神戸で21-61と大敗したマオリABとの再戦。FLリーチ主将は「ブレイクダウンを修正して、いいファイトはそのままによりスマートに」とポイントを指摘
photo by RJP Kenji Demura


稲垣、真壁、マフィ、小野、ヘスケスが新たに先発入り
再びベストメンバーで「世界6、7位」マオリAB討ちへ

1月8日、東京・秩父宮ラグビー場でリポビタンDチャレンジカップ2014、日本代表(JAPAN XV)対マオリ・オールブラックス(AB)第2戦が行われる。

(text by Kenji Demura)

1週間前の神戸での第1戦では「世界ランキングで言えば、6、7位くらいの実力ポテンシャルがある」(エディー・ジョーンズ ヘッドコーチ=HC)マオリABの強烈なカウンターアタックを止めきれず、計8トライを奪われて21対61で完敗。

「結果は残念だったが、ここ10試合よりも、この試合で学べることの方が多かった。パワーとアスレティック度ではかなわない相手にチャレンジし続けた、選手たちの頑張りは誇りに思う。
6個のトライがジャパンのミスから起こった。日本も5、6回、いい形で攻めたシーンがあったが、パスミスが出た。
攻守の切り替え、ディフェンスへの切り替えをもっと速く。そして、もっとスマートに。第2戦はきっと面白い試合になる」

神戸での試合直後、そう総括したジョーンズHCに率いられる日本代表(JAPAN XV)は第1戦から5人の先発メンバーを入れ替えて(松島幸太朗はWTBからアウトサイドCTBにポジションが変わる)この秋唯一となる東京での試合に臨む。

前週、途中出場ながら存在感を見せたノンキャップのPR稲垣が先発。動き出しの部分を意識したプレーで世界トップレベルへの挑戦を深化させる
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FW陣では第1戦で負傷退場したPR三上正貴に代わって、神戸でも前半17分からプレーした稲垣啓太が左PRのポジションに入る。
正式なテストマッチではないため、初キャップ獲得こそならなかったが、「想定よりも早く出場することになったが、体の準備も心の準備もできていた」という昨季のトップリーグ新人王は、課題と言われているセットプレーの部分でも、長所という自負のあるタックル、あるいはボールキャリーでもノンキャップとは思えないほど特徴のあるプレーぶりを見せた。

「通用したのはスクラム。タックルも通用した部分はあった。ただ全体のディフェンスが通用したかというと、そうではない部分も多かった。もっと回りの選手たちとコミュニケーションを取ったり、間を狭くしたりするような気配りの部分まではいけなかった。
(第2戦で)個人的に試したいと思っているのはアタックでもディフェンスでも初速の一歩の部分。トップリーグと同じような感覚で行っても前に出られなかったので」と、60分以上プレーした第1戦よりも、さらに自らの課題を深化させた状態で、試合の最初から秩父宮の芝生の上に立つことになる。

途中出場ながらトライも奪うなど第1戦でインパクトを残したNO8マフィも先発へ。「もっとフィジカルにプレーして」ジャパンの起爆剤となるか
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一方、第1戦で途中出場し、後半12分にトライも奪うなど、日本代表選手の中で最もインパクトを残したと言ってもいいアマナキ・レレィ・マフィもNO8で先発する。
ジョーンズHCが「デイビッド・キャンピージ(元豪州代表WTB)のようにグースステップのできるNO8」と、その突破力を高く評価するトンガ出身の新鋭バックローは「前の試合よりももっとフィジカルにプレーしないとダメ」と、さらなるパワーアップを誓う。神戸で自分のアタックが通用したこともあって、「マオリ・オールブラックスに勝つチャンスがある」と強気に構えを見せる。

LO陣では稲垣、マフィ同様、第1戦で途中出場した真壁伸弥が5月のサモア戦以来の先発し、第1戦ではメンバー外だったベテラン大野均がリザーブ入りする。
「マオリ代表のパワーとスピードにマッチさせるため、LO陣の中で最もパワフルでスピードのある真壁を選んだ。均ちゃん(大野)ほどハードにトレーニングする選手はいない。本当にチームのいい見本になっている。フィットネス練習でも常に先頭で走っているし、状態はいいと思う」(ジョーンズHC)

ベテランLO大野(右から2人目)、4年ぶり代表復帰のCTB山中(左端)もリザーブ入り。勝負どころで起用されて金星につながるプレーをしたいところ
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リーチ主将含め11/8メンバー中7人は
来秋のRWC南ア戦での先発が確定とも

