晴天に恵まれながらもグラウンド上は寒風が吹きすさぶ、今シーズンに入って最も体感温度が低い日であった。バックスタンドの空いた観客席の青い座席の色までが寒々しさにいっそう拍車をかける日であった。
今シーズン初めての顔合わせとなるこの試合の見所は今季、勝敗・勝ち点にこそ恵まれなかったが内容の充実した試合展開で上位校相手に善戦しリーグ戦を沸かし、第5代表決定戦を勝ち抜いてきた中央大が早稲田大にいかに戦うかであった。
前半は風下中央大KOから始まった。11分、19分にトライをとられるものの22mライン内にいれない、6番、12番の素晴らしいタックル等、点差を開かせない努力が随所にみられた。ごろパントのKOも早稲田大を翻弄しセオリーにとらわれない頭を使った試合運びと好感する。風が強く双方ボールコントロールが難しいことが想像できた。しかし早稲田大は正確なパス、キックによりトライを積重ね前半は24-0で折り返すこととなる。41分のトライは自力に勝った早稲田大がBK3人余ってのトライ。

後半は7分、26分、33分、39分と早稲田大がトライを重ねた。一方中央大も30分にトライし一矢を報いた。微妙なグラウンディングであったが、ミスキック(?)からの展開にも関わらず反応し懸命に走りこんだ選手に今季チームの意識、集中力の高さが象徴されていたと思う。
結果は7-50と点差こそ開いたが中央大はリーグ戦を通じても50点以上の失点はなく対抗戦50連勝の早稲田大に大いに健闘したものと思われる。来シーズンはさらなる上位進出に期待したい。(岩岡正哲)

中央大学 7-50 早稲田大学 中央大学 7-50 早稲田大学 中央大学 7-50 早稲田大学
中央大学 7-50 早稲田大学(12月16日、1回戦 at秩父宮ラグビー場)

中央大学の磯村監督(右)と、小山田キャプテン 中央大学の磯村監督(右)と、小山田キャプテン

◎中央大学
○磯村幸二監督
「我々のチームは過去2回の入れ替え戦を経験し、ようやく全国大会へ出られることになった、コーチの少ない学生中心のチームです。リーグ戦6位となり、関東さんもいろいろありましたが、目標として来た全国大会に出られたのは有意義でした。今年のチームを超えて来年のチームの第一歩だと感じながら見ていました。点数は50点取られましたが、東海さん、関東さんからも共に50点取られましたので、来年は50点以下に抑えるという良い目標ができました。前後半とも、練習から気合が入りすぎてミスもありましたが、ディフェンスは本当に選手が良くやってくれました。監督として選手に感謝したいと思います」

――早稲田対策は。
「奇襲という訳ではありませんが、キックオフのプレーは学生たちが知恵を絞ってやったプレーです。個人の差はあり、一人ひとりはディフェンスへ行っても抜かれたのですがコミュニケーションをとってプレッシャーをかける良いディフェンスができたと思います」

○小山田圭キャプテン
「本日はありがとうございました。目標であった大学選手権に出られて、早稲田さんと試合ができたことを誇りに思います。中大のディフェンスで良く止めようと皆が必死になってディフェンスしてくれました。チームメイトに感謝したいと思います」

中央大学 7-50 早稲田大学 中央大学 7-50 早稲田大学 中央大学 7-50 早稲田大学
早稲田大学の中竹監督(右)と、権丈キャプテン 早稲田大学の中竹監督(右)と、権丈キャプテン

◎早稲田大学
○中竹竜二監督
「今日は思った以上に中大さんのプレッシャーがきつく、激しいディフェンスで思い通りのゲーム運びができませんでした。マッチスローガンは『ピークコントロール』で、一人で行き過ぎず、チームの最高の結果に結びつけるつなぎをしようということでした。しかし、個人のわがままから行き過ぎてコントロールできなかったり、意識しすぎて激しさや強さを出せない場面があったりしました。こういったことは、これから3試合、非常に重要になります。次の試合に向けてしっかり準備したいと思います」

――次の法政戦は。
「リーグ戦のチームは、皆、強いと思います。しっかりやってきたことを出すことが重要です。法政さんとは夏の最終戦でやりましたが、そのときより法政さんは強くなっていますし、70点くらい取った印象をいかに忘れるかが大事です。集中していかねばなりません」
――オーバーザトップの反則が多かったが。
「レフリーによって大きく解釈の異なるところです。今日もこれからレフリーと話し合いますが、(ペナルティをとるのは、プレイの)現象か影響力かもっと話し合っていきたいと思います。反省としては、前半にペナルティをとられたらいかに修正するかという意識です。次の試合に向けて直していきたいと思います」

○権丈太郎キャプテン
「ピークコントロールしようと臨みました。ブレイクダウンとかボールキャリアが前に出られるのは当たり前で、次の選手にいかに良い形で渡せるかというテーマでした。しかし、クールというか冷静に意識しすぎて、激しくなく、中央さんのプレッシャーの中で自分勝手なプレーが出て、ふだん自分たちがしないようなプレーもあり、悪循環となってしまいました。今日の試合が自分たちの一番悪いところが出た試合です。その意味ではよい経験、薬にしていかねばなりません。しっかり第2戦につなげていきたいと思います」

中央大学 7-50 早稲田大学 中央大学 7-50 早稲田大学