マッチリポート 第50回 全国大学選手権大会

明治大学 41-29 大東文化大学
【セカンドステージ 2014年12月21日(日) /東京都・秩父宮ラグビー場】
12月21日午前11時40分、前日の氷雨から比べると、少し暖かく感じられる秩父宮で、明治大学のキックオフで試合が始まった。明治にとっては「死のプール」から大学選手権準決勝に進むためには負けられない一戦。大東文化大学にとっても44-22で自分たちの良さを十分発揮できなかった筑波大学戦での反省を生かし、一矢報いたい試合である。
前半3分、明治は大東ゴール前左中間スクラムから、8番がサイドを突きラック。このラックサイドを4番東が左中間にトライ。コンバージョンは外れ5対0とする。前半7分には、大東大10番川向が明治インゴールにゴロパントを蹴り込むが、明治BKが抑えてノートライ。ここからしばらくは大東大FWが頑張り、明治のラインアウトをスチールするなど健闘するが、明治の好タックルを受けてのノックオンなど、ミスが目立った。
15分、明治は大東陣左中間ゴール前5mのスクラムから8単で、8番山下がタックルを引きずりながら左隅にトライ。コンバージョンは外れるも10対0と点差を広げた。
24分、明治は大東陣左中間22m付近スクラムから右へ9番から10番と展開し、そこへ走り込んできた11番紀伊がパスダミーを入れながら右中間にトライ。10番堀米のコンバージョンも決まり、17対0とする。
このまま点差が開いて前半終了かと思われたが、31分、大東大5番鈴木がラインブレイクしての大きなゲインから素早く9番から12番と繋ぎ、最後は右隅に14番戸室がトライ。コンバージョンは外れるが17対5とする。さらに38分、大東は10番がラインブレイク。ラックから9番がもぐり、明治ゴール前ラックから13番サウマキが右中間に飛び込み、17対10と喰らいついて前半終了。
後半5分に、明治は相手のオブストラクションから得た右中間22m付近のPGを10番堀米が決めて20対10とする。さらに7分、明治は大東陣左隅5mでの相手のハイタックルの反則から速攻、9番から10番とつなぎ、最後は7番桶谷が中央にトライ。10番堀米のコンバージョンも決まり、27対10と突き放しにかかる。
さらに15分、明治は大東陣右30mで得たオーバーザトップの反則から速攻。9番から7番と渡り、最後は14番成田が右隅にトライ。10番堀米の難しい位置からのコンバージョンも決まり、34対10となり、勝負あったかと思われた。
ここまで、大東はFWのリアクションの遅さから攻撃の枚数が不足しがちで、9番小山の良く前を見た素晴らしい飛ばしパスにも反応が鈍くチャンスをつかめなかったが、ここからリズムをつかみ始める。22分、明治陣右中間スクラムからダミーパスを交えながら9番小山が右中間にトライ。15番大道のコンバージョンも決まり、34対17とする。
さらに27分、大東は明治ゴール前5mの左ラインアウトからモールを組み、2度のラックを挟んで攻めるが攻めきれず。31分のノックオンはもったいなかったが、35分、大東は左サイドを6番長谷川がブレイクし、そこから右へ左へ逆目を突き、12番梶本のフリップパスから13番サウマキが右中間へトライ。15番大道のコンバージョンも決まり、34対24とする。
さらに37分、キックオフボールを右へ振り、14番戸室がサイドライン際を疾走。最後はサポートした7番のキャプテン篠原が右中間へノーホイッスルトライ。34対29と追いすがり、一発逆転の僅差となる。
しかし最後は、ここからのキックオフボールを、焦りがあったかノックオンしてしまい、明治が中央ラックからトライ。コンバージョンも決まり、41対29で試合を制した。
大東各選手の最後まであきらめない精神力と、さらにそれを上回る精神力を発揮した明治の選手たちに拍手を送りたい。大東文化大学は次節、大阪で関西学院大学とプール3位をかけて、そして明治大学は東京・江戸川でプール1位すなわち大学選手権準決勝進出をかけて筑波大学と第3戦を行うことになった。特に、江戸川区陸上競技場は収容人数が少なく、早い時間帯での満員札止めが予想されている。
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(c) JRFU 2014, photo by K.Matsumoto
会見リポート
 

