ノーホイッスルトライで始まった大学選手権の第一回戦。関東の大学と関西の大学の力の差がはっきりしたゲームとなった。慶応2つ目のトライは、中央付近のスクラムから出たボールを右ブラインドに回し50mを14番山田が独走トライ。その後も、BKによる二次三次の攻撃から展開、山田(14番)が4T、増田(13番)、小田(15番)が得点、すべてBKによる6トライを奪ってゲームを決めた。慶応の低いタックルと、大体大ラインに対するプレッシャーで、大体大の少ないチャンスをつぶした。
大体大は、SOによるハイパンキックと、WTBに渡す長いパスキックを多用したが、着地点での競り合いに負けたこと、ゴール前のラインアウトからモールを形成しながらも押し込めなかったことなどで、前半に得点が得られず自分たちのラグビーに持ち込めなかった。

後半、大体大FWの動きが良くなり得意とするモール攻撃が見られたが、大きく前進することができず、BKに出したボールもゲインラインを切ることを阻止された。大体大は何回もゴール前でPKの機会を得たが、タッチキックからモール形成でトライを狙う戦法に固執した。唯一の得点は、後半25分頃SOのキックパスが味方11番の後方にずれ、ボールを追う慶応のディフェンスラインに隙間を生み、クッションボールをうまく処理した11番がすり抜け左中間にトライをしたものである。
反則は、前半4(体2、慶2)に対して後半14(体1、慶12)であったが、この違いと得点とのギャップは何か、両チームとも分析が必要と思う。前半は、反則を犯すことのないほどボールが動き、後半は大体大FWが力を出し切って戦っている。後半の慶応FWの苦しさもうかがえる。慶応は、ノーホイッスルトライが2つ、個々のパワーの差なのか、低いタックルで相手に想像以上のプレッシャーを与えたのか、大体大が戦ってきた関西大学リーグ戦での戦い方が通用しなかった一戦であった。

大阪体育大学 5-72 慶應義塾大学 大阪体育大学 5-72 慶應義塾大学

 

C:2007, JRFU(Photo by A. HASEGAWA)

大阪体育大学 5-72 慶應義塾大学(12月16日、1回戦 at近鉄花園ラグビー場)

◎大阪体育大学
○坂田好弘監督
「コメントすることがない。想像以上の慶應のプレッシャーだった。練習通りのことができないくらい、ユニットでも個々でも力の差があった。常に先手を取ろうと、キック・モールと攻め手を変えたが、通用しなかった。今までに無い経験であり、個々のパワーが違うと痛感した。シーズン通りの戦い方だったが、慶應義塾には、まったく歯が立たなかった。早いプレッシャーを意識して、キックパスも戦術のひとつに加えたが駄目だった。突破した後、早いつなぎを意識するラグビーを去年から目指しているが、今日はそれ以前の問題。個々の能力の差は大きい。同じことをやっていてもこの差は詰まらない。長所に磨きをかけることを今後考える必要がある。まとまりを重視したチーム作りだったが、個々のパワー、スピードで負けないメンバーを揃える必要があるかもしれない。非常に悲観的な考え方だが、厳しい現実を突きつけられた」

○大川雅史主将
「キックからゲームを組み立てる算段だったが、自分達のペースに持ち込めなかった。DF力で完敗したことは、今後の課題として残る。慶應のFW・BK一体の動きは見事であり、敵ながらあっぱれと言わざるを得ない」

大阪体育大学 5-72 慶應義塾大学 大阪体育大学 5-72 慶應義塾大学

 

◎慶應義塾大学
○林雅人監督
「関東対抗戦で安定したプレーができなかっただけに、今日勝ててホッとしている。大阪体育のラインアウトからのモール攻撃を警戒していただけに、キックは意識的にノータッチを狙った。関東対抗戦では、低いタックルが決まらなかったが、今日は効果的に決まっていた。この数週間、練習のいい流れが浸透していた。
(WTB山田は)膝を打撲したので、点差が開いていたこともあり、大事をとった。今日の課題としては、カウンターアタックのDFで中途半端に前へ出てしまったこと。東海戦については、攻撃に関して、縦を中心に組み立てていきたい。今日の戦い方には手ごたえを感じている」

○中浜聡志主将
「監督のプラン通りのゲームができた。低いタックルで対処できたことが今日のゲームのすべてだと思う。早慶戦ではWTB山田を生かすゲームができなかったが、今日は個々の力で勝負し、結果山田に頼らないプレーができた。大会前は非常に不安だったが、東海戦は今日のゲームならいけると思う」

大阪体育大学 5-72 慶應義塾大学 大阪体育大学 5-72 慶應義塾大学

 

大阪体育大学 5-72 慶應義塾大学 大阪体育大学 5-72 慶應義塾大学

 

大阪体育大学 5-72 慶應義塾大学 大阪体育大学 5-72 慶應義塾大学