U23日本代表 ニュージーランド遠征リポート

4月23日(日)

朝から晴れ渡り、また暖かな一日になりました。ここPalmerston North から約1時間30分バスで走ったところにある、ちょうどウェリントンとの真ん中に位置するMastertonという町でWairarapa Bushクラブとゲームを行いました。

前半は両チームとも陣地の取り合いでキック合戦となり、22m以内に入るチャンスがなく0-0のまま20分を経過。前半23分、自陣22mの付近のラックから相手9→10→12と繋がれトライを取られるが、42分、敵陣22m付近のラックから右に9→10と繋ぎ10野村選手が抜け出しトライ。ゴールも成功し7対5でリードして前半終了。後半6分、相手陣22m付近のラックから左に展開されるが、11ポンギ選手が相手ボールをインターセプトしトライ。その後両チーム得点がなく時間が過ぎ、後半31分、相手陣ラインアウトからサイドアッタックでゴールラインまで迫り、最後はキャプテン佐々木選手がサイドを抜け出しトライ。さらにトライ後のキックオフからJAPANはボールを繋ぎラックから左に展開し、20→10→12と繋ぎロコツイ選手のノーホイッスルトライ。試合を決定づけました。また後半37分にも敵陣22m付近のラックから20→19→12と繋ぎロコツイ選手の連続トライ。後半ロスタイムには相手ボールをターンオーバーし16→20→12→21と繋ぎ21北川選手のトライ、野村選手のコンバートが成功したところでノーサイド。最終的には第1戦同様、JAPANの圧勝で2連勝することができました。

2連勝することはできましたが、まだまだミスやペナルティーが多く課題が残る試合となってしまいました。しかし、前半は得点できない状況が続き、さらに後半はレフリングの解釈の相違から連続してシンビンを出したにも関わらず勝利できたことは、NZU戦にむけて収穫のある一戦でもあったと思います。

試合後、簡単なアフターマッチファンクションの後、バスで次の滞在先であるウェリントンに向かいました。NZ滞在もあっという間に半分が過ぎました。いよいよ明日からはツアー後半に入り、最終戦では今ツアーの最強の相手、最大の目標であるNZUとの試合が控えております。そのためにも26日のOld Boys Victoria University にはしっかり勝っておかなければなりません。新たなスタートと考えて明日からまた気持ちを新たに出直していきたいと思います。

◎加藤ヘッドコーチ
「約一時間半のバス移動後の試合だったために、前半選手の動きが鈍いうえに、相手の攻撃と執拗なディフェンス、そして、レフリングへの対応などで前半は思ったようなゲーム運びができずに手を焼いてしまった。後半に入りシンビン2名を出されたにもかかわらず、選手たちは精神的に切れることなく徐々に攻撃のリズムをつかみ得点を重ねることができ勝利を勝ち取ることができました。初戦に続き相手を1トライに抑えるディフェンスは非常に評価できると思いますが、まだまだ攻守共に満足できるものではないので、今日のゲームの反省を元にさらにチーム力を向上させ残り2試合勝利を勝ち取りたいと思います」

ラインアウトの攻防   スクラムサイドを突破する吉田選手
ラインアウトの攻防 スクラムサイドを突破する吉田選手

JAPAN FW の攻撃   勝利を喜ぶ加藤HCとU23JAPANの選手たち
JAPAN FW の攻撃 勝利を喜ぶ加藤HCとU23JAPANの選手たち

4月22日(土)

今日も午前、午後の2部練習でした。昨晩のミーティングでは「NZUに勝利するための方法」を各グループごとに発表し、選手、スタッフからの質疑応答や意見を踏まえ、その方法に関して午前の練習で確認作業を行うということになりました。まずはラトゥFWコーチの指導のもと、パスドリルによるウォームアップ。遠征も約1週間が過ぎ、だいぶ選手間のコミュニケーションが取れてきたようで大きな声での指示が聞こえるようになってきました。その後タックルやラック、モール要素を含んだコンタクト練習を行いユニット練習へ。FWは特にセットプレーでのボールの確保が必定であるとの結論からスクラムの押しの方向やラインアウトの素早いムーブなどを入念にチェックしました。BKSは、いかに敵陣で試合するかを中心にキック攻撃やサインプレーの確認を行いました。

