マッチリポート 第50回 全国大学選手権大会

流通経済大学 19-5 中央大学
【セカンドステージ 2014年12月21日(日) /東京都・秩父宮ラグビー場】
11月30日に関東大学リーグ戦で両校が対戦してからわずか3週間。3週間前は流通経済大が26-21で勝利しているが、これは流経大が後半ロスタイムでの逆転トライでようやく勝ったもの。流経大はこの勝利でリーグ戦優勝。中央大はリーグ戦5位となったが、前週の大学選手権第1節でも慶応大にも善戦し、これらの上位校とほぼ互角の力を持っていることを示している。今日の試合は流経大にとってはリーグ戦優勝校の力を示して準決勝に進出するためにも必勝の試合、中央大にとっては、3週間前の敗戦からリベンジの試合となった。
試合は両チーム、我慢のディフェンス戦となった。前半、流経大はフェイズを重ねてよくボールを展開し、アタックを続けるが、中央大はよく前に出るディフェンスを続けて流経大のCTB合谷和弘、WTBジョセファ・リリダムらの切り札もなかなかスペースを突けない。一方、流経大ディフェンスもよく中央大BKのアタックを止め続けていた。
13分、流経大WTBリリダムが危険なプレーでシンビンとなり、流経大は14人で戦わざるを得なくなった。しかし、このシンビンの10分間に両チームでの初得点を挙げたのは、14人の流経大だった。流経大はシンビン後にはFW戦中心で攻め、敵陣ゴール前5mでのスクラムを得ると、スクラムからFWのサイド攻撃でゴールラインを狙う。中央大FWもこれをよく止めていたが、最後に、21分、流経大でこの日負傷のため出場していない木村海斗主将に代わりゲームキャプテンを務めているLO今野剛秀がトライに持ち込んだ(ゴール成功 7-0)。
中央大は7点ビハインドとなったがその後も好ディフェンスを続け、前半の30分過ぎには流経大ゴール前に攻め込み、再三FWのモール攻撃でゴールラインをうかがう。ようやく38分、中央大はラインアウトからのモール攻撃でボールをうまくコントロールしてゴール前に攻め込み、最後はNo.8北村彦樹がトライ。しかしほぼ中央からのSO浜岸のコンバージョンを流経大の長身WTBリリダムがナイスチャージでゴールを阻止、スコアは7-5となってハーフタイムとなった。
後半も引き続き、流経大がよくボールを継続して敵陣に攻め込むも、中央大が好ディフェンス。また中央大も敵陣に攻め込んでもなかなか得点にはつながらず、7-5のスコアの時間が続いた。
この我慢のディフェンス戦を制したのは流経大だった。後半28分、敵陣ゴール前に攻め込み5mスクラムを得た流経大が、スクラムからのサイド攻撃からラックを重ねFW戦でゴールラインを狙う。最後はFL今井宏輔がトライ(ゴール失敗)、12-5とした。さらに後半35分には、中盤でのラックから中央大にボールが出たところで、流経大HO中村篤郎がボールをジャッカルして獲得すると大きくゲイン。中村が倒れながらもボールをSO東郷太朗丸につなぐと、東郷が再び大きくゲイン。最後は東郷からバックフリップパスをWTBリリダムにつなぎ、リリダムがインゴールにトライ(ゴール成功)。19-5として、試合を決めた。
流経大は次戦、江戸川陸上競技場で慶応大と、プールB1位、正月の準決勝進出を賭けて戦うが、慶応大の魂のタックルに対して流経大がどれだけ我慢を続けられるかが課題となるだろう。

(正野雄一郎)

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(c) JRFU 2014, photo by K.Matsumoto
会見リポート
 

監督・キャプテン
流通経済大学の内山GM兼監督と今野ゲームキャプテン

流通経済大学

○内山達二GM兼監督

「ありがとうございました。今日のゲームはかなりラインブレイクしたモメンタムからのテンポあるアタックを意識して臨みました。しかしミスがあって、終始自分たちのテンポで試合を進めることができず、苦しみました。しかしラインアウトは100%、スクラムもかなり安定してFWが頑張って組んでくれました。相手のゴール前のモールデイフェンスはかなりレベルが高かったです」

──タックルに入られたところのミスがあったが?

「インコンタクトの状態で継続しようとしたのがミスの原因です。サポートも遅れました」

──ボールの繋ぎは?

「継続するのをちょっと焦ったと思います。獲り急ごうとして、プレッシャーを受けながらボールをつなごうとするので、プロテクトすべきでした。アウトオブコンタクトをつくること、そこの判断ができませんでした。慶應さんは魂のタックルのチームですので、しっかりアウトオブコンタクトをつくることが大切です」

──キャプテンは?

「木村はひざを痛めて、来週はおそらく出られると思いますが、無理させるつもりはありません。本人が100%できるようであれば出します。一つの成果として、リーダーシップのあるキャプテンがいないところで今野がチームを引っ張り、上学年が少ない中、ワンチームとなって勝つことができたのは良かったと思います」

○今野剛秀ゲームキャプテン

「今日はキャプテンが怪我で不在の中、相手の厳しいタックルにテンポが作れず、後半何とか勝つことができました。来週の慶應戦は中央さん以上のタックルを持っていると思うので、しっかり修正していきたいと思います」

──タックルに入られたところのミスがあったが?

「コンタクトのオフロードでは、裏に出てからのオフロードを狙っていましたがミスが出ました。しっかりフィジカルで勝って、そこでオフロードすべきでした」

──しっかりつないで獲り切ったが?

「チャンスになる前に、ボールを落として敵陣に入る前にキープすることができませんでした。前に出てのオフロードができず、ボールが手につかずミスしたのだと思います」

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(c) JRFU 2014, photo by K.Matsumoto
 

監督・キャプテン
中央大学の松田監督と檜山キャプテン

中央大学

○松田雄監督

「本日はたくさんの関係者の中、秩父宮で試合ができましたことに感謝申し上げます。流通経済大さんには11月30日に最後は悔しい思いで負けたので、チーム一丸となってリベンジしたいと臨みましたがなかなか思うような展開とならず、今日も負けました。悔しい思いで一杯です」

──今日、具体的に勝つための作戦は?

「前回の反省から、FWの近場のプレーを少し離したところでやろうとしてそれはできたのですが、今回はエリア管理がうまくいかず、後半は敵陣でのプレーが少なかったです。そのため、ディフェンスに次ぐディフェンスになってしまいました」

──後半、15分から20分の間、ドロップゴールなどもあったのでは?

「ドロップについては浜岸に任せています。何度か継続して自分たちの形が作れましたが、前半の疲れもあって、FWもワンチャンスで獲りに行ってしまったと思います」

○檜山翔一キャプテン

「11月30日に負けてから、リベンジをしたいと思ってやってきました。今日も後半の40分からリズムを作れず、チームとしてのミスからビッグゲインされ外で獲られました。チームとして春からの課題でしたので、最終戦ではそこを強化して臨みたいと思います」

──後半、モールが組めたのでは?
「相手のゴール前でのモールトライを目指しましたが、ちょっと遠すぎて。相手のプレッシャーも強い中、もうちょっとしっかりゴール前に入って、我々の強みであるモールを組めたら良かったと思います」