2月4日東京・有楽町朝日ホールにて、「マイクロソフトカップ優勝を目指して」と題してディスカッションが行われました。

あいさつ「マイクロソフトカップ優勝を目指して」

◎日本ラグビーフットボール協会 町井徹郎会長の話
「トップリーグで拮抗した試合を繰り返すことで、人材の層が厚くなったことを実感しています。特にディフェンス能力が上がった。1対1の個人の戦いで、強くなったと思う。マイクロソフトカップは今までのリーグ戦と違う、一発勝負のトーナメント。違う見方も出来るし、初戦から白熱したゲームが期待できる」

基調講演「日本ラグビーの行方」
◎日本ラグビーフットボール協会 真下昇専務理事の話
「拮抗した試合が多かったのは狙い通り。66試合のうち、50点差以上の点差がついたのは4試合だけ。62試合が均衡したゲームになった。内容的に濃いものだった。選手たちが自覚して、日本のラグビーを我々に任せろとばかり、しっかりしたゲームをしてくれた。チームの方々には頭が下がる思い。トップリーグは当初狙った通りの成果を出してくれた。集客に関しては、まだ努力する余地がある。メディア、地方自治体とのよりよい連携を取っていきたい。

ワールドカップでの日本も向井監督の指導のもと、スコットランド、フランスという大国に対してすばらしいゲームをやった。選手が身を挺して。87%という高い確率でタックルに成功した。フィジー、米国にも拮抗したゲームができた。日本代表に対してIRBからもお褒めの言葉があったし、地元のお世話になった人からも声援を受けた。

2011年のワールドカップ日本招致について、昨年7月にIRBの事務局長が来て"考えてみないか"と話があった。現在、検討作業しています。ワールドカップを日本に招致してラグビーの勢いをつけたい。ラグビーを世界的に発展させるためには、アジアで最初のワールドカップを日本でやることに意義があると思う」

日本ラグビー強化のために
◎勝田隆強化委員長の話
「日本代表をプロデュースする立場に立ち、大役を光栄に思っている。5月にスーパーパワーズ、イタリア代表来日。ここに向けて、どう強い代表を作れるかが大事。

かつて前フランス代表のジャン・ピエール・リブは"ラグビーは少年を大人に、大人に少年の心を持たせる"と言っていた。ラグビーは非常に社会性の高いスポーツ。日本代表も社会性のある、応援してもらえるチームにしたい」

第2部「マイクロソフトカップ優勝に向けて」
――まずトップリーグを振り返って。どうだったでしょう?
神戸製鋼・萩本ヘッドコーチ
「優勝はついてきたもの。ただ最後の試合は、集中力があった。斎藤のブレークダウンがチームに勢いをつけ、3連続トライはまさに神戸の目指す形だった。最後のおいしいところ(トライ)は大畑がもっていった」

サントリー・稲垣部長
「トップリーグ初代王者が夢だったが、力不足。後でビデオを見返してみても、神戸はチャンピオンにふさわしいチームだと思う。最終戦で東芝府中に敗れたが、その試合でワシントンに決めた東芝府中のホルテンのタックルはそばでみて身震いするほどすごかった。あのタックルで勝負が決まった。それくらいすごかった」

東芝府中・田窪部長
「今シーズンを通して、FWの強化、モールをいかに押すかに焦点を置いてきた。終盤、良い試合が出来たのもそれが結果に出たから」

NEC・高岩ヘッドコーチ
「日本トップ12チームが激しく、長い期間戦った。15人、22人だけでなく、部員全体が戦わなければならない。チーム力が試されるリーグだと思う。開幕戦に照準を合わせてきたが、勝ち続けることは難しい」

ヤマハ発動機・登強化グループリーダー
「ベスト8が今までの最高だったから、トップ4を目標にしていた。3位という結果は選手の自信になる。会社をあげて、喜んでいる。コーチもいるが、選手自身がチームをリードしていて、とてもまとまっている。1敗2引き分けという結果はベストなディフェンスが出来るチームを目指していた成果だ」

ワールド・キッサーンヘッドコーチ
「トップリーグはやるのも、見るのもとても楽しかった。皆のスキルはとても伸びている」

――マイクロソフトカップではどんな戦いをしていくつもりですか?
ワールド・キッサーンヘッドコーチ
「初戦の相手となる神戸はチャンピオン。勝つのに必要なことは冷静さ、忍耐すること、後はディフェンスだ。神戸にとって悪い日になることを願うよ」

神戸製鋼・萩本ヘッドコーチ
「ワールドはFWの接点でのコンタクトが強い。バック3の決定力もあるし、脅威を感じている。僕もワールドにとって悪い日になるように願う(笑)」

NEC・高岩ヘッドコーチ
「うちの強みをだしたい」

サントリー・稲垣部長
「昨シーズンまでの東日本社会人時代も何度も対戦しているし、激しい試合になると思う。ただサントリーの今までのスタイルはもう通用にしない。成功体験を一回捨てないと、もう一回チャンピオンにはなれない。永友監督も分かっていると思う」

――どんな所が通用しなくなったのですか?
サントリー・稲垣部長
「まず、去年までうちは後半強かった。ただ全チームのフィットネスが上がってきた。最近後半ばてるのは、うちの方。あとディフェンス力が上がってきている。うちの高速バック3にいい形でボールを回せなかった。第3者的にいえば、日本ラグビーのレベルが上がってきていることを喜ぶべきか」

――社会人ラガーマンを取り巻く環境が変わっている。三洋電機はどういう状況ですか。
三洋電機・柴田監督
「いまは半数が契約社員。正社員か、契約社員かは社員が選べるようにしている。今の若い人はドライ。やれるときは思い切りやりたいと思っている。でも辞めた後どうするかということも、きちんと選手と話し合いをするようにしている」

――これからトップリーグはどうしていけばいいか?
神戸製鋼・萩本ヘッドコーチ
「負けを覚悟しながら試したことが若手の強化につながった。リーグ数をもっと増したらどうか。あとは地域との交流もこれからさらに重要」

サントリー・稲垣部長
「この前、湯島にあるサッカーミュージアムで昔の天皇杯決勝の写真を見た。スタンドはがらがら。それが川淵(現・日本サッカー協会キャプテン)さんとかの努力で、あそこまでになった。アルビレックス新潟は年間66万人、トップリーグは20数万人。目指すところはJリーグ」

――最後に皆さんが思うラグビーの魅力は?
クボタ・オコーナーヘッドコーチ
「ラグビーは究極のチームスポーツ。チームメイトの助けを得て、前に進むスポーツはほかにないと思う」

東芝府中・田窪部長
「私は実際にやったことはないが、傷だらけになっても、向かっていく選手の勇気が素晴らしいと思う」