競技力向上委員会レフリー部門では、『ラグビーフットボールでは「立って」プレーをすることが重要である。そのことをプレーヤーもレフリーも、再認識すべきである』との競技力向上委員会からの提言を受け、「立ってプレーを継続させるためのレフリングスキルアップ」を具体的な目標に設定、研修などを行ってきています。その内容をご紹介します。

○具体的レフリングスキル

  • ブレークダウン:レフリーは立ってプレーをさせ、ボールをクリアーにする。
    • ノットロールアウェイ――ボールをシールする、攻撃側のスローダウンを図る、攻撃のオプションを減らす行為には厳しく。
    • ネガティヴジャッカル――立っている、立っていない(自分の身体を支えていない)状態を良く見極める。ボールをとりにいっていない、ボールをシールしている行為には厳しく。
    • オーバーザトップ及びブリッジング――ボールを確保するために飛び込むプレー、及び味方のプレーヤーへブリッジングする(頭を下げて、ふたをするような行為)プレーは立っていない。

      ⇒タイミングの良い笛が重要である。 

○その他 研修における確認事項

    • ラインアウト
      クロージングギャップ(ノット1m)の原因の一つは、スローワーが投げる構えをしているのに投げないことにある。ノット1mをきちんと確認すること。

    • ラインアウトウォークイン
      放置している状況があるので、レフリーは注意し、その後はFK等で処理すること。

    • ラック・モール
      相手と押し合うことが正当なプレーである。相手を引き倒すプレーに対しては、よく見極め処理すること。

    • ファウルプレー
      タッチジャッジのファウルプレーの判断は、TJの責務として重要である。レフリーが見ているからといって、ファウルプレーの判断をレフリーに任せるのではなく、責任をもってフラッグインすること。

    • スクラム
      エンゲージのコール前に手をつくこと自体は否定できない。しかし、手をつくことで肩が下がる、身体をひねる状況が生まれる可能性があり、その結果エンゲージするとき、頭が下がり、肩が腰の位置より下がる状態になればFKで処理する。(フロントローの姿勢)。また、エンゲージ後にコラプスの原因となることもあり、その時はPKで処理する。
競技力向上委員会レフリー部門より

今シーズンの「チーム15」のキャッチフレーズは「戦うレフリング(Determination) (決意、決断、強い意志決定)」である。

「戦う」という意味は、一貫性(Consistency)をもったレフリングを実践するため、「安易なゲームの継続」や「プレーヤーの声」、あるいは「繰り返しの反則」等々に対して「妥協しないジャッジとマネージメント」を意味するものであり、そのためにレフリー自身に対して強い決意と意思、そして実践が求められるということである。

「戦うレフリング(Determination)」とは、このようにレフリー自身の「内なる戦い」であり、決してプレーヤーと敵対心を持って戦うというような意味ではない。これまでのレフリングの反省から、プレーヤーからの信頼(Creditability)を得るためには、一貫性をもったレフリングが必要であると考え、そのためには「レフリー自身が、先ずは自分自身に対して戦わなければいけない」という決意をもって、今シーズンに臨もうとしているのである。つまり「戦うレフリング(Determination)」 は、レフリーの権威を振りかざして単にPKを取ることではなく、ラグビーという競技、あるいはプレーの本質をレフリー自身が見極め、チームの特性を理解し「1試合を通して」あるいは「シーズンを通して」一貫したレフリングに努めることで、プレーヤーからの信頼を得ることである、と考えている。