自慢のBKが前半に3トライした早稲田が、最終戦で意地を見せたいオックスフォードに後半は1PGに抑え込まれたものの、後半37分 五郎丸の逆転PGで辛くも逃げ切った。

 

早稲田大学 22-20 オックスフォード大学

早稲田は出足快調だった。前半6分には敵ゴール前 左のラインアウトから、右オープンに回し、デコイランナーを使ったムーブでFB 五郎丸がライン参加。ラストパスを受けた快速WTB 菅野がトライ。14分オックスフォードCTB ジョー・ロフ(元豪州代表)にPGを返された後の16分、今度は右ラインアウトから左オープンに回し、この日も正確なロングパスが光ったSO 曽我部からの飛ばしパスを受けたCTB今村がその豪脚で抜け出しそのままトライ。曽我部のパスを受けた時、オックスフォードの今村へのマークはすでにズレていた。

しかしここからオックスフォードが粘り、試合は拮抗していく。まずは20分、曽我部の高いタックルをハンドオフで退けたロフが五郎丸とSH矢富2人を引きずりながらゴール前まで迫ると、最後はSH ケビン・ブレナンが右隅にトライを返す。今度は早稲田が24分、ラックから早く出したボールを曽我部→今村へと飛ばしパス。裏へ出た今村はオックスフォードFB ギャレス・ジェイコブスを引き付けてWTB 三原へラストパスを送り三原がトライ。対するオックスフォードは前半ロスタイム、早稲田陣右サイドにできたラックからブラインドをFL ダン・パームが持ち出したところにロフが真っ直ぐ走り込みパスを受けると、そのままインゴールへ。今回のシリーズで再三懐の深いプレーを披露していたロフの(豪州時代によく見せた)タイミングよくパスに走りこむプレーで取ったトライによって、オックスフォードが早稲田の19点に対し15点まで追い上げて前半を終えた。

 

雨が途切れなく降り始めた後半は、両チームともなかなかトライを挙げられなくなった。特に20分過ぎからオックスフォードはFW周辺を再三アタックし、早稲田の反則が目立つようになってきた。そして27分、FWの執拗な突破により早稲田のディフェンスを崩したオックスフォードは、ゴール前で右に展開。途中出場の22番 クリス・ホウが両チーム通じて後半唯一となるトライを決めた。その後早稲田は何度かゴール前まで攻め立てるもミスや反則でスコアできなかったが、ついに37分、早稲田はイージーな位置で得たPGのチャンスを五郎丸が慎重に決め雨中の熱戦に決着を付けた。
早稲田としては、関東学院が勝っている相手だけに負けられないところ。快勝とはいかないものの、ほっとしているところだろう。

早稲田大学 22-20 オックスフォード大学 早稲田大学 22-20 オックスフォード大学 早稲田大学 22-20 オックスフォード大学
 

ヒル団長(右)、ブレナン キャプテン
ヒル団長(右)、ブレナン キャプテン

 

日英大学ラグビー対抗戦2006早稲田大学 22-20 オックスフォード大学

◎OXFORD大学
○Steve Hill団長

「ハードなゲームでしたが、早稲田大学に、おめでとうと言いたいと思います。オックスフォードも一生懸命良くやりました。日本に来て、この10日間は選手の怪我もありましたが、ベストパフォーマンスをしたと言えます。
(早稲田と関東学院はどちらが強いか、という質問に)両方ともとても強いチームです。ただ、早稲田のバックスは良くボールを動かす印象を受けました。関東も進歩するでしょうし、両方とも良いゲームをすると思います。前半は、最初のフェイズでトライを獲られたのが残念でした。故障者が多く、いつものポジションでない選手がいたせいです。ハーフタイムに対応を図り、後半はノートライに抑えたのは進歩と感じています。日本へのツアーは、年末のバーシティマッチに向けたトレーニング、プランニングの準備としてとても重要です。企画してくださった読売新聞社、日本ラグビーフットボール協会に感謝します。日本の大学ラグビーは、この9年間で大変質が向上してきましたので、とても参考になります」

○Kevin Brennanキャプテン
「早稲田の努力と勝利に対し、おめでとうと伝えたいと思います。ハードでワンダフルなゲームでした。我々も良いパフォーマンスがあり、エンジョイできました。
(レフリーとのコミュニケーションに関する質問に)例えば、スクラムでは早稲田も関東も組む前の間隔から、速く突っかけてきたように感じたのは事実です。しかし、言葉の壁がありますが、レフリーなりにベストを尽くしてくださったと思います」

早稲田大学 22-20 オックスフォード大学 早稲田大学 22-20 オックスフォード大学 早稲田大学 22-20 オックスフォード大学
 

中竹監督(右)、東条キャプテン
中竹監督(右)、東条キャプテン

 

◎早稲田大学
○中竹竜二監督

「今日は学生たちに思い切ってやって来い、相手は今シーズン戦うわけではないので、思い切ったミスなら構わない、楽しんで来なさいと送り出しました。バックスがセットから一発で獲るなど、少ないフェイズでトライできたのは評価したいと思います。バックスは合宿でもどこかもどかしさを感じていましたが、今日はいくつか成果も出ましたので、今後、伸ばしていきたいと思います。相手FWが全員100kg以上と非常に大きく、必ずFWが近場を前へ前へ来るので、いかに前でくい止めるかが課題でした。その点、ディフェンスは前に出て良く止めました。前半、スクラムからマイボールをきっちり出せませんでしたが、ハーフタイムに指示して、後半は修正できたと思います。相手はジョー・ロフ選手をキーパーソンとして来ると思いましたので、彼にいかにプレッシャーをかけるかがテーマでしたが、それができなかったこと、切るべきところを切る、ピンチのときのエリアの意識が今後の課題です」○東条雄介キャプテン
「今日の試合は大きいFWを受けてしまって、前で止めることができず、自陣で戦うことが多かったのが課題です。前半はスクラムをコントロールできなかったのも反省点です。良い形でバックスに球を供給できればトライが獲れることが分かりましたので、ブレイクダウンで勝って、ボールを大きく動かすのが僕らの武器ですので、今後修正していきたいと思います。
(後半のペナルティゴールを最初は狙わなかったのは何故という質問に)やはりトライを獲ることにこだわっていましたが、最後はショットして、今、一番自信のあるディフェンスで頑張ろうと思い狙いました。春、関東に負けてから僕自身は怪我をしてしまい、ずっと試合に出られず、今日はゲーム勘がなくて周りにサポートしてもらいましたが、皆良く声が出ていて、チームにも僕にも自信になった勝利です」