BKでは、三上同様、第1戦で負傷のため途中退場を余儀なくされたSO田村優に代わって、小野晃征が10番のジャージをつける。
第1戦でも後半40分間プレーした小野は「シェイプラグビーはゲインラインを取らないときついので、フラットに立ってプレーすることを意識」したプレーで、前述のマフィのトライ時もラストパスを出すなど、日本代表のアタックをリードした。
小野のアシストで日本代表としての初トライを記録したマフィ同様、「もっとアグレッシブに行きたい」というのが、ゲーム最初から司令塔としてチームを引っ張る小野が考える第2戦のポイントだ。

第1戦で負傷したSO田村に代わり司令塔を務める小野。ジョーンズHCも「いかに晃征(小野)がいいプレーをするか」とキープレーヤーに挙げる
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ジョーンズHCも「いいコミュニケーターで相手のディフェンスがずれた時に穴を狙える晃征(小野)がどれだけいいプレーをするかがポイント」であることも試合の鍵を握ることを隠さない。
「間違いなく相手は彼(小野)をターゲットにしてくる。時にはイリーガルな形で来ることも考えられるがフィジカル面でどう対応できるか。BKラインをいかにコントロールできるかも重要だ」

CTB陣はマレ・サウがインサイドに入るのはそのままだが、第1戦では前半のWTBから後半はアウトサイドCTBのポジションでプレーした松島幸太朗がそのまま13番で先発。
CTBのリザーブとしてはSOもカバーする立川理道と共に出場すれば2010年以来の日本代表でのプレーとなる山中亮平の名前も。
「ラインを動かしたり、視野を広くして回りとコミュニケーションを取りながら、12番として求められていることをしっかりやっていきたい」という山中は「FBもカバーする」(ジョーンズHC)ことになる。

バックスリーに関しては、WTB山田章仁とFB五郎丸歩バイスキャプテンは不動でCTBに上がった松島のポジション(14番)にはカーン・ヘスケスが入る。
第1戦でも後半13分からプレーして、度々インパクトある走りを見せたヘスケスは「先発なのでインパクトというよりは、ディフェンスなど回りとのコミュニケーションが大切になる。もちろん、トライは取りたい」と抱負を語る。

第1戦では途中出場で度々いいゲインを見せたWTBヘスケス。初先発となる第2戦でジャパンとしての初トライを狙う
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「先週は意図的にどこからでも攻めるラグビーをした。自分たちのアタックのどこに問題があるか見つけたかったから。特に問題があったのはアタックのバランス。
タイト5(FW前5人)のアタックエリアやFW第3列のバランスなどを修正した。
もちろん、すべての試合に勝ちたいし。いつも通り現状でのベストフィフティーンを選んだ。
ただ、より重要なのはすべてはワールドカップにつながっているということ」と、今年、国内で最後の日本代表の試合となる「リポビタンDチャレンジカップ2014」対マオリAB第2戦のアプローチを解説してくれたジョーンズHCは「(来年のラグビーワールドカップ初戦)南アフリカ戦の先発メンバーをもう選んだ」ことも暴露。
「15人中8人は今度の土曜日にプレーできない選手」だといい、「7番はリーチ」であることも明らかにした。

大会前から「(マオリAB戦は)仮想・南アフリカを意識した戦いになる」と語っていたジョーンズHC。
「先週の試合、しっかりファイトした部分とセットプレーは良かった。同じように激しく、セットピースはしっかり、そしてもっとスマートに。修正点はブレイクダウン。サポートをもっと速く。体を張って、ハードに戦う」。強いジャパンのイメージを応援してくれたファンに与えたいというFLリーチキャプテンも含めて、来年の9月19日にブライトンでスプリングボクスに対峙する15人中約半数がプレーすることになる11月8日の秩父宮ラグビー場。
超満員(入場チケットは売り切れ)のファンの前で「世界ランキング6、7位相当」のマオリABを追い詰め、ワールドカップでの大躍進をイメージできるパフォーマンスを見せてくれることを期待したい。

神戸での第1戦では8トライを奪って快勝したマオリAB。本職はNO8がLOに入るなど再びセットプレーに持ち込まないを組まない戦いをしてきそうだ
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すでにRWC南ア戦先発メンバーを決めたというジョーンズHC。仮想・南アのマオリABに対して来秋のイングランドでの大躍進を感じさせる試合をしたい
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