午後の練習は佐々木キャプテンによるCaptain's Run が行われました。グラウンドを細かく分け、地域ごとに攻撃法の確認を行いました。いよいよ明日は第2戦、Wairarapa Bush とのゲームです。第1戦同様、圧勝して2連勝といきたいところです。明日の試合に対する選手の気持ちも高まってまいりました。皆様の期待に沿えるよう、選手、スタッフ一同頑張りたいと思います。朗報を期待してください。

本日はU23JAPANの屋台骨、フロントロー陣のコメントを紹介いたします。
◎猪口選手「ツアー最初の出遅れを取り戻すため、明日の試合、気合を入れて頑張ります」
◎畠山選手「明日の試合はJAPANのフロントとして最高のスクラムを組みます」
◎山内選手「大和魂を忘れず、小さい体でNZUに立ち向かいます」
◎湯原選手「JAPANのプライドをもって頑張ります」
◎谷地村選手「気持ち大爆発、体も大爆発」

ミーティングで発表する佐々木キャプテン   タックル練習
ミーティングで発表する佐々木キャプテン タックル練習

フロントロー陣(左から楢岡、谷地村、湯原、畠山、猪口、山内の各選手)   Captain's Run
フロントロー陣(左から楢岡、谷地村、湯原、畠山、猪口、山内の各選手) Captain's Run

4月21日(金)

午前、午後の2部練習でした。午前の練習はウォームアップとして、チームを小グループに分けハンドリング要素を入れた様々なドリルの競争からスタートしました。体が温まったところでユニットに分かれ、それぞれの反省点を踏まえた課題の修正練習を行いました。FWはスクラム、ラインアウトの確認の後、キックオフディフェンスの練習を集中的に、BKSはポイントができた後の2次、3次攻撃の練習をそれぞれ行いました。

午後の練習は午前中同様、パスドリルによりハンズアップ、ランニングコースのチェック等基本スキルの確認をしながらウォームアップを行いました。その後は明後日のメンバーを中心に地域ごとのアタックの確認、残りのメンバーはディフェンスにまわり実戦さながらの激しいアタック・ディフェンスが繰り返されました。練習中のミスも徐々に減っていい感じで仕上がりつつあります。第2戦まで練習日はあと1日。明日はさらにミスを少なくし、気持ちを高め良い状態で試合に臨みたいと思います。

本日はホラニ選手、ポンギ選手、ロコツイ選手のトンガ勢に加えNZ人のネーサンのコメントを紹介いたします。彼らは6月11日のJAPAN vs イタリア戦の前座として行われるU23日本人選抜 vs U23外国人選抜の外国人チームの中心選手となることが予想されます。

左からポンギ選手、ホラニ選手、ロコツイ選手、そしてネーサン選手  
左からポンギ選手、ホラニ選手、ロコツイ選手、そしてネーサン選手

◎ホラニ選手「この遠征に選ばれて光栄です。頑張りますので応援よろしくお願い致します」
◎ポンギ選手「2011WC Best 8の壁を破るために自分も努力する」
◎ロコツイ選手「この遠征に選んでいただいて感謝します。これからも頑張ります。応援お願い致します」
◎ネーサン選手
「チームの雰囲気が良い感じです。絶対勝ってきます」

パスドリルで基本スキルを確認する選手たち   両チームによるアタック、ディフェンス練習
パスドリルで基本スキルを確認する選手たち 両チームによるアタック、ディフェンス練習

4月20日(木)

19日の激しい戦いを勝利で飾ることのできた選手たちは、午前中をプールリカバリーに当て疲労回復に努めました。吉田トレーナーの指導のもと、プールの中で筋肉の緊張をほぐすと同時に、ゲーム要素も取り入れ精神的にもリラックスできたようです。約1時間のセッションのあとホテルにてミーティングを行いました。

