全員がトップリーガーという強力OBで固めた全関東学院が、9人のブルー(オックスフォードとの対抗戦出場に与えられる称号)が出場したケンブリッジ大学を圧倒、この大会での対戦成績を4勝2敗とした。

  関東学院中・高マーチングバンド

試合前の秩父宮に響きわたるダイナミックな演奏を披露した関東学院中・高マーチングバンドによる校歌に導かれて関東が入場してきた時は、強い西日がまだ東スタンド(今シーズンからのバックスタンドの呼称)を照らしていた。
スクラムで優位に立つ関東は7分、敵ゴール前でのラックを連続支配した後、まず左WTB小柳が先制トライを上げた。その後13分にはケ大にトライを返されたものの17分にゴール前PKから速攻、ケ大のディフェンスラインが整う前に左へ回し再び小柳がトライした。
スタンドが最も沸いたのは38分、負傷した小柳に代わって入った関東が誇る大型アウトサイドバックス角濱がケ大のミスを突きカウンターで前進、そこからこれまた関東が誇るスピードスター右WTB三宅に繋いだ場面。三宅はディフェンダー1人を振り切り、ゴール直前でもう1人をかわして飛び込んだ。

関東は後半も4トライを上げる一方、ケ大を無得点に抑えた。特に21分、ケ大陣22m付近右のスクラムから左オープン、十分なスペースを得た角濱がライン際を快走して上げたトライは美しかった。27分にケ大を大きく揺さぶってからNO8山口がトライしたところで、この日円熟したプレーでチームを牽引したSO淵上主将がお役御免。代りに入ったSO今村もケ大ラインのギャップを上手く突くなど活躍した。最後に「FWでトライ」にこだわった関東は、ラインアウト後のモールから左コーナーぎりぎりに山口が飛び込み締め括った。

ケ大は密集サイドの突破などでは強さを見せたものの、ミスや反則が多く、4人ものシンビンを出すなど規律を欠いた。上げたトライは前半、自陣からのFWラッシュで攻め上がり、HOクラークがキックを押さえた1つのみと元気がなかった。(米田)

全関東学院大学 46-8 ケンブリッジ大学   全関東学院大学 46-8 ケンブリッジ大学   全関東学院大学 46-8 ケンブリッジ大学   全関東学院大学 46-8 ケンブリッジ大学
 

右から内藤監督、淵上主将、立川コーチ
  右から内藤監督、淵上主将、立川コーチ

 

全関東学院大学 46-8 ケンブリッジ大学
(9月9日(日)17:00 at東京・秩父宮ラグビー場)

◎全関東学院大学
○内藤幸穂監督
「一日監督の内藤でございます。平常は理事長をしております。この子たちが生まれたときから、全関東学院というチームを考えておりました。9月9日、9を重ねる日の9時に私は競技場に着きました。苦労も多いけれども、若い諸君が伸びて、今後の関東ラグビーを支えてくれるのではないかと期待した次第です。作戦本部を立川剛士、プレーキャプテンを淵上宗志、いろいろ考えた末の指名でした」

○立川剛士コーチ
「ケンブリッジとの対戦が今回で最後という話も聞き、締めにオール関東を作るので手伝ってほしいと春口監督、内藤理事長から誘っていただき、今日はエンジョイ! と言って選手を送り出しました。宗志と山口中心でゲームを作ってもらいました。選手たちは良くやってくれたと思います」

○淵上宗志主将
「内藤監督から、全関東というチームをこれから育てたいというお話を伺い、選手全員が大きなモチベーションをいただきました。現役同様、良いチームを作っていきたいと思います。関東でラグビーをして8年経ち、また関東のジャージを着て、体は動かないけれどあの頃の感覚が甦って楽しかったです。国が違うと難しいのですが、今日はレフリングの解釈の食い違いがあり、ラフプレーも増えて向こうにとっては気の毒でした。関東の選手はみな体を張ってくれて、感謝しています」

全関東学院大学 46-8 ケンブリッジ大学   全関東学院大学 46-8 ケンブリッジ大学   全関東学院大学 46-8 ケンブリッジ大学   全関東学院大学 46-8 ケンブリッジ大学
 

右からロジャース監督、ブレイク主将
  右からロジャース監督、ブレイク主将

 

◎ケンブリッジ大学
○トニー・ロジャース監督
「大変に残念です。もがき苦しむ試合でした。後半は我々の規律がうまくいかず、14人、13人での時間もあり、非常に苦しかったです。対戦相手の関東は非常に良かった。プロといっても良い選手ばかりでした。日本ラグビーの進歩に感心します。特にハイレベルのスキルとスピードには。我々のチームは結成して1週間、今日はひとつの始まりとして、12/6のトゥイッケナムでの試合に向けチームを作り始めたところです。日本に来て新しいプレーヤーが入ってチームを形成する意味で重要なツアーです」

○ロス・ブレイク主将
「ブレイクダウンでのボールの奪い合いで苦労しました。成功した回数も少なかったです。関東は非常に早く反応し、こちらがボールを保持する時間も少なかったと思います。関東にはおめでとうと申し上げたい。フィジカルなチームでスピリットもまとまりもあって良いチームでした。この1週間、修正してトレーニングし、早稲田との試合で良いパフォーマンスをお見せしたいと思います。このツアーは非常に重要で、違う国で違うコーチの下、違う文化に触れて共に学び友情を深めるいうのはすばらしい経験になります。関係の皆様に感謝申し上げます」