早稲田大学 26-33 関東学院大学 早稲田大学 26-33 関東学院大学 早稲田大学 26-33 関東学院大学
6年連続、早稲田大学と関東学院大学の決勝戦は、関東学院に勝利の女神が微笑んだ。
1月13日、快晴の国立競技場。大学日本一を決めるのにふさわしい、穏やかな天候であり、多くのファンがスタジアムにつめかけ、会場はほぼ満員であった。実力は互角であり、勝敗は、自分たちのラグビーを、いかに徹底できるかにかかっていた。

午後2時10分、関東学院のキックオフ。直後から、関東は早稲田陣内に攻め込み、FW、BKが一体となった攻撃を仕掛ける。
前半9分。早稲田は、自陣ゴール前20mでのラインアウト。これを関東に奪われる。関東学院、このボールを左にオープン攻撃。早稲田は必死にディフェンスするが、関東学院はラックサイドを再三攻撃し、最後はSH吉田がトライ(ゴール成功)。7点を先行する。
21分。早稲田陣22m内での早稲田のラインアウト。早稲田これをキャッチミスし、関東学院に奪われる。関東学院モールを押し込み、WTB朝見がモール中央を突破しトライ(ゴール成功)。点差を14点とする。さらに関東学院は、30分にFB 山下がトライを決め(ゴール成功)、21対0と点差を広げる。
早稲田は、ようやく35分に反撃。SH 矢富の速攻から、WTB 首藤がトライ(ゴール不成功)、5点を返す。さらに、37分。関東学院のノータッチキックをFB五郎丸がカウンター攻撃、これをWTB 菅野が、関東学院のタックルをかいくぐり、約50メートルを走りきりトライ(ゴール成功)。21対12とする。このまま前半を終了。
前半、早稲田は、関東学院FWのプレッシャーにより、ラインアウトでのミスが多く、攻撃でのリズムがつかめない。また、ラックでの球出しのタイミングも遅れていた。一方、関東学院は、FWがセットプレーで、常に早稲田にプレッシャーをかけ、特にラインアウトでの健闘が光った。

後半も先に点を取ったのは関東学院であった。5分。自陣、22mでのラインアウトで得たボールをタッチに蹴り出さず、左にオープン攻撃、ラックの後、FW、BKの連続攻撃によりWTB朝見が2本目のトライ(ゴール成功)。28対12とする。
早稲田は後半に入っても、関東学院のプレッシャーにより、ノックオンやパスミスなどが続き、なかなか早稲田らしい連続攻撃ができない。しかし24分、関東学院のキックミスをSH矢富がカウンター攻撃をし、またもやWTB菅野がトライ(ゴール成功)。28対19と詰め寄る。その後も早稲田は、FW、BKが一体となって攻撃するが、関東学院の固いディフェンスの前に得点を重ねることができない。
逆に関東学院は、後半終了間際に得点を重ねる。早稲田が、関東学院の反則からオープンに攻撃し、ラックとなったが、これをターンオーバーすると、WTB朝見が、勝負を決定付けるだめ押しのトライ(ゴール不成功)。33対19。
ロスタイム5分。早稲田は自陣ゴール前から必死のカウンター攻撃。最後はCTB今村がトライ、ゴールも成功するが反撃もそこまで。ノーサイドとなる。
関東学院が、33対26で早稲田を下し、3年ぶり6度目の優勝を飾った。
セットプレー、特にラインアウトでの攻防の差が、大きく勝敗に影響した試合であり、関東学院FWの健闘が光った試合であった。

早稲田大学 26-33 関東学院大学 早稲田大学 26-33 関東学院大学 早稲田大学 26-33 関東学院大学
 

中竹監督(左)、首藤選手
中竹監督(左)、首藤選手

 

早稲田大学 26-33 関東学院大学(1月13日)

◎早稲田大学
○中竹竜二監督
「前半からラインアウトでプレッシャーを受け、思うような展開ができませんでした。なるべくラインアウトを避けて攻めてもミスが起き、相手のディフェンスも良く、ボールの継続ができなかったのが敗因です。決勝はどちらかが自分たちのスタイルを貫けるかというところだと思いますが、関東学院さんが一枚上手だったと思います。トスでは、後半風上になることと、太陽のまぶしさを考えて、陣地を選びました。タッチは大きなキックを使い、空いていれば速攻と、選手は指示通りやってくれました。
(一番痛いトライは)最後のトライですね。まだ、時間がありましたので、逆転を狙える範囲でしたので」

○首藤甲子郎選手
「すべてにおいて、関東学院さんが一枚も二枚も上手でした。かなり試合前から言っていたのですが、ブレイクダウンもセットもコンタクトも想像以上に強くて、前へ出られませんでした」

早稲田大学 26-33 関東学院大学 早稲田大学 26-33 関東学院大学 早稲田大学 26-33 関東学院大学
 

関東学院大学の春口監督(左)、吉田キャプテン
春口監督(左)、吉田キャプテン

 

◎関東学院大学
○春口廣監督
「10年連続で決勝へ来て、本当に良いゲームをしてくれました。こういう節目のときに選手たちがやってくれる。ラグビーしていてつくづく良かったと思いました。この子供たちに出会えてよかったと思います。
ラインアウトは徹底してやりました。取ったボールはまず、FWが1m前へ出て、BKが勢いに乗れるという言葉を学生が信じてやってくれて、満足しています。スクラムで勝つのは難しいが、ラインアウトならできると練習して来ました。早稲田さんも、あれだけプレッシャーをかけられれば前へ出られないでしょう。早稲田さんはものすごく大きな相手で、萎縮してしまうと思いましたので、相手も15人しかいない、まず、1対1の勝負に勝つ、サポートが2、次のカバーが3と、完璧にうちの学生が意識してやってくれました。早稲田さんはもうちょっと得点能力があると思いますが、ディフェンスは成功だったと思います。
(勝利を確信したのは)インジャリータイムが5分というアナウンスで。10分と言われたらどうしようかと(笑)。あまりまともに取らないでほしいんですけど(笑)、後半残り20分で勝利を確信できました。今日残ってくださったお客様は、最初に優勝したときと比べてすごく多くて、感慨深いですね。10年やれば、見てくれる人も出てくる。もう10年やりたい(笑)。もう倍くらい残ってくださる人も増えるでしょう。
(2連覇は)来年も行けるんじゃないかと、昨日あたりから思いました。3年生以下には良いスタートですよね。
(今日は勝つつもりでしたか、という質問に)もちろん、勝つつもりで来ました。すごく充実していて『普段どおりにやれば勝てる』という言葉を選手が信じてやってくれましたね」

○吉田正明キャプテン
「嬉しいです。もう、皆が支えてくれました。全力でやりました。チーム全体が一つになっていたので良い試合ができたと思います。今日が大学生相手の最後の試合、今までやって来たことを全力で出そうとチーム全体が前へ出てくれました。最後に1本獲られたのは残念だけど、今までやってきて良かったと思います。とりあえず、ハーフ団にプレッシャーをかければ早稲田らしい試合運びができないだろうと意識して臨みました。
(RETAKEのTシャツは)僕たちは知りませんでした。他の4年生が用意してくれたんだと思います。
(勝利の確信は)この試合は最後まで油断できない試合でした」