タフな海外遠征を経てチームは順調に成長
イングランド、フランス、ウェールズに挑戦

「World Rugby U20 Championship 2015」 2日、イタリアで「ワールドラグビーU20チャンピオンシップ2015」が開幕する。
今年、6年ぶりにU20レベルにおける世界最高峰大会に参戦することになったU20日本代表は、ディフェンディングチャンピオンであるイングランドとの対戦で、19日間に渡る戦いをスタートさせる。

(text by Kenji Demura)

「ビート・ウェールズ」を目標とするチームは「ビート・イングランド」でU20チャンピオンシップ初戦に臨む
photo by RJP Kenji Demura


昨年までIRBジュニアワールドチャンピオンシップ(JWC)という名称だったユースレベル最高峰の本大会。
日本は昨年、下部大会であるIRBジュニアワールドラグビートロフィー(JWRT)で優勝を果たし、世界ベスト12カ国による戦いの場への復帰を果たした(注:09年当時のJWC参加14チームは計14)。
日本開催だった09年大会以来の復帰となるユース世界一を決める大会のプール戦で日本が戦うのはイングランド、フランス、ウェールズ。

3年前に中竹竜二ヘッドコーチ(HC)が率いて遠征したウェールズで喫した7-119という大敗もあって、今季、再びU20日本代表を率いることになった同HCは「ビート・ウェールズ」を大きな目標に掲げてチーム作りをしてきた。

「事前にいろんなを経験させてもらったし、順調と言えば、順調」

同HCが手応えを訴えるとおり、タフな海外遠征も経験し、着実にチームとしての逞しさを増しながらイタリアでの本番を迎える。

3月にはフィジーで行われたワールドラグビーパシフィック・チャレンジ(WRPC)2015に参加。
このWRPCは本来エイジグレード関係なく第2代表レベルが参加する大会だが、U20チャンピオンシップに向けた強化のためジュニア・ジャパン名義ながらU20代表候補選手で構成したメンバーで臨んだ。

堀越主将を中心とするFW第1列はセット、フィールドプレーともに大きく成長。欧州列強に互角以上の戦いを目指す
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結果は対カナダA=17-69、対フィジーA=0-83、対トンガA=24-60、24-43と、4連敗。
ただし、前述どおり対戦したのはいずれも第2代表レベルのチームだったこともあり、同大会終了後に中竹HCが「確実に成長の機会となった」と語ったとおり、世界で戦う感触をつかむという意味では収穫の多い遠征となった。

5月には「オセアニアラグビージュニアチャンピオンシップ2015」でも強豪国の胸を借りた。
U20チャンピオンシップの前哨戦とも言えるU20カテゴリーの大会で戦った相手はニュージーランド、オーストラリア、サモア。
ニュージーランドには0-75と零封されたものの、豪州に31-47、サモアには後半32分までリードしながら30-33で競り負けるという互角の戦いも経験。
「いろんな経験をさせてもらった。大敗も接戦も。勝ちだけ経験していないが、全て学びに変えて『ワールドラグビーU20チャンピオンシップ2015』に強気で臨みたい」(中竹HC)と自信を深めた。

FWのセット、近場のプレーに自信
BKのカウンターアタックも強みに

前述のとおり、初戦で対戦するイングランドは昨年の優勝チーム。今年もU20の6カ国対抗を制するなど、昨年同様の力を持つことは間違いなく、当然優勝候補と見られている。
「6カ国対抗の映像を見ても、他のチームが気合いが抜けているんじゃないかというくらい強い。そのチャンピオンにどこまで食らいつくか。(国内での最終)合宿の初日からイングランドの映像は見せている。いまはビート・イングランド。初戦に全力を出し切ることしか考えていない」(中竹HC)

「ビート・ウェールズ」を掲げてきたチームだが、まずは「ビート・イングランド」に絞ったかたちでイタリアでの戦いに挑むことになる。
「ビート・ウェールズが目標だが、イングランドも変わらない強さを持つチーム。ベストの試合をしてしっかり勝ちにいく」と抱負を語るのはHO堀越康介キャプテン。
「強みが何個も増えてきている。FWで言えばスクラム。ゴール前でのサイン、ボンバー(シェイプを作らず、FWで真っ向勝負)というのも、自分たちの強みとして持っている。BKで言えばカウンター。一つひとつのプレーの精度が上がってきている」という同主将の感触はメンバー全員に共通するものでもあるだろう。

BKのカウンターアタックでのキーマンでもあるWTB尾崎副将は昨年に続いてのU20世界大会となる
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「FWのセットプレーと、近場のプレーに自信を持ってやっている。力技というよりは、8人のスピードと低さで、セット、そして近場で優位に立ちたい。
BKではカウンターアタックからのトライパターンが多く、ビッグゲインにもつながっている。ここを軸に戦っていきたい。
もちろんプレーは全部つながっているので、FWを生かすために後ろでBKが動いたり。相手のディフェンスを行ったり来たりさせる中でFWで行って、取るところでBKで取り切るとか。
カウンターアタックもBK中心だが、CTBの戻りの速さだったり、FWの戻りの速さだったりが勝因につながっていく」

中竹HCは世界の強豪を倒すための日本がやらなければいけないプレーをそんなふうにダイジェストする。

HO堀越キャプテンを中心とするフロントローがセットプレーで踏ん張り、WTB/FB尾崎晟也(崎は正しくは「山」へんに「竒」)バイスキャプテンを中心にしたカウンターアタックで、欧州の強豪の守りをズタズタにして、「ビート・ウェールズ」につながる「ビート・イングランド」にチャレンジする。

WTB尾崎副将と同様、2年連続でU20代表に選ばれたSO/FB野口も2度の海外遠征を経て大きく成長
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個々のパワーでは劣る日本にとってNO8タタフのペネトレーターぶりは大きな武器となる
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