RWC2007アジア地区最終予選 日本代表香港遠征リポート

11月24日(金)

香港遠征12日目、香港での最後の練習を迎えました。予定時間より少し前に始まった練習では、緊張感に包まれ、テストマッチ前日の雰囲気をチーム全体が醸し出していました。

練習前の円陣で、太田GMが「今日は、最後の練習。いい練習で明日の試合を迎えよう。勝って日本に帰ろう」と言えば、カーワンアドバイザーが「勝ちましょう。ワールドカップに行きましょう」と日本語で選手たちを鼓舞しました。最後に、大畑キャプテンが「最後の練習を悔いの残らないようなしっかりとしたものにしよう。明日韓国を圧倒しよう」と話し、選手全員が頷き練習をスタート。

韓国の攻撃を想定しディフェンスラインを整える FWの大黒柱・箕内選手と最後の砦・有賀選手
韓国の攻撃を想定しディフェンスラインを整える FWの大黒柱・箕内選手と最後の砦・有賀選手

ウォーミングアップはディフェンスにフォーカスしたドリルを実施。日本代表が世界と戦う上で試合の約50~70%はディフェンスの時間となります。今の段階でベースを築き、世界一上がりの早いディフェンスラインを持つチームとなれるよう合宿スタート時から継続して行っています。韓国戦ではすべての局面で圧倒すべく、鉄壁なディフェンスを披露すべく練習に取り組みました。

その後は、試合メンバーを中心にグラウンド内様々な場所・シチュエーションでディフェンス・アタックをそれぞれ確認。特にディフェンスでは、韓国の攻撃を想定したアタックを一つ一つチェック。ハイボールや、セットプレーからのアタックなど細かな部分まで確認しました。
練習は、一時間弱の短い時間でしたが、テストマッチの緊張感に包まれたミスの少ない最高の形で前日練習を終えることができました。

いよいよ明日、ワールドカップ2007の出場権をかけ韓国代表と対戦します。チームが集合して四週間、チームとしての一体感もより高まってきました。今回メンバー外となった相馬選手は「命懸けでチームを応援します」と語ってくれました。ここに集まった27名の選手たちが、一丸となってワールドカップの切符を取りに行きます。応援をよろしくお願いします。

ディフェンスの要CTB吉田選手 パスからサポートへ
ディフェンスの要CTB吉田選手 パスからサポートへ

◎太田治ジェネラルマネージャー兼ヘッドコーチ
「明日の試合は、気持ちの面で受けに回らないように激しい試合をしたい。勝たないと何にもならない。ワールドカップ出場を決めて日本に帰りたい。27人全員で勝ちたい。やはり、ラックでのボールの争奪でいいボールを大畑・小野澤・有賀のバックスリーに供給できるかがポイントになると思う」

◎ジョン・カーワン アドバイザー
「20分間で試合を決めるという強い気持ち、アグレッシブな積極的な姿勢が必要。韓国は香港戦の最後の20分で使ったメンバー。日本代表を意識したメンバーだと思う。ラックを制して試合をコントロールすることが大切。我々のチーム力は順調に上がっている。必ず勝たなくてはならない試合。しっかりと戦っていきたい」

◎大畑大介キャプテン
「何が何でも勝ちたい。それだけです。明日はハート。韓国はハートでくる。それに負けない強い気持ちで戦う。すべての局面で勝っていく。受けに回ればやられるし、前に出れれば圧倒できる韓国とはW杯予選・日韓戦で何度も対戦しているが戦力値はあてになりません。
緊張感も高まってきました。外から見れば静かに見えるかもしれませんが、イメージはみんなで共有できています。ここで勝てなかったら日本に帰れない。そういう強い気持ちをもって臨みたいと思います」

※韓国戦に臨む日本代表選手たちのコメントはこちら

ラインアウトのスペシャリスト木曽選手 緊急招集にも関わらず積極的な動きをみせる辻選手
ラインアウトのスペシャリスト木曽選手 緊急招集にも関わらず積極的な動きをみせる辻選手

大畑キャプテンの見据える先は 日本の司令塔・沢木選手
大畑キャプテンの見据える先は 日本の司令塔・沢木選手

11月23日(木)

香港遠征11日目。韓国戦を2日後に控えた今日、日本代表は終日オフとなり、決戦を前に心身ともにリフレッシュしました。

香港での生活も10日を過ぎ、徐々に街の雰囲気、環境に慣れたようで、それぞれ独自の方法で体を休めたようです。ハッピーバレーの競馬場の周りを散歩する選手などもいて、ゆっくりとした休日を過ごしたようです。

夕食後には、FB有賀選手とSH辻選手がグラウンドに出て個人練習を行っていました。有賀選手はゴールキックを繰り返し、辻選手は、試合会場のグラウンドを確かめながらパスやキックの練習を行っていました。