ミーティングはまず、一昨年のJAPAN対NZUの試合を見ることからスタートしました。そして個人で「VTRで見た相手を踏まえて昨日のゲームでの課題を注出」し、「2004年のNZUに勝利する方法」をグループワークでゲームプラン、レフェリーなどの観点から討議しました。一昨日のミーティング同様、選手は非常に熱のこもった議論を戦わせ、この遠征の教育的効果が徐々に現れてきたようです。

昼食後はフリーとなり、ウェイトトレーニングする者や、近くをショッピングをかねて散歩する者と各自思い思いの方法で過ごしました。明日からまた第2戦のWairarapa Bushの試合に向けての練習が始まります。気分転換した選手たちの溌剌とした動きを期待したいと思います。

本日は昨日のThe man of the match を獲得した谷口選手をはじめ吉岡、吉田、楢岡選手のコメントを紹介いたします。
◎谷口選手「日本代表として大和魂のすごさを見せつけてやります」
◎吉岡選手「すばらしい仲間と練習ができ、勉強になります」
◎吉田選手「初戦を勝つことができました。次も頑張ります」
◎楢岡選手「俺の大盛つゆだくスクラムをNZUにぶちかまします」

プールセッション   ゲームの課題を抽出する選手たち
プールセッション ゲームの課題を抽出する選手たち

散歩に出かける左から楢岡選手、谷口選手、吉田選手、吉岡選手
散歩に出かける左から楢岡選手、谷口選手、吉田選手、吉岡選手

4月19日(水)

「Massey University U23」とのゲーム前半8分、敵陣でのラインアウトから13番重見-ホラニ-ロコツイと繋ぎロコツイがそのままトライ。その後もFW、BKS一体となった連続攻撃から2トライを加えJAPANペースで試合が進んだ。しかしその後は自らのミスやターンオーバーでなかなか得点を奪えず、逆に自陣ゴール前で釘付けになる場面も見られたものの、相手に得点を許さず逆にTRYを奪い24対0で前半を終了。

後半に入り、モールドライブからのトライやフルバック有賀を起点としたカウンターアタックなどから連続トライをあげ一方的な試合になると予想されたが、相手の動きも徐々に良くなり自陣に攻め込まれるシーンが多く見られるようになった。29分、マッセイ大学の連続攻撃から2番がJAPANゴールラインを破り、ついにTRYを許してしまった。そのまま相手ペースになるかと思われたが、後半に交代で入ったCTB有田、WTB濱島の活躍でトライを奪い一気に試合を決めた。

今回の試合は第1戦ということもあり、コンビネーションでのミスや反則が多く、NZUをターゲットにしているチームとしてはまだまだ修正しなくてはならない部分がたくさんあり、納得できる試合内容ではありませんでした。しかしまだまだ伸びる可能性のある個人・チームであるとの印象を受けました。明日の練習から次の試合までに修正点を正し、NZUに勝利できるチームを作り上げていきたいと思います。

◎加藤ヘッドコーチ

「成田でチームとして初めて集合し、3回の練習のみで初戦を迎え、とても不安がありました。しかし選手たちの頑張りで勝利できたことをうれしく思います。ただ今日のゲームで多くの課題が出てきました。最終戦のNZU戦までに課題を1つ1つ克服しチームの熟成度をさらに高めることのできるよう、今後もチーム一丸となって取り組んでいきたいと思います」

モールを押し込んでトライ   FW、BKS一体となった攻撃
モールを押し込んでトライ FW、BKS一体となった攻撃

4月18日(火)

3日目の今日は朝からかなり激しい雨が降っていたため、まずは体育館でボールゲームの要素ならびにコンタクト要素を含んだウォーミングアップで動き回りました。その後ユニットに分かれ、FWはスクラムマシーンを使っての8人のスクラムの押しの確認、BKは雨のゲームを想定してのキックでのアタックならびに相手キックからのカウンターアタックの練習を行いました。その後、明日の先発メンバー中心にチームランを行い午前の練習を終了いたしました。

