U23日本代表 35-32 NZU   U23日本代表 35-32 NZU

写真提供/長谷川昭男

ゲームに影響を及ぼしそうな風が吹きすさぶなか、風下のJAPANが先蹴で、ゲーム開始。風上のNZUは定石通り、序盤キックを使ってゲインを試みる。JAPANもアタック時の接点では、確実にボールをリサイクル、時折ビッグゲインするもののフォローが薄く、チャンスを生かせない。
8分、JAPAN陣内左中間10m上のラックからNZUが左へ展開、FBマクナレンがショートパント、インゴールへ転がったボールをSHノークスがトライ。(0-5)G成功(0-7)
セットプレーの精度が低いJAPANは、攻守に劣勢が続き、不用意な反則が目立ってくる。(19分NZU PG成功0-10)28分、JAPAN陣内ゴール前のラインアウト、JAPANのキャッチミスからボールを奪われNZU FL7オリバーがトライ。(G成功0-17)
風下ながらショートパントを有効に使い反撃に出るJAPANは、NZU反則から得
たチャンスを右へ展開、巧みにパスを繋ぎ、最後はPR1瀧澤がトライ。(G成功7-17)
第2戦でみられた確実なタックルが決まらないJAPAN、フラストレーションが溜まり気味で反則を繰り返し、36分にはNO8イオンギがシンビンとなり、37分にはNZUにPGを決められる。(7-20)

後半、執拗にサイド攻撃を繰り返すNZUに対し、前に出るDFで対抗するJAPAN。我慢の時間帯が続いたが、47分自陣22m付近から相手パスをインターセプト、巧みに繋ぎPR1瀧澤も参加した展開、最後はLO4フィフィタのトライ。(G成功14-20)
DFからリズムが出てきたJAPANは、風上を生かしたSO森田のロングキックも決まり出す。53分NZUゴール前スクラムより左展開、CTB13中浜がカットイン気味に入り、ポスト左にトライ。(G成功21-20)
なおも、イオンギ、森田の突破からゲームの流れがJAPANに傾いたかにみえたが、59分、NZUの連続攻撃からDFが綻びNZU FBマクナレンがトライ。(G成功21-27)
前半に比べ、動きが鈍くなったNZUに対し、JAPANは敵陣ゴール前のラインアウトから、モール攻撃を繰り返しNZUの消耗を狙う。73分 NZU陣右中間ゴール前15mで得たスクラムから左展開、‘半ズレ'の状況から、最後はFB五郎丸が左隅ににトライ。(G成功 28-27)
タックルが若干甘くなったJAPANだが、焦りがみられるNZUの反則に助けられ、ゴール前のピンチを凌ぐ。終了間際、NZUの反則から得たラインアウトを押し込み、LO4フィフィタが今日2本目のトライ。(G成功35-27)
残り時間を考慮した上での積極策が奏功した。最後はNZUに1トライを返された(35-32)ものの、結果はJAPANの粘り勝ちといった格好。第2戦に比して、タックルミスが目立つJAPANであったが、後半序盤に見せた、前に出るDFの粘りが勝利を呼び込んだゲームであった。(廣島 治)

U23日本代表 35-32 NZU   U23日本代表 35-32 NZU

NZUのベバン ヘッドコーチ(左)、スニー ゲームキャプテン
NZUのベバン ヘッドコーチ(左)、スニー ゲームキャプテン

U23日本代表 35-32 ニュージーランド学生代表(4月21日(土)14:00 at京都市・西京極陸上競技場)

◎ニュージーランド学生代表
○ブライス・ベバン ヘッドコーチ
「今日の敗戦は、正直残念である。後半は風下になるのでゲームプランを変更しなくてはいけなかったが、できなかった。負けたという厳然たる事実がある、それだけだ」

○ダン・スニー ゲームキャプテン
「ヘッドコーチと同様、前半は完全にゲームを支配していたが、後半のミスをJAPANが巧くつけ込んだ。JAPANにはおめでとうと言いたい」

――うまくいっていた前半のゲームプランとは?
○ベバン ヘッドコーチ

「風上ということで、キックで敵陣に入り、プレッシャーをかけ、チェイスし、さらなるゲインを獲得するというプランだった」

――これまでのJAPANと違う点は?
○ベバン ヘッドコーチ

「大きく変わったとは感じない。今日の前半など一番悪い出来だったのではないか。後半NZUが力及ばなかったということだ。セットプレーすべてで我々が優勢だったが、唯一チームプレーが機能していなかったことが敗因だ」

――3戦を通じて印象に残ったJAPANのプレーヤーは?
○ベバン ヘッドコーチ

「特に3戦を通じてといった印象はない。今日のゲームに限っていえば、10(森田)、13(中浜)、15(五郎丸)といったところか。JAPANの薫田監督にはおめでとうと申し上げたい。また日本協会はじめ関係各署のご厚意に心から謝辞を申し上げたい」

U23日本代表 35-32 NZU   U23日本代表 35-32 NZU

U23日本代表の薫田監督(左)、豊田キャプテン
U23日本代表の薫田監督(左)、豊田キャプテン

アフターマッチファンクション
アフターマッチファンクション

◎U23日本代表
○薫田真広監督
「結果が残せて良かったが、満足できるゲーム内容ではない。ただ戦う気持ちが接点での攻防から見られたことが、第3戦での収穫である。今後のフル代表への礎となったが、このチームで次のゲームを戦えないのが心残りである。ATQプロジェクト(ユース世代を中心とした包括的強化策)を立ち上げたばかりであり、マスコミの皆様も含め注目してほしい」

○豊田真人キャプテン
「やっと第3戦で皆の闘志が剥き出しになった。薫田監督の下、心をひとつにして必死に戦った結果が勝利という形で報われた」

――シリーズの収穫について。
○薫田監督
「ゲームの駆け引きを経験したことが、大きな収穫だ。前半シンビンで一人欠け(NO.8イオンギ)苦しい場面の中、NZUがPGを狙わず、モール勝負を挑んだが、粘り勝ってターンオーバーできた点、後半終了間際にトライを取り切れた点は評価できる。駆け引きは厳しいゲームでのみ経験できることであり、その点で今日のゲームは意義を持つ」

――今日のゲームの意図は?
○薫田監督
「順目でアタックを心掛けたが、途中で焦点がぼやけてしまった。風下での数少ないアタック時、サポートが1枚も2枚も足りない。前半は風下なので、ボールキープを意識させたが、ラインアウトミスの多さは誤算だった。キックミス等中途半端なプレーで、NZUにスペースを与え、間隙を突かれてしまった。キック絡みでしか相手にトライを与えていなかっただけに、猛省すべき点である。後半序盤はシンビンにより、14人だったので、スローテンポなゲーム運びをし、時間を稼げと指示した」

――今シリーズで足りないところは?
○薫田監督
「メンタル面に尽きる。場面場面で柔軟に順応できれば、もっと楽な展開になっていたはずで、今後の課題である」

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