サモア破って残留確定の勢いを生かし
世界ひと桁入りを果たして有終の美を

20日、イタリアのヴィアダーナで「ワールドワグビーU20チャンピオンシップ2015」9位決定戦、日本—アルゼンチン戦が行われる。

15日のサモア戦に29—12で勝利し、来季の同大会への残留を決めたU20日本代表は勢いに乗って南米の雄も倒し、「大会で最も成長したチーム」(中竹竜二ヘッドコーチ)に上り詰めて、有終の美を飾りたいところだ。

すでに残留を確定させた日本は強豪アルゼンチンを破っての世界ひと桁入りを目指すphoto by RJP Kenji Demura

すでに残留を確定させた日本は強豪アルゼンチンを破っての世界ひと桁入りを目指す
photo by RJP Kenji Demura

 

それは、チーム始動時からの目標だった「ビート・ウェールズ」よりも意義のある勝利だったと言ってもいいだろう。

 

プールAで3戦3敗となり、9〜12位決定トーナメントに回った日本は、大会4戦目となったサモア戦で「今後の日本ラグビーにとって重要な勝利」(中竹HC)をつかみ取り、来季も世界トップ12チームで戦う権利を確保した。

「5月に『オセアニアラグビージュニアチャンピオンシップ 2015』で戦って負けたサモアだったので、そのリベンジをするということを意識しながら、全員でラグビーをエンジョイすることをテーマに挑んだ」

U20チャンピオンシップ残留を決めた後、HO堀越康介キャプションがコメントしたとおり、1ヶ月半前の対戦では後半19分以降に3トライを重ねられて悔しい逆転負けを喫したサモアに対して、今度は80分間に渡って試合を支配。

 

プール戦3試合で2つのペナルティトライしか奪えなかったのが嘘であるかのように、前半22分にFLファウルア・マキシ、同37分にFB野口竜司、後半7分にFL堀越康介とトライを重ねて(同14分にはペナルティトライ)、リード。

「キツい時にどれだけやれるかが勝負。(国内最終合宿でも)走り込んだ状態でのスキルをしっかりやった」(中竹HC)と、試合を勝ち切ることを意識したトレーニングも実を結ぶ形で、後半20分以降の失点を0に抑えて29—12で快勝した。

 

「ウェールズ戦の時とはまた違ったオプションや、自分たちの強みをもっと出せるような準備をしてきたので、 それを 80 分間出すことができて試合を楽しく感じた。勝ててすごく嬉しい」(HO堀越主将)

6年ぶりだった世界最高峰の場で、見事に残留を勝ち取った。

陣頭指揮を執り続けるHO堀越主将。大会に入ってからのチームの成長に手応えを感じているphoto by RJP Kenji Demura

陣頭指揮を執り続けるHO堀越主将。大会に入ってからのチームの成長に手応えを感じている
photo by RJP Kenji Demura

 

大会で最も成長したチームの姿をアピールし
12年に世界4強のアルゼンチンにチャレンジ

中竹HCはイタリア出発前に「最終的に目指しているところからすると、まだ4割程度しか来ていない」とチームの仕上がり状態を語っていたが、サモアを破ったという事実からしても、若い選手たちが大会に入って大きく成長しているのは間違いないところだ。

 

対イングランド(6月2日)=7-59

対フランス(6月6日)=7-47

対ウェールズ(6月10日)=3-66

 

実は、大敗続きだったプール戦の時点ですでにチームの成長に手応えを感じていた。

「ビート・ウェールズを目標に国内合宿からやってきて残念な形にはなったが、その中でも初戦のイングランド戦に比べるといいところとか増えてきている。全体のダブルアクションとか、アタックのスリーフェイズ続ける部分とか、成長している部分も多い。

スクラムも全体的には良くなっていて、試合の入りでは良くなくても、それでも修正できたり。そうした修正能力も含めてポジティブに考えたい」

60点差以上の大差で負けたウェールズ戦の後、HO堀越主将はそう語ったが、3月のフィジー遠征、サモアと対戦した5月の豪州遠征も含め、厳しい試合を続けながらチームとして身につけてきた修正能力がここ一番で生きた。

 

ただ、快勝したサモア戦でも目指す地点にはまだ至っていないという意識もある。

「ファーストタックルや粘りが足りない時間帯があった」(同主将)

 

もちろん、12年に世界4強入りを果たしたこともあるアルゼンチンとの最終戦で、その目標地点に到達するつもりだ。

 

「チームとしてはファーストフェイズでBKが崩して、そこからFWが崩しを作っていって、最後はBKが仕留めるのが理想」(今村友基BKコーチ)

 

そんな日本らしいアタッキングラグビーを見せながら、「大会で最も成長するチーム」として世界ランキングひと桁台の9位にチャレンジする。

text by Kenji Demura

サモア戦でトライを奪ったマキシ(左)、占部のFL陣。最終戦でも攻守に前に出続けてチームに勢いを与えたいphoto by RJP Kenji Demura

サモア戦でトライを奪ったマキシ(左)、占部のFL陣。最終戦でも攻守に前に出続けてチームに勢いを与えたい
photo by RJP Kenji Demura

サモア戦では1トライ、3ゴール、1PGの14点を叩き出したFB野口も調子を上げているphoto by RJP Kenji Demura

サモア戦では1トライ、3ゴール、1PGの14点を叩き出したFB野口も調子を上げている
photo by RJP Kenji Demura

スクラムなどFWプレーも日本の強みになっている。強力FWのアルゼンチンにも真っ向勝負を挑むphoto by RJP Kenji Demura

スクラムなどFWプレーも日本の強みになっている。強力FWのアルゼンチンにも真っ向勝負を挑む
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