監督・キャプテン
明治大学の丹羽監督と勝木キャプテン

明治大学

○丹羽政彦監督

「お世話様です。勝ち点6を取ったことだけが収穫です。FWが先週から良くなってきて、相手のブレイクダウンでもボールを取ってくれたのですが、ことごとくBKがミス、選択ミスをしてしまいました。私を含めてコーチ陣の責任だと思います。こんな出来では、帝京を倒す目標もできるわけがありません。1週間、明治のBKとしてもう一度作り直したいと思います」

──対抗戦でのBK選手がいなかったが?

「田村も水野も怪我です。しかし、春からやってきたラグビーができない。春、運べていたのに運べない。試合の状況判断もミスが多い。簡単に言うと楽をしようとしています。FWにまかせてしまっています。少なくとも、明治はここに来て、新しいことをやるつもりはないです。もう一度、何をやりたいか分かっているのかBKの選手に問いたいです。いくらFWが頑張っても頭を上げたらボールが後ろにあるのでは。今シーズン、大学ファイナルに出て帝京を倒すために、6日間しかないが立て直していきたいと思います」

○勝木来幸キャプテン

「本日はありがとうございました。試合前に、もう負けて学ぶことはないと、とにかく勝つこと、ボーナスポイントを取ることを目指しました。しかし、満足できる内容ではなかったです。ボーナスだけが収穫で、このままでは筑波大学さんに勝てないので、1週間頑張っていきたいと思います」

──試合中のBKの精度は?

「SOに1年生の堀米が入り、大舞台でやっていないのでいつもと違うディシジョンもありましたが、FWは迷惑かけてもらっていいです。それが信頼関係です。BKがダメなら、FWで行くだけです」

──試合の入りからスクラムは良かったが?

「やはり明治のFWは看板を背負っていると、絶対負けられないとFWがどんどん圧倒し続けてくれました。筑波戦でも全面的に出したいと思います」

──試合途中、円陣を組んだが?

「やはり頭脳戦です。相手が押すと思ったら、引くし、前半のゴール前もスクラムトライでも良かったのですが、8単で行けました。ああいう駆け引きがこれから大事になってくると思います」

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(c) JRFU 2014, photo by K.Matsumoto
 

監督・キャプテン
大東文化大学の青柳監督と篠原キャプテン

大東文化大学

○青柳勝彦監督

「お疲れ様です。今日の試合は、前節の試合の反省から、攻撃的に攻めていこうと臨みました。前半、我々のミスが多発してリズムが取れなかったのですが、攻めれば点が取れると勢いをつけることができました。だが明治さんも強く、こういう結果となりました。接戦に持ち込んだことは選手を誉めたいと思います。ミスが多かったから、プレッシャーの中で精度の高いスキルを出すことの難しさを選手は分かったと思いますので、チーム一丸となって次の試合に向けていきたいと思います」

○篠原祥太キャプテン

「お疲れ様です。前半の入りに自分たちのペースが続けられませんでした。ただ、ディフェンスで明治さんが前へ出たときにもう少し我慢できれば、アタックは獲り切れると感じていました。しかしディフェンスが甘くなったのは反省点です。後半最後に流れが来て、獲り切ろうと思ったのですが、最後に明治さんの強さが出たと思います」

──最後のキックオフで逆転が惜しかったが?
「とにかく時間がなかったので、焦りからノックオンしてしまい、チャンスを失いました。さかのぼれば中盤、ペナルティを取られたときに戻りが遅くて集中力を欠いたところが課題だったと思います」