RWC2015前の国内最後の試合で完璧な勝利
最高のパフォーマンス残し、イングランドへ

29日、東京・秩父宮ラグビー場でリポビタンDチャレンジカップ2015第3戦、ウルグアイ代表との第2テストマッチが行われ、前半12分のFB五郎丸歩の先制トライを皮切りに計6トライを奪ってみせた日本が40—0で快勝。
9月18日に開幕するラグビーワールドカップ(RWC)2015前に日本国内で行われる最後の試合で完璧なパフォーマンスを見せた日本代表は「ワールドカップで旋風を巻き起こす」(エディー・ジョーンズヘッドコーチ)ことを宣言して、9月1日、歴史を変える戦いの場となるイングランドに向けて旅立つことになる

ウルグアイに40ー0で快勝後、ファンと記念写真に収まる日本代表。最高のかたちでRWC 2015へ

ウルグアイに40ー0で快勝後、ファンと記念写真に収まる日本代表。最高のかたちでRWC 2015へ
photo by Kenji Demura

「世界選抜との試合、ウルグアイとの第1試合、そしてその前のパシフィック・ネーションズカップ(PNC)も含めて、いろいろな戦術を試して、外から見るとあまり納得いかない試合だったと思う。
もう一度、ファンの人たちにも自信つけてもらうような、このチームは勝てると信じてもらえるような試合をしたい」

試合前日にFLリーチ マイケルキャプテンがそう語ったRWC2015前の日本国内でのラストゲームに関する目標は完璧に達成されたと言っていいだろう。

「簡単なミスが練習中からあって、どうやってなくしていくかリーダーでも話し合って、修正はできた。BKがスペースにどうやってボール運ぶか、FWがどうやって優位に戦えるか。いまFWはいい感じになった。あとはFWとBKがいいコネクションになれば、いい試合ができる」(同キャプテン)

この5ヶ月、日本代表の完全なるキャンプ地となった宮崎での最後の1週間で、もう一度課題の修正に取り組んできたチームは、間違いなくRWC2015での飛躍に思いを抱かせるパフォーマンスを80分間続けた。

開始4分にいきなりSO小野晃征がWTB福岡堅樹に完璧なキックパスを通して、ウルグアイゴールに迫った時点で大きく膨らんだ期待が実際にスコアにつながり現実的な歓喜となったのは前半12分。
FLマイケル・ブロードハーストの突破など、FW陣がつくったチャンスに最後はBKがきれいに右展開して先制。
続く15分にはNO8ツイ ヘンドリック、WTB松島幸太朗が大きくゲインした後、SO小野がウルグアイのインゴールで押さえた。

25分にもWTB福岡の好走からFLブロードハーストがトライを奪い、3本のゴールをFB五郎丸が完璧に決めて、前半は21−0。

何度も快走を披露して秩父宮のスタンドを沸かせたWTB福岡。後半28分にはダメ押しトライも

何度も快走を披露して秩父宮のスタンドを沸かせたWTB福岡。後半28分にはダメ押しトライも
photo by Kenji Demura

「世界で一番ハードワークしてきた。
選手の自信大きい」(LO大野均)

試合後、「今季初めてアタックのリズムが出た」と振り返ったジョーンズHCだったが、それでもまだ前半は「保守的だった」とも。
後半、さらにテンポを上げた日本は4分にWTB松島、10分NO8ツイ、26分にWTB福岡と3トライを重ねて、最終スコアは40—0。

全くと言っていいほど隙を見せなかったディフェンス。終盤、メンバーが代わり3連続ペナルティを取られたものの「コインの裏表、どちらになるか程度の問題」と、ジョーンズHCが意に介さず、「勝ち切った」(同HC)セットプレー。
難しい角度からも次々にゴールを決めていったFB五郎丸の安定感抜群のキックなど、課題を上げる方が難しいような内容での快勝となった。

「いくつかミスもあったし、ブレイクダウンでも取られた場面もあった。それでも、理想に近づいている。ひとりひとりが日本代表という思いを持ってプレーしている」

7月に復帰してから、メンバーに日本代表でプレーする本当の意味を問い続けてきたSH田中史朗もこの日の仲間たちのプレーには大きな手応えを感じた様子でそう語った。

「ここまではしっかり準備してきた。あとはメンタルの部分。ワールドカップの中で心動かされずに、いつも通りの感じでできるか。メンタルによって自分のスキルが落ちたりするので、メンタルの部分は重点的にやることが大事」

田中同様、4年前のニュージーランドでの経験から海外でプレーして自分を高めることの必要性を感じてスーパーラグビープレーヤーとなったHO堀江翔太も、あとはどんな精神状態でRWC本番を迎えられるかだけとの感触を掴んでいる。

「世界で一番ハードワークしてきた。ワールドカップの試合前、もの凄いプレッシャーに潰されそうになる。恐怖を感じたりするが、それもいままで流した汗の量を思い出せれば落ち着く。
そういう意味ではいい1年を過ごせている。

ワールドカップに出場する国に対して完勝できた。選手の自信は大きい」

チーム最年長かつ日本代表最多キャップホルダーであり、31日に発表されるRWC2015スコッド入りすれば、イングランド大会が自身3度目のRWCとなるLO大野均は、世界一のハードワークを重ねて来たメンバーたちが自信を持って世界列強とのワールドカップでの戦いに臨むことになると胸を張る。

「日本のラグビーを変えられるのは俺らだけ」(リーチキャプテン)
国内でやるべきことはすべてやり尽くし、RWCベスト8を勝ち取るために選ばれし精鋭31人が、9月1日、機上の人となる。

text by Kenji Demura

後半4分にアクロバティックなトライを決めるWTB松島。日本本来のアタッキングラグビーが炸裂した

後半4分にアクロバティックなトライを決めるWTB松島。日本本来のアタッキングラグビーが炸裂した
photo by Kenji Demura

「37歳とは思えないパフォーマンス」(ジョーンズHC)3度目のRWCを大きく引き寄せたLO大野

「37歳とは思えないパフォーマンス」(ジョーンズHC)3度目のRWCを大きく引き寄せたLO大野
photo by Kenji Demura

試合後、ファンに挨拶するジョーンズHC。「ワールドカップで旋風を巻き起こす」ことを宣言

試合後、ファンに挨拶するジョーンズHC。「ワールドカップで旋風を巻き起こす」ことを宣言
photo by Kenji Demura