女子日本代表サクラフィフティーンが10月24日、東京の秩父宮ラグビー場で行われるリポビタンDチャレンジカップ2026/WXV Global Series第3戦で欧州強豪の女子ウェールズ代表と対戦する。

 男子日本代表とのダブルヘッダーで開催されるこの一戦は、日本ラグビーフットボール協会創立100周年記念試合であり、かつ、女子代表テストマッチとして100戦目という節目。今夏から指揮を執る北川俊澄ヘッドコーチの下、新体制での初勝利に期待がかかる。

 なお、女子日本代表は10月31日には熊谷での太陽生命JAPAN RUGBY CHALLENGE MATCH 2026/WXV Global Series最終第4戦で、再び女子ウェールズ代表と対戦する。



 新体制になったサクラフィフティーンにとって、今季は短い期間で強豪相手との連戦に臨みながらのチームづくりとなり、なかなかハードなシーズンとなった。

 元日本代表LOで旧トップリーグでもキャリアを重ねた北川ヘッドコーチによる新体制が発表されたのは8月25日。その10日後の9月4日には女子フィジー代表とのテストマッチに臨み、初陣は12-15と惜敗。チームはそこからWXV Global Seriesのアウェイ戦に臨むべく、欧州へ飛んで9月19日の初戦でイタリアに21-55、続く27日に臨んだアイルランド戦は24-31で落とした。その翌週の10月3日にはアイルランドとテストマッチを行い、19-43の黒星。Global Seriesでは2戦2敗、新体制での通算成績では4戦4敗で、まだ白星がない。

 北川ヘッドコーチは、7年間指揮を執った前任のレスリー・マッケンジー体制の後を受けて、今年5月にカザフスタンで行われたアジアラグビーエミレーツチャンピオンシップ2026でヘッドコーチ代行を務め、女子カザフスタン代表(64-12)と女子ホンコン・チャイナ代表(71-12)に2連勝で優勝を収めた実績もあった。とはいえ、今夏の指揮官就任後、2か月5連戦でのチームづくりは、決して簡単ではなかったはずだ。


2026年9月19日、アウェイでのWXV Global Series第1戦のイタリア代表戦で、ドライビングモールで攻める女子日本代表


 だが、北川ヘッドコーチは欧州遠征で見せたチームの短期間での伸びに手ごたえを覚え、今季を締めくくるウェールズとの2連戦でさらなる進化を期待している。

 「チームとしてでき上がっていない中でのフィジー戦でかなりフィジカル差を感じて、そのフィジカル差をどう埋めながら自分たちの速さを出していくか。欧州遠征ではそこにこだわってきた」として、「少しずつ形になって、自分たちがどのようにラグビーしていくのかを全員が分かってきて、すごく充実した遠征になった」と振り返った。


 北川体制でキャプテンに任命されたSH津久井萌選手も、「新しいスタッフ、新しいメンバーになって新しい戦術にもなる。そこを短い期間で落とし込むことがすごく難しかった」としながらも、「欧州で3試合を戦って1か月くらいみんなで過ごせたことで、みんなとしゃべる機会がすごく増えた。いいチームになってきていると思う」と語る。



FWの安定感、新人の活躍

 世界ランキングで上位のイタリア(試合当時6位)やアイルランド(同5位)を相手にしても、日本はFW陣を中心にモールで押し込んでトライを取る攻撃が機能。スクラムやラインアウトなどのセットプレーからの得点は、新体制でも日本の強みとして安定感を示した。

 「欧州でスクラムとモールがどこまで通用するのか見当がつかなかったが、改めて結果を見ると、我々の一つの大きな武器になり得るものができた」と北川ヘッドコーチ。フロントロー全体の成長に言及して、選手を入れ替えても「変わらずに良いパフォーマンスを発揮できるのは、チームとしてすごい安心材料」と語る。


2026年9月27日 アウェイでのアイルランド代表戦。ラインアウトからのモール攻撃は女子日本代表の強みの一つ


 FW陣の中で18歳のFL浅利那未選手は、今回の欧州遠征で頭角を現した一人。4試合に出場して4トライを挙げた。15人制でのプレー経験はほとんどなかったが、セブンズでのプレーを見た北川ヘッドコーチが15人制での適性を感じて代表に招集した。

 「フィジー戦前は15人戦の試合は20分しかしていなかった中で、あれだけのパフォーマンスができる。これからの伸び代がすごく楽しみ。この中に入って自分たちが普通にプレーできるイメージが見えているのでは」と指揮官の評価は高い。


