◎箕内拓郎・日本代表キャプテン
「フランスからウルグアイ、アルゼンチンと、厳しい日程のなかハードなトレーニングをこなしながら、選手も一丸となってまずウルグアイに勝つということで臨みましたが、残念ながら負けてしまいました。アルゼンチンにもビッグチャンスだと臨んだのですが、最終的には負けてしまい、残念な遠征になってしまいました。
そうしたなかでも、一部の選手だけでなく全員が手応えを感じた遠征だったんじゃないかと思います。フランスのラグビーを採り入れたこともそうですし、選手たちもアイルランドには勝とうということで一致しています。5月からのテストマッチをがんばっていこうと思っています」
今後の国際試合に向けて
◎萩本監督
「今回、いちばん印象に残っているのは、アルゼンチン戦での後半20分のトライでした。攻められっぱなしで、それをディフェンスでしのぎきって、結局相手がドロップゴールを狙い、それがはずれてターンオーバーで、大畑のトライに結びついた。これが日本の目指すラグビーの象徴ではないかと思いました。
大畑をウイングに戻したのは、ヴィルプルー氏の考えから、ラインを1線ではなくて、ツーラインにし、その後ろからデコイプレーでディフェンスに穴をあけていく、そこを一気に攻めて崩していくためです。これはフランス合宿を経てウルグアイ戦である程度定着してきました。
またディフェンスでも選手のモチベーションが高まって、下に入るディフェンスができています。アタックとディフェンスが表裏一体という考えにも馴染んできていたので、ターンオーバーが生まれ、アルゼンチン戦での大畑のトライにつながったと考えています。
今後は、ラスト20分のフィジカル、メンタルのタフさをつける必要がある。選手もそこの意識はいままで以上に高いので、練習のなかでその部分は打ち込んでおり、改善されていくことを信じています。また、攻撃ではモールの活かし方、攻撃のポイントを増やすという観点で、モールを使っていきたい。
あとはスクラムですが、アルゼンチン戦でもマイボールはほぼコントロールできていた。フランス人のコーチからは、スクラムに関して悲観的にすぎるといわれているのですが、彼らのスクラム理論をそのまま応用してもうまくいかないと思っていますので、もう少し詰めたいところです。選手に迷いが生じてはいけないので、慎重に見極めていきたい。
また、バックスリーはひじょうに能力があるので、そこをどう活かすかも今後の練習でさらに考えていきたいと思っています」
◎箕内キャプテン
「フランスのラグビーを導入するにあたっては、練習のなかでスペース、時間を意識しながらボールを動かすということを、常に考えてやるようになりました。それから、試合をやって、ラックの回数が減るようになった感じがします。
ディフェンスについては、昨年の欧州遠征の反省もあって、選手たちは危機感をもって取り組んでくれました。点をとられてはいますが、選手たちが必死にくらいついたことは確かに感じています。これからの試合に向けては、セットプレーをしっかりして、そのなかでボールの動かし方を常に考えて判断するようなラグビーを目指していきたい」
◎萩本監督
「いま、選手たちは脱皮をしようともがいています。ワールドカップ予選の香港戦はぜひ白星をあげたい。次の韓国との試合もただ勝つのではなく、叩きのめしたい。そしてスーパーカップでさらに精度の高い試合ができれば、アイルランドともいい戦いができるのはないかと考えています」
記者からの質問に答えて
――メンバーの変更はありますか。
◎萩本監督
「27名のメンバーはそのままに、NZUの結果を受けて若干名をプラスし、アイルランドまで乗り切りたいと考えています。遠征途中、けがで抜けた2名も回復具合をみながら調整していきたい」
◎勝田委員長
「いま導入しているフランスのラグビーは、そうかんたんに形になって現れるものではないと考えています。そのラグビーを理解し、体現できるようになるには時間がかかると思いますので、萩本監督には、あまりメンバーを変えないようにお願いはしています。あとは日本A代表でいいメンバーがいるという話はセレクターから来ていますので、若干加わるかもしれませんし、学生日本代表からも若い選手を少し加えたいとも考えています」
最後に強化委員長から
◎勝田委員長
「フランスにチームを送り出すときに、スタッフにこういいました。フランスのラグビーを受け入れるというよりも、ぶつかってきてくれと。日本がいままでやってきたこともしっかりと伝えてほしいと。
ぼく自身、ひとつ殻を破りたいと思っていました。本当に世界と戦うには、ベストのメンバーを集めて短期間の合宿でやれることをやるだけでは、先がみえてしまう。新しいこと、これまでとはちがう可能性があることに挑戦してほしかったので、ヴィルプルー氏を中心とするコーチングを注入することにしたわけですが、日本のやってきたこと、いいことにうまくミックスして新しいかたちを求めたいのです。
萩本監督の話にもありましたように、薫田君も中山君も、フランスのコーチとかなりぶつかって、私が合流したときのミーティングも怒鳴り合いのようになっていました。そのときフランスのコーチは『こういうことは初めてだが楽しい、日本のスタッフはちゃんと主張をもっているから面白い』と話してくれました。
もうひとつ心配していたのは、選手たちがどう受けとめるかだったのですが、大畑君などは『彼らのいっていることはメチャクチャ面白いですよ、これやったら絶対次に行けますよ』といった話をしてくれました。
これからの国内戦、当然、代表チームですから、皆さんの前で勝つジャパンをみせなければならない。フランスのコーチとぶつかり合って生まれつつあるものが、1日も早くグラウンド上で現れることが大事で、スーパーカップの頃には新しいジャパンをお見せできるのではないかと思っています」
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