日本代表のエリサルド ヘッドコーチ(右)、大野キャプテン IRBパシフィック・ファイブ・ネーションズ TOSHIBAジャパンラウンド 日本代表 15-29 フィジー代表 ◎日本代表 ○ジャン・ピエール・エリサルド ヘッドコーチ 「勝って当然のゲームだったが、ミスが多く、ボールと得点機会を簡単に失い過ぎた。次週母国(フランス)に帰るが、このチームをコーチングできたことに喜びを感じる」 ○大野均主将「非常に残念な結果に終わった。与えなくてもいいTRYを与え、奪えるTRYをとり切れなかった」 ――今日のゲームはTRYをとり切れなかったのか、それともTRYを与えすぎたのか。 ○エリサルド ヘッドコーチ 「このゲームの分岐点は15-15後のキックオフ時の処理がすべてだった。この場面でのボールキープが稚拙で、その後の組み立てに悪影響を及ぼした。小さな点だが、ターニングポイントだった。 ゲーム前に選手には『スコアは気にするな、大事なのは内容だ』といった。チームとして機能し、今までやってきたことが具現化したことについては納得している。いいゲームだった」 ――チームとして進歩した点を。 ○大野均主将 「3月の結成時はチームとしてバラバラだったが、3ヶ月の時を経て粘り強いゲームができるほど成長したと実感する。アタックについては未熟であった」 ――ディフェンス時は高い集中力を感じたが、アタックについては迷いがあると感じた。 ○大野均主将 「まず敵陣に入ることを優先したが、その先が消極的過ぎた」 ――今日で日本代表としての活動は一区切りついたが、秋のワールドカップ・アジア最終予選への課題は。 ○エリサルド ヘッドコーチ 「この春夏シーズンについては、スクラム、タックルを起点とするディフェンス、キックの3点を日本の弱点と分析し、克服に全力を尽くした。が、まだ満足する水準には達していない。今日の敗因を挙げるならば、タックルを受けボールを簡単に放したことでターンオーバーされた場面が4~5回あったことだ。日頃、こうしたシチュエーションを想定した強いコンタクトをしていない。ダミーに腕はついていないしね」 ――後半終了間際、スコア15-22、相手ゴール前でのほぼ全員参加のモールを選択したことについてHCはどう思われたか? ○エリサルド ヘッドコーチ 「最良でも同点しか望めない場面であったが。モールシチュエーションの場合、オプションとしてブラインドは突いても、オープンプレーは選択しないのが鉄則であり、果たしてプレーヤーはその通りのアタックをした」 ――次年度も開催されるであろう本大会でHCが勝因をいえる場面があるだろうか。 ○エリサルド ヘッドコーチ 「私がコーチングした時間はわずか9週間である。独りの力で奇跡は起きない。が解決策は必ず存在する。ワールドカップまで、アジア予選を含め20ゲーム近くある。必ず予選突破し、ゲームをこなす中でチームの成熟を図っていく」 フィジー代表のピバック ヘッドコーチ(右)、ラウルニ選手 ◎フィジー代表○ウェイン・ピバック ヘッドコーチ「勝ち点5を来日の最大の目標にした。結果は満足したものの、内容には失望している。前半得点機会があったがモノにできず、ハーフタイム時に『集中力を高め、キックを蹴りすぎずにボール保持率を高める』ようアドバイスしたが、思うようにいかなかった。ハンドリングミスと日本の強いプレッシャーによる混乱という2つのミスが重なった」 ――日本のチーム力について、イメージと違っていたのか。 ○ピバック ヘッドコーチ 「トンガ戦ではゲームの入り方に欠点があったものの、オールブラックスジュニア戦では改善されていた。今日も出来として良かったのではないか。今日はどちらが勝ってもおかしくなかった」 ――日本のどこが弱点なのか。 ○ピバック ヘッドコーチ 「意図する攻撃ができないことではないか。オープンサイドで攻撃時に止められるとその後の工夫が足りないと感じた。 ジャパンのディフェンス対して、ミッドフィールドでリズムよくアタックし、止められたところで、展開を逆方向へもっていくことで崩せると思っていたが、ディフェンスがよく思ったようにアタックできなかった。がっかりしている」 ○セコベ・ラウルニ選手 「今日は非常にタフなゲームだった。コンディションは悪くなかった分、こちらもよく動いたと思うが、それでも疲労いっぱいだ。14番(WTB遠藤)の体力、当たりの強さ判断のよさが印象に残った。FWもよくまとまって強い」 ――前回のワールドカップ(フィジーと日本が対戦)時に比べ、日本のラグビーに質の変化があったと感じるか? ○ピバック ヘッドコーチ 「私はワールドカップ時は第三者で、スタンドで傍観していた(笑)。スクラムの強さは相変わらずいいものを持っている。コミットメント(特にディフェンス)、個人能力、精神面と以前と同様強いものを持っていると感じる。次回ワールドカップも覚悟している」