午後はチーム全体でミーティングを行いました。このメンバーは2011年のワールドカップをにらんだ強化の中心選手となるため、「国際水準で戦える選手になるためには」や「体力、体格で勝るラグビー強豪国に勝つための方法は」等の課題に関してグループごとにディスカッションを行い、その結果を発表、意見交換と、ミーティングはワークショップ形式ですすみました。選手、スタッフ共に活発な意見交換を行い実りあるものになりました。後半は明日の試合についての心構え等、具体的な内容を確認しあって終了いたしました。いよいよ明日は第1戦です。皆様に良い結果が伝えられるよう、選手、スタッフ一緒になって頑張って試合に臨みたいと思います。

チームラン   ミーティング
チームラン ミーティング

4月17日(月)

Palmerston Northに入り2日目、U23チームの練習が本格的にスタートしました。Palmerston North Boy's High Scoolのご好意により広いグラウンドを自由に使うことができました。午前中は1対1、1対2等の基本的なディフェンス練習を中心にかなり激しい内容でした。ニュージーランドでは、体を張ったタックルにより失点を最小限に抑えなければ試合に勝つことはおろか、大敗につながってしまいます。システム以前の問題です。体を張ってしっかり相手のタックルポイントに入れるか、2人目はどこに入るかなど入念にチェックいたしました。最後は激しいフィットネス・トレーニングで締め、選手にとってはかなりハードな内容だったようです。

午後はユニットに別れ、FWはスクラム練習を中心に、BKはラインアタックを中心に練習を行いました。最後にはチームによるアタック、ディフェンスの確認が行われました。セレクション合宿を行ったとはいえ、セブンズ代表メンバーが新たに加わったり怪我人によるメンバー変更などのため、まだまだコミュニケーションが取れずミスが目立ちました。第1戦まであと2日、これらの点を修正して万全の状態で臨めるよう頑張りたいと思います。今回は佐々木隆道キャプテンのコメントを紹介いたします。

◎佐々木キャプテン
「まず、今回U23日本代表の一員としてNZに来られたことに対し、私自身非常に嬉しく思っております。そして代表としてのプライドを持たなければならないと再認識しているところです。この遠征の目標はU23日本代表という1つのチームになること、そしてNZUに勝つこと、の2つです。ハードルは非常に高いと感じますが、それを達成したときに得られる感動はすばらしいものだと思います。代表として戦うからには勝ちます。期待してください」

加藤ヘッドコーチの厳しい目が光るなか、ディフェンス練習   佐々木隆道キャプテン
加藤ヘッドコーチの厳しい目が光るなか、ディフェンス練習 佐々木隆道キャプテン

ラトゥFWコーチ指導によるスクラム練習
ラトゥFWコーチ指導によるスクラム練習

4月16日(日)

約12時間のフライトでクライストチャーチ経由にてオークランドに11時45分に到着するところ、クライストチャーチが霧のため着陸できず、8時40分に直接オークランドに着陸しました。15時40分発のパーマストンノース行きの飛行機までの間、約6時間という長いトランジットの時間ができてしまいましたが、各自換金や昼食をとるなどして時間を使い少々待ちくたびれながらも定刻どおり、パーマストンノースに向け出発しました。しかし我々の搭乗した飛行機は約50人乗りの小さな双発プロペラ機のため荷物が積みきれず、すべての荷物がホテルに着いたのは深夜になってのことでした。

ツアースタートからトラブルが続きましたが選手、スタッフが皆元気で無事ホテルにチェックインできたことが何よりです。いよいよ第1戦に向けて明日から練習が始まります。皆様、応援のほど、よろしくお願いいたします。

◎上野団長
「今回のツアーは今まで以上に重要な意味合いを持つものと考えております。主力は大学を今年卒業した選手たちです。2011年ラグビーワールドカップの主力メンバーになるこの年代層の選手たちを5年間にわたり計画的にそして徹底的に教育、強化し、5年後のワールドカップでベスト8入りする目標を実現するため、このツアーをそのスタートと位置づけております。このツアーは4試合を計画しておりますが、内容のある質の高いゲームができればと考えております」