監督(四日市農芸高校)
「監督として、むちゃくちゃ楽しかったです。もう、両チームとも本当によくやったので、引き分けで良いと思って、最後のコンバートは『入れ』って祈っていました」

――生徒たちには何と?
「こういう大きな試合ができるのは日本中で50人だけだ、幸せなことと思う。君たちの高校生としてのプレーを楽しみに応援の人たちが来ている。まず、選ばれたことに対して恥ずかしくないプレー、自分らしいプレーをしよう。悔いなく楽しんできてほしい、と伝えました。練習態度を含め、宿舎でも素直な選手たちで、JKが言ったように、人格がプレーに出る、彼らの人間性が素晴らしい、ラグビーっていいなと思いました」

○仲宗根健太キャプテン(桐蔭学園)
「僕は東福岡に花園で敗れたので、個人的には勝ちに行こうと考えていました。国立という素晴らしいグラウンドでやれて幸せです」

――雨は影響したか。
「雨の中、ゲームの運び方が難しかったです」

梅本監督(左)と山下キャプテン

梅本監督(左)と山下キャプテン

◎西軍
○梅本勝監督(尾道高校)
「コンバインドながら気持ちの入った、魂の入ったラグビーをやってくれて感動しました。皆が体を張って仲間作りをして、絆が生まれて、一生、あの時一緒に戦ったという友情が生まれる試合だったと思います。いつまでも忘れないでいてほしいと感じました」

――U-20について?
「田中先生からもこのメンバーが中心となって戦うと聞いています。期待しています。私も、この先があるからではなく、一瞬のボールを仲間のために大切にしていくことを伝えました。人格形成された、本当のラガーマンが日本に求められていると感じます。子どもたちには、チャンスをつかんでほしいと願っています」

○山下昂太キャプテン(東福岡高校)
「まず、こういう機会をいただいたことに対して感謝したいと思います。高校時代で最後の試合を国立という素晴らしいグラウンドでできて、素直に楽しかったです」