 浅利選手は「メンタルは強くない」と言うが、覚悟はある。

 「桜のジャージはすごく重みがあるもの。これを着たからには弱っている場合じゃない。試合は強気で、と毎試合思っている」と、チームへのコミットや責任感の強さを言葉の端々に滲ませている。

 代表デビュー後間もないが、100周年記念で迎える女子日本代表100戦目への思いも熱い。

 「これまでサクラフィフティーンが積み上げてくださった歴史がある。そういう責任を持って、でも私自身はチャレンジャーとしてどんどん前向きなプレーをしていきたい」と意気込んでいる。


 このほか、浅利選手と同じく、フィジー戦での代表デビューから4戦すべてに出場中のFB西舞衣子選手や、今回のウェールズ戦への合宿に招集されて代表デビューの期待がかかる、19歳のSO伊藤ちひろ選手らもいる。

 ニューフェイスの台頭に、代表45キャップの古田真菜選手は「新しい選手が新しい風を吹かせてくれている。いろいろなバックグラウンドの選手が混ざり合って、みんなの良いところが合わさったらいい」と新たな融合に期待を寄せている。



古田選手、「結果としての成果を」

2026年9月27日、敵地ゴールウェイでのWXV Global Series第2戦の女子アイルランド代表戦で、突破を試みる古田真菜選手。


 今回、女子日本代表が今季最後に対戦する相手はウェールズ。シックスネーションズでは毎年イングランドやフランスとしのぎを削っている欧州伝統国。今季のWXV Global Seriesでは第2戦までをホームで戦い、9月18 日の初戦で南アフリカに50-19と快勝し、翌週のアメリカとの第2戦には24-26で惜敗した。日本戦の白星でシーズン終了を目指していることは言うまでもない。

 日本のウェールズとの通算対戦成績は2戦2敗。今回は2024年のWXV2での顔合わせ(10-19)以来となる。世界ランキング(10月19日時点)では日本の11位に対して、ウェールズは11位と接近している。


 古田選手は、「欧州のチームはシックスネーションズなどもあって、ランキング以上の強さを持っている感じがある。接点で食い込まれると結構しんどくなる。チーム全体で一歩も引かずに、前で止めていきたい」と話す。

 「今季まだ勝てていないことは正直悔しい。チームが良くなっている感じももちろんあるが、それを勝ちにつなげられていないのは課題。早く結果としての成果がほしい」と、もどかしさも口にした。


 キャプテンの津久井選手は、「ウェールズは一人ひとりのフィジカルがすごく強いので、勢いを与えないようにディフェンスでプレッシャーをかけたい」とし、「アタックでスペースを獲りにいくところと、しっかりアタックするところを使い分けられるようにしていきたい」と話している。

 


日本女子ラグビーの良さを見せたい

2026年9月19日、イタリア・フォンタナフレッダでのWXV Global Series初戦で、イタリア代表のスクラムに構えるSH津久井萌選手


 代表キャップ51を数える津久井選手は、24日の試合が男子日本代表とのダブルヘッダーである点に触れて、「男子ファンの皆さんに見ていただける貴重な機会。100周年記念試合と女子日本代表100試合目が重なっていることもなにか意味があると思う。しっかり勝ち切ることが記念試合になる。チームの一体感や粘り強さが日本女子ラグビーの見どころでもある。そこをしっかり見せられたら」と語る。


 北川ヘッドコーチは、「欧州遠征では勝てそうで勝てない試合や力の差を感じる時間もあったが、いい経験としてつながってきている。ウェールズ戦は楽しみ」と話している。

 10月31日の第2戦はWXV Global Series最終戦でもある。24日の対戦を受けての両チームの対応や駆け引きも見逃せない。

 この2か月間での連戦を経て土台を固めつつあるサクラフィフティーン。新体制ここまでのチームの融合と積み上げを確認するには、申し分のない相手に違いない。


勝利へ。2026年9月27日、キックオフで整列する女子日本代表サクラフィフテーン


取材・文:

スポーツジャーナリスト 木ノ原句望



 

「リポビタンDチャレンジカップ2026/WXV Global Series」 

男子日本代表 vs フィジー代表、女子日本代表 vs ウェールズ代表 

(日本ラグビーフットボール協会創立100周年記念試合) 

 

■日程:2026年10月24日(土) 

14:50キックオフ 男子日本代表 vs フィジー代表

18:30キックオフ 女子日本代表 vs ウェールズ代表

■会場:東京・秩父宮ラグビー場

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「太陽生命JAPAN RUGBY CHALLENGE MATCH 2026」

女子日本代表 vs 女子ウェールズ代表

 

■日程:2026年10月31日(土)

16:00キックオフ

会場:熊谷スポーツ文化公園ラグビー場

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