また、今日の午前中には選手の個人ミーティングが行われ、今日をもってメンバー全員のミーティングが終了しました。日本を代表する選手たちが、さらなるレベルアップをしていこうとする貪欲な姿勢に太田GM兼HC、カーワンアドバイザーも手ごたえを感じているようです。

いよいよ明日、香港で最後の練習を行い韓国戦を迎えます。チームの気持ちは一つ「ワールドカップ出場権獲得」です。韓国を倒し、フランス行きの切符を獲得したいと思います。応援をよろしくお願いいたします。

11月22日(水)

香港遠征10日目。昨日に続きすっきりしない天気の中、日本代表は、午前中をグラウンドでのトレーニング、午後はウエイトトレーニングを行いました。

午前の練習でのフォーカスはディフェンス。昨日の香港対韓国を見た上で韓国を想定したディフェンスに取り組みました。

ウォーミングアップからディフェンスを意識したメニューが取り入れられ、ラインディフェンスをチェックしました。局面に応じてディフェンス人数を変えていく練習や「ファイヤー(前に出る)」なのか「ウォーター(待つ)」のかといった判断をしていくトレーニングを繰り返し行いました。

アタックラインに合わせて前に出る ディフェンスの人数が下回ってもあわてない
アタックラインに合わせて前に出る ディフェンスの人数が下回ってもあわてない

人数が合えばプレッシャーをかける 細かなコミュニケーションを図るFW陣
人数が合えばプレッシャーをかける 細かなコミュニケーションを図るFW陣

その後、チームを2つに分けアタック・ディフェンス形式のトレーニングを行いました。ディフェンスでは、韓国のアタックオプションを実践しながらディフェンスシステムを確認しました。アタックでは、韓国の出足の早いディフェンスをいかに崩していくかを目指し、FWのサポートプレー、BKの攻撃オプションなどをチェックしました。終了後、FWはラインアウトの確認、BKはムーヴを確認して練習を終了。午後はストレングストレーニングを行い筋力強化に努めました。

一糸乱れぬラインで前へ プレーごとにチェックする
一糸乱れぬラインで前へ プレーごとにチェックする

木曽選手のサポートに入る
木曽選手のサポートに入る

11月21日(火)

香港遠征9日目。日本代表は午前中にトレーニングを行い、午後はフリーとなりました。

午前の練習前には、昨夜合流したSH辻選手の紹介があり、皆の拍手で迎え入れられました。突然の召集でしたが、元気な姿でチームを鼓舞していました。

午前中のトレーニングはコンタクトの要素を含んだ激しいものとなりました。ウォーミングアップでは、ディシジョンメーキングなどでアタック・ディフェンスの整備を行いつつ、コンタクト練習のために体を当てていくなど徐々に体を慣れさせていきます。

そして行われたラックドリルでは、香港戦の課題であった低さや激しさを十分に求められるメニューとなりました。特に、4つのラックシチュエーションを想定し5人で、ランダムにコールされたラックをクリアしていくドリルでは、まさに骨軋む激しいものとなりました。世界に通用するラックのために、一丸となって取り組みました。

ラインアタックは必ず仕掛ける ルースボールへは厳しく働きかける
ラインアタックは必ず仕掛ける ルースボールへは厳しく働きかける

その後、ユニットに分かれ、FWはラインアウトとスクラム、BKはムーヴの確認を行いました。FWはスクラムを重点的に行い、さらなる攻撃的なスクラムを組むべく行われました。BKでは、ランニングコースの確認やオプション選択などを中心に行われ多彩なオプションを入念にチェックし、練習を終えました。

練習後も、それぞれ個人練習に取り組むなど、選手それぞれが高い意識を持って練習に取り組んでいました。

午後は、部屋でゆっくり体を休めるもの、ウェイトレーニングを行うものなどそれぞれの時間をすごしました。また、千葉合宿から行っている個人ミーティングを数名の選手に実施しています。

香港対韓国を観戦する選手たち
香港対韓国を観戦する選手たち

夕食後には、韓国戦に向けたミーティングを実施。韓国戦へいくつかのポイントを示した上で今夜行われた韓国対香港戦を観戦に向いました。

注目の試合は、時折、雷鳴が響き、時折強い雨が降るなど、荒天の中での試合となりましたが、韓国は前半から相変わらずの出足の早さを見せ、香港陣でプレーし続けるなど、"らしさ"を見せた試合となりました。後半足が止まる場面なども見えましたが、23-5で韓国が勝利を収めました。これで土曜日の試合に勝ったチームが、来年のワールドカップの出場権を得る事ができます。我々は、圧倒的な強さでこの最終予選を勝ち抜き、本大会へ臨みたいと思います。

