V6目指す王者・帝京大に慶大がチャレンジ
セットの東海大かブレイクダウンの筑波大か
 

新年1月2日、大学ベスト4が東京・秩父宮ラグビー場で激突する。

12月14日から3週に渡って熱戦が繰り広げられた大学選手権セカンドステージの結果、今季の大学ベスト4となったのは帝京大学(関東大学対抗戦A1位)、東海大学(関東大学リーグ戦1部2位)、筑波大学(関東大学対抗戦A5位)、慶應義塾大学(関東大学対抗戦A4位)の4校。

準決勝は筑波大対東海大(12:15)、帝京大対慶應義塾大(14:00)の組み合わせで行われる。

text by Kenji Demura

第50回 全国大学選手権大会
第1試合(12:15)
東海大学(関東大学リーグ戦1部2位)─筑波大学(関東大学対抗戦A5位)
「同志社大学、立命館大学、早稲田大学という素晴らしい相手に恵まれ、レベルが上がってきた。やるべきことが徹底され、チームがまとまってきた」(東海大・木村季由監督)

「本当に学生が自分たちのラグビーを出しきってくれた。特にFWの健闘が素晴らしかった。選手たちは筑波のラグビーを忠実にやってくれた」(筑波大・古川拓生監督)

セカンドステージ終了後、両監督がそんな感想を述べたとおり、共に、シーズン終盤に上り調子となり、本来の力を発揮し始めたと言っていいだろう。

両校ともBKにも好選手が揃うが、まずはFWのセットプレー、そしてブレイクダウンでどちらが主導権を握れるか、そしてディフェンス力がポイントになる。

大学選手権に入って、スクラムやラインアウトで圧倒してトライを量産してきた東海大は、当然、筑波大に対してもFWのパワープレーで主導権を握ろうとしてくる可能性が高い。
セカンドステージ最終戦で明治大に対してスクラムでも圧倒されなかった筑波大としては、スクラムでプレッシャーをはね除け、自信を持つ接点の攻防で優位に立って、試合を支配したいところ。

東海大・石井魁、筑波大・福岡堅樹という決定力のあるWTBをどう生かすのかも注目される。

試合写真

大型FWがつくったチャンスでいかにBKが仕留めるかも東海大が2年前の準決勝でのリベンジを果たすポイントか(写真はWTB石井)

photo by RJP Kenji Demura
試合写真

セカンドステージ第3戦の明大戦で鋭い走りを見せたWTB福岡も完全復活の筑波大。東海大を破り2年ぶりの決勝進出なるか?

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第2試合(14:00)
帝京大学(関東大学対抗戦A1位)─慶應義塾大学(関東大学対抗戦A4位)
ファイナルステージに勝ち進んだ4チーム中、唯一セカンドステージ第2戦で準決勝進出を決め、唯一の今季負けなしのチームでもあるのが、6連覇を目指す帝京大。

7試合を戦った関東対抗戦Aでの総得点499に対して、総失点はわずかに35。
主力を温存した試合もあった大学選手権セカンドステージ3試合でも1チームだけ総得点が200を超え、失点も最小の30。
今季も圧倒的な強さを見せながら正月決戦に勝ち上がってきた。
「FWはセットプレーで圧倒する。BKは細かなミスをなくし、ディフェンスでのコミュニケーションをしっかり」
セカンドステージ第3戦終了後、SH流大主将は6連覇へさらにレベルアップするポイントをそんなふうに語った。
個々のパワー、スピード、攻守における組織力や試合の中での修正力など、どれをとっても間違いなく大学トップレベル。

HO坂手淳史、CTB森谷圭介というジュニア・ジャパンでもある3年生の主力はケガのため欠場するが、4年生CTB権裕人は復帰。
他にも、ジュニア・ジャパンやU20日本代表などでも活躍した錚々たるメンバーが揃う。

その王者・帝京大との関東大学対抗戦での対戦では0-48で完敗した慶應義塾大。
個々の能力では、帝京大に劣るのは否めないが、「前半、しっかり陣地を取って、モールでトライを取る」(FL木原健裕主将)というゲームプランどおりにプレーして試合の主導権を握り、粘りのディフェンスで逃げ切ったセカンドステージ第3戦の流通経済大戦など、シーズン終盤になって、チーム全体に意思統一がなされた慶應らしい試合巧者ぶりが際立ってきた。
大舞台での王者との再戦では、「まずはディフェンスから。ラインアウトも強みにしたい」(和田康二監督)という、得意のポイントを絞った戦いで勝機を狙う。
166cmの小さな体で相手に刺さりまくるFL廣川翔也のハードタックルにも期待がかかる。

試合写真

パワフルなFLイラウア(中央)が目立たないのも帝京大の底力の証明か。左隣は2年生とは思えない落ち着いた司令塔ぶりを見せるSO松田

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王者・帝京大にチャレンジする慶應大としてはまずは魂のタックルで相手のアタックを封じて最小失点に抑えたいところ

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