●4月9日(日)
フランス合宿9日目。いよいよ練習マッチ最終戦チュニジア戦を迎えます。午前中の練習前に26名のメンバーが発表されました。その後、ホテル内敷地で軽く体を動かしました。
11時30分に昼食を取り、12時10分に会場であるサントに向け出発しました。ボルドーの北に位置するサントまで、約3時間半かかります。途中、高速道路のパーキングにて、軽いストレッチを行い午後3時半過ぎ、会場「STADE YVOU CHEVALIER」に到着しました。到着時には、ボルドーを越えたあたりから降り出した雨が、次第に強さを増してきました。さらに気温もぐっと下がり6℃という真冬並みの寒さとなりました。U.S SANTES RUGBYのクラブハウスでプレマッチミールを取り、試合に備えます。
午後5時50分、ウォーミングアップ前に中山コーチから「練習でやってきたことをやりましょう。密集周辺はファイトしよう。今日の試合は、練習マッチだけれども国と国との代表同士の試合、テストマッチ。我々は、国の代表としての誇りと責任を持って戦っていこう。今日は、みんなにとって非常にチャンスです。チャンスというのは、そう何度もやってこない。このチャンスをしっかりものにしてください。勝ちましょう」とのコメントがあり、ウォーミングアップを開始、テストマッチさながらの緊張感の中でのアップとなりました。
試合開始10分前、ウォーミングアップを終えた選手たちがロッカールームに戻り着替えを済ませ、ロッカーアウトまでの時間を待ちます。エリサルドヘッドコーチから「これは練習じゃない試合だ。切り替えろ。絶対勝つぞ」との檄が飛びました。ロッカーアウト1分前、伊藤護ゲームキャプテンを中心に円陣が組まれます。「今日はテストマッチ、痛いことをしよう、そして絶対に勝とう」とのキャプテントークに皆がいっせいに応えます。チーム一丸となりグラウンドに向かいました。
入場後、国歌が流されグラウンドがテストマッチのような緊張感に包まれます。降りしきる雨の中、キックオフを迎えます。チュニジアボールのキックオフで試合開始。前半風上を選択した日本代表は、キックを有効に使い敵陣に入り込みます。
前半4分、相手陣10m付近で得たペナルティーキックをタッチに出し、G前からのマイボールラインアウトを押し込みWTB大畑がトライを上げ、日本が先制します。
その後も相手陣でプレーし続ける日本代表は、15分、再び相手陣でのペナルティーキックからタッチに出しG前ラインアウトからモールを押し込みHO山岡がトライを上げ突き放します。その後は、ぬかるんだピッチとすべるボールに悩まされ得点を重ねることができずに前半を終了します。
大幅にメンバー変更をして臨んだ後半。4分にWTB大畑が狭いスペースを一瞬のスピードで抜き去りトライを上げチームに勢いを与えます。しかし。この後チュニジアに攻め込まれ8分にトライを奪われます。その後は、キックの応酬となり一進一退の攻防が続きました。後半33分、日本代表にチャンスが訪れます22m付近のラインアウトからBKに展開、できたラックから素早く展開SO大西がG前に上げたパントをFB水野が押さえトライを上げました。後半ロスタイム、相手WTBに走られトライを許すも、課題であった密集周辺のファイトと激しいディフェンスをし続けた日本代表が20-12で勝利を収めました。
これで、フランス合宿の練習マッチはすべて終了しました。ここまでの練習マッチで得た課題をしっかりと克服し、ラグビーワールドカップ2007アジア予選を迎えたいと思います。フランス合宿は後3日。明日は、午前中リカバリートレーニングを行い、午後はビアリッツに観光に行きリラックスします。
◎浜本剛志 代表チーム事業部担当理事
「今日の試合は天候も悪かったので思い通りのことができなかったが、まずは勝って良かった。スクラムは少し課題が残った。やってきていることはできているが、まだ完成までいたっていない。しっかりと課題を修正してRWCアジア予選、グルジア戦、パシフィック・ファイブ・ネーションズに臨みたいと思う。この合宿は、体の大きな外国人のパワープレーや我々がやろうとしているフランスラグビーを知る上でいい経験になったと思います」
◎前半でゲームキャプテンを務めた伊藤護選手
「相手はチュニジア代表ということでテストマッチの気持ちで臨んだ。選手全員気持ちが入っていました。試合前は凄くいい雰囲気で試合に入れました。ゲームは、雨ということもあったので、接点の強さ、近場を攻めるということに集中しました。みんな体を張っていたし、良かったと思います。選手全員いいアピールができたと思っています」
◎後半でゲームキャプテンを務めた矢富勇毅選手
「雨だったので、敵陣に入って突き放して終わりたかった。攻めのリズムを変えてトライを獲りたかった。要所要所いいところはあったが、後一歩のところでとりきれなかった。最後までとりきりたかった。
この合宿は、自分としては課題も残りましたが、非常にいい経験をさせてもらいました。日本代表は、今まで手に届かないところにあると思っていましたけど、こういうチャンスに恵まれたのでしっかりものにしたいと思います」
◎吉田英之選手
「前半は風上だったのでキックを効率よく使って攻めることができた。後半はキック処理のミスもあって、なかなか思い通りにはなりませんでした。ただ、この試合によって今後の向かい風の時の対応などいい意味で課題が残ったと思う。これからしっかりと克服したい。
それでも、後半の水野の非常にいい形でのトライもあった。あのような早い展開を目指していきたいと思う」
◎北川俊澄選手
「天気が悪くてシンプルなゲーム運びとなってしまった。そんな中でも、いい形でBKがトライをとってくれたし、FWも力負けしてなかったので、いい部分が見えたと思う。いい形で合宿を終えられると思う」
◎水野弘貴選手
「雨のゲームは、日本は得意じゃない。これを克服しないと世界との差は縮まらない。雨のゲームを上手く戦えるように練習を重ねる必要があると思います。
チームとしては、まだまだコミュニケーション不足のところがあるので、DF面でチグハグな部分が出てしまった。声を出すほうも聞くほうも、意識しないといけない。そういう所を修正していけば、もっと上にいけると思う」
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試合前に行われたU.S SANTES U15との記念撮影 |
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国歌を聴く久富・大野・大畑 |
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ラインアウトは終始安定していた |
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強固なモールも大きな武器 |
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課題だったスクラムも8人が固まって押し込んだ |
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キックを有効に使い敵陣へ入る |
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雨にも関わらずスタンドには多くの観客が |