引き続き、ご声援をよろしくお願いします。

明日は、午前中にグラウンドでトレーニング、午後は香港フットボール内のジムにてウエイトトレーニングを行います。

11月20日(月)

前日に試合の疲れを取り除いた日本代表は、20日から韓国戦に向け練習を再開しました。

午前中は、全体ミーティングを実施し、香港戦のビデオをもとに問題点を抽出、所々、VTRを止め、プレーについて選手にヒアリングしながら改善点を共有していきます。香港戦を経て残った課題は、ラック・モールの高さ、アンフォースドエラー、バックスラインの深さ、ラインアウトのリフティングなど。今週の練習で修正し韓国戦に臨むことを確認しました。

午後の練習は、FW・BKそれぞれのユニットを中心にしたものとなりましたが、それでも、ウォーミングアップでは、様々なプレーの基本となるビジョンドリルやラックボールへの働きかけなどを目的としたドリルも組まれ、課題を修正するためのスキルを注入していきました。

ユニットに分かれるとFWはラインアウトを行い、ジャンパーとリフターのタイミングなどを確認しながら様々なポジションで様々なサインをチェック。時には相手ジャンパーを入れながらプレッシャーがかかった状態を想定して行うなど試合局面を鑑みての練習となりました。

楽しみながら体を温める ラックではしっかりとサポートに入る
楽しみながら体を温める ラックではしっかりとサポートに入る

ディフェンスのプレッシャーを受けてもしっかりとボールをつなげる 永田コーチを中心にミーティングを行うFW陣
ディフェンスのプレッシャーを受けてもしっかりとボールをつなげる 永田コーチを中心にミーティングを行うFW陣

BKは、ラインアタックを行い、ラインの深さを確認しました。今回の大会使用球が予想以上に滑るということから、予めボールに水をかけて滑りやすくして練習を行うなど選手の意識も相当高いものとなっています。ラインアタックドリルも、短い距離から長い距離、そしてグラウンド全体と徐々にスペースを広げていき、有効且つ効果的な深さを持って攻撃ができるよう実行、確認を交互に行いながら修正していきました。また、ムーヴの確認もあわせて行われました。

全体練習終了後もキックなどの個人練習を行う選手も多く、絶対に負けられない相手、韓国戦に向け気持ちも高まってきました。

本日の夕食は、チームディナーを実施。目的は、チームの一体感をより一層高めること。今夜は、今回の遠征中いろいろな面でお世話になっているリエゾンの山田さんのお店「札幌」で札幌直輸入のみそラーメンや餃子など久しぶりの懐かしい味を堪能させていただきました。中には、あまりのおいしさに食べ過ぎる選手もいましたが、終始リラックスし、明日への英気を養いました。

明日は、午前中にトレーニングを行い、夕食後、韓国 vs 香港戦をチームで観戦します。また、追加召集となった辻選手(NECグリーンロケッツ)が無事香港入りしました。明日からの練習に合流します。


◎ジョン・カーワン アドバイザー

「今日のミーティングでは、中途半端なパスが多く、ゴール前に迫ってもトライを奪えないシーンがあったので、取るべきところはしっかり取ろうということを話しました。ただ、チームは徐々に良くなってきています。韓国戦の戦略についはお話できませんが、明日の香港 vs 韓国は全員で観戦します。その前に韓国のビデオミーティングを実施し、その中でいくつかのポイントを示してから試合を見るようにします」

ラインアウトのさらなる安定を目指して リフターとジャンパーのコンビネーションを合わせる
ラインアウトのさらなる安定を目指して リフターとジャンパーのコンビネーションを合わせる

スペースへアングルをつけて走り込む 滑るボールへの対策も万全
スペースへアングルをつけて走り込む 滑るボールへの対策も万全

遠征中、チームのリエゾンとしてサポートいただいている山田さんご夫妻
遠征中、チームのリエゾンとしてサポートいただいている山田さんご夫妻

11月19日(日)

香港戦を終えた日本代表は、午前中に昨日のメンバーがプールリカバリーを行い、昨日の試合の疲労回復に努め、メンバー外は、次のゲームに向けて走りこみを行い、韓国戦を向けて準備を始めています。

コーチングスタッフは、昨日の試合のビデオ分析を行い、課題を抽出。成長している部分、修正が必要な部分を明確にし、明日からの練習を組み立てました。

午後はフリーとし、体の休養にあてました。

同じ宿舎の韓国代表は、今日も精力的に練習を行っていたようです。

韓国に勝ち、アジアの代表としてワールドカップの出場権を持って日本に帰りたいと思います。明日から韓国戦に向けた練習を開始します。