早稲田、安定した実力で法政を破り、準決勝に進出

前夜からの雨が朝方まで降り続いていた、東京・青山、秩父宮ラグビー場。午後には雨もあがり、明るい日差しがさしていた。
今シーズンの早稲田は7戦全勝で対抗戦を制している。一方、法政は4勝3敗の4位でリーグ戦を終えている。法政は果敢にFWとBKが一体となったオープン攻撃を繰り返すが、早稲田は終始、強力FWを前面に出した戦いを挑み、法政を圧倒した。
午後2時、メインスタンドから観て右から左に攻める早稲田のキックオフにより試合開始。開始5分。法政ゴール前5メートルの地点で早稲田ボールのスクラム。早稲田FWが法政FWを押し込み、NO8 豊田がスクラムトライ(ゴール成功。7点を先取)。12分。早稲田、法政ゴール前ラインアウトからFWがモールで押し込み、2番 臼井がトライ(ゴール成功)。その後、17分にも再び、法政ゴール前からFWがモールを押し込みトライ。さらに25分には、早稲田陣内5メートルの地点でのラインアウトから、右に展開。センター12番のところでラックとし、すかさず左に展開。10番から14番に渡り再びラック。ラックでの激しい攻防の末、3番畠山が中央を突破。法政15番を振り切り50メートルの独走トライ(ゴール不成功)。早稲田は、その後、32分にもトライを重ねる。
一方、法政も果敢に、チームの特徴であるグラウンドを広く使ったオープンラグビーを展開するが、早稲田の、前に出るディフェンスの前に、なかなか早稲田ゴールを割ることができない。ようやく、終了間際の39分。早稲田陣でのラインアウトから右に展開し、15番城戸がトライ(ゴール成功)で7点を返す。7対29、早稲田が22点をリードして前半を終了。

後半に入ると、前半の展開とはうって変わり、両チームの激しい攻防が続き、なかなかスコアが動かない。特に法政のディフェンス、ブレイクダウンでの健闘が光り、早稲田の連続攻撃を阻止している。早稲田は、ようやく29分に前半と同じように、法政ゴール前からのラインアウトからFWがモールを押し込みトライ(ゴール不成功)。また、34分には、法政陣内でのラインアウトからFW・BKが一体となった連続攻撃から、14番早田が、この日初めてのBKによるトライをあげる(ゴール不成功)。その後は、両チームともに、点数を加えることができずに試合が終了。7対39で早稲田の勝利となる。
法政は、グラウンドを大きく使ったランニングラグビーで早稲田に対抗し、BKもアタック、ディフェンスで健闘した。しかし、スクラム、ラインアウト等のセットプレイで終始早稲田のプレッシャーを受け、思うような展開ができなかった。一方、早稲田は、内容が示すとおり、奪ったトライ7本中6本をFWで取っており、早稲田FWの強さ、安定した実力を示した試合であった。

法政大学 7-39 早稲田大学   法政大学 7-39 早稲田大学   法政大学 7-39 早稲田大学
法政大学 7-39 早稲田大学(12月23日、2回戦 at秩父宮ラグビー場)

法政大学の駒井監督(右)と、和田キャプテン

法政大学の駒井監督(右)と、和田キャプテン

◎法政大学
○駒井孝行監督
「セットプレーを中心に相手を抑えられたとは思いますが、スクラム、特にラインアウトからのモールのところであれだけ行かれたのは誤算でした。早稲田さんのディフェンスのプレッシャーが強くて、残念な結果です」

○和田耕二キャプテン
「前半、ゴール前の敵のラインアウトモールからトライを獲られて、そこを止め切れなかったことが最大の敗因です。バックスは五分以上に戦えたと思います。後半、敵を自陣に入れない戦いもある程度できました。後半は自分も出て、すごく楽しんだ試合でした。結果は負けましたし、悔いは全然ないわけではありませんが、楽しい試合でした。点差を見れば完敗ですが、最後まで集中力があって、試合をやり切ることができて、こういう試合は少ないのですが、僕の中では満足です」

――早稲田については。
「予想通りと言うか、実力的に全然届かないチームではない、もっと近いと感じました。来年、後輩たちが戦ってくれると信じています」

法政大学 7-39 早稲田大学   法政大学 7-39 早稲田大学

早稲田大学の中竹監督(右)と、権丈キャプテン 早稲田大学の中竹監督(右)と、権丈キャプテン

◎早稲田大学
○中竹竜二監督
「今日のマッチスローガンは『自分たちで仕掛ける』と『絶対に受けない』でしたが、ちょっと受けた部分があったと思います。色々な局面で相手との間合いの詰め方、アタックも自分たちで仕掛けて、スペースをつくりたかったが、法政さんのほうが仕掛けていた部分があったかと思います。FWに、今日は自分たちの鉄壁のモールを完成させるために獲って来いと送り出し、ハーフタイムでは100点満点をあげたいくらいでした。しかし、そこにこだわった分、後半に回そうとしたが法政さんも切れずにディフェンスして、自陣から脱出するまでかなりの時間がかかってフラストレーションが溜まりました。1回戦、2回戦とチームとしてやるべき課題が多いですが、これだけのビッグゲームになれば当然かとも思います。これから、また練習していきます」

――(準決勝の)帝京戦は?
「今日のことしか考えてきませんでしたから、これから考えます。筑波が勝つかと思っていましたが、圧勝されたということは、多分、帝京さんは相当力を付けていると思います。前回とは違うチームになっていると思います」
――ベスト4が対抗戦のチームばかりだが。
「今年に限って言えば、たまたま上回っただけで、紙一重だと思います」
――フラストレーションというと?
「まあ、安心は安心であるが、フラストレーションも溜まる試合でした。こういうふうにすれば良いというプレーや、レフリーとの解釈の違いもあり、勢いの出ないゲームでした。しかし、こういうゲームをどこかで経験しておきたかったので、その意味では良かったと言えます。しっかり反省していきたいと思います」

○権丈太郎キャプテン
「点数としては、差は開きませんでしたが、実際、こちらが攻めるフェイズがなくてFWで獲れてしまうから獲ってしまおうと攻めてしまいました。そこまで悪い印象はなく、FWは完璧に勝っていたので、自分たちとしては焦ることなくゲームがつくれました。テンポを上げられず、相手のディフェンスの厚いところを攻めるなど、リズムがつくれない課題もありましたが、根本的なところは圧倒できたので、反省ばかりという試合ではなかったと思います」

――法政の和田キャプテンについて。
「小さいときからのライバルチーム同士で、多分、小学校低学年から高校まで対決してきました。思い入れを感じるし、和田だけじゃなく、福岡出身の奴らが対抗戦、リーグ戦で活躍してくれてすごく嬉しいです。クラブが発達している九州にとって良いことだと思います。法政さんのBKのスキルは高いと思っていましたが、今日もラインスキル、パススキルは正直言って、予想以上でした。少し食い込まれることも多々あって、思い通りの前へ出るディフェンスができませんでした。法政さんの意地を一つ一つのプレーに感じました」