最終戦を終えて整列するジュニア・ジャパン。右からFL村田主将、CTB林副将
photo by Kenji Demura (RJP)
スーパーラグビー予備軍に全敗も
アタッキングラグビーに手応え

日本代表に次ぐシニア代表チームとして、IRBパシフィックラグビーカップ2013に参戦していたジュニア・ジャパン一行が全日程を終え、帰国した。
「『世界一のアタッキングラグビー』を目指しているジャパンの次を狙う存在として、強い相手に覚悟を決めてチャレンジしていく」(遠藤ヘッドコーチ)
そんな決意を持って、豪州、そしてニュージーランドという南半球のラグビー強国でスーパーラグビー予備軍ばかりと6試合。
残念ながら、南半球のラグビーエリートたちからの金星は奪えなかったものの、それぞれがいろんなかたちでの成果を得た遠征になったことは、間違いないところ。
遠藤哲ヘッドコーチ、中瀬真広コーチ、そして村田毅キャプテン、林泰基バイスキャプテンに総括してもらった。

3月12日(火) PRC第1戦 対ブリスベンアカデミー(●26-76
3月18日(月) PRC第2戦 対レッズカレッジXV(●14-59
3月23日(土) PRC第3戦 対シドニーアカデミー(●28-45
3月28日(木) PRC第4戦 対ブルーズデベロップメント(●19-43)
4月2日(火) PRC第5戦 対ハイランダーズデベロップメント(●10-63)
4月7日(日) PRC第6戦 対ハリケーンズデベロップメント(●43-73)

遠藤哲ヘッドコーチ

「最初は僕らコーチ陣にとってもどこまでやれるかは未知数だった。
勝利という結果は残せなかったけど、選手たちは思いっきりチャレンジしてくれたし、必ず財産にはなる。

最後の1週間は最終戦に向けたプランを立てて、選手が実行してくれたので、自信がついたと思う。具体的には原点に戻るという意味もあって、順目の攻める幅を広くするというプランだった。そこはやり切ってくれたし、この相手(ハリケーンズデベロップメント)から7トライを奪ったのは、アタックの精度が上がったから。

最後の円陣で『ここから6試合やりたいくらい』と言ったのは選手の成長を感じたから。本当に頑張ってくれた。もう6試合やったら、6勝できると本当に思えているかどうかも重要なポイント。

アタックを続けるのは決してボールを持ってアタックし続けるということだけではなくて、アタッキングポリシーというか、DFでのアタッキングスピリットもそうだし、生活でもそう。いろんな意味でアタックし続けるということ。人間、アタックし続けるというふうに覚悟を決めると、変わる。みんな成長してくれた。

遠征出発前に東京で環境が人を変えるという話をして、その時にはみんな若い顔をしていたのが、いまは頼もしい顔つきになった」

中瀬真広コーチ

「みんな最初はどんな相手のレベルなのか、自分たちの立ち位置がどのへんなのか全くわからない状態でやっていた。だんだんやれるというのはわかって、最後はこのレベルとやるのが普通の感覚になっていた。

よっぽど、ジャパンよりもタフな遠征になった。ここをスタンダードにしないといけない」

最終戦では計7トライを奪うアタック力を披露したジュニア・ジャパン
photo by Kenji Demura (RJP)

村田毅キャプテン

「最終戦では、プレー中も最初の頃からは比べものにならないくらいみんなが声をかけて、チームとしてまとまっていた。試合を重ねるごとに自分たちの指針もはっきりして、課題も絞れてきた。
DFで自陣で釘づけにされると最後トライまで行かれてしまうというのがあった反面、敵陣で攻め続けたら取り切れるという感触もあった。相手も自分たちのスタイルを嫌がっているというのを感じた。これをチームとして次につなげられないのは残念。このメンバーで1勝もできなかったのは悔しい。
このチームでは終わりだけど、みんなこの先も一緒にプレーしたり、敵として戦うこともあるかもしれない。その時に、みんなレベルアップしているようにしようと最終戦の後の円陣で話した。
みんなが世界の中での自分たちの位置を知ったのは大きい。この経験をそれぞれのチームに戻って伝えてほしい。みんなチームに帰ったらスター選手だけど、そのままでは通用しなかったということを。今回来た選手たちの変わりようを見て、そのチームの他の選手たちも変わるというふうになってほしい」

林泰基バイスキャプテン

「ゼロからジャパンのアタッキングラグビーをスタートさせて、ここまでの点数を取れるようになったし、みんなの統一性も持てたので、そこは良かったと思います。
日本人の特性も生かして、フィットネスで圧倒して、常にいろんなオプションを持ってアタックし続けられれば、点数は取られないわけですし、トライまで結びつけられることもわかったので、これからも追求できたらいい方向にいくのではないか。
オプションが散って孤立しちゃうと、絶対ターンオーバーが起きるので、ひとつのコールにみんながリアクションできるようにというのを後半戦ずっと心がけて、みんな理解できるようになった。
今回、遠征に参加した選手はみんなラグビーの実力は文句なく高いし、能力もある。ただ、学生も多かったし、まだまだ生活面でも甘えがあったりするので、もっと普段の生活からプロフェッショナルになることが世界に近づくためには必要だというのも、みんなわかったんじゃないかと思います」

text by Kenji Demura

最終戦の後の円陣で選手の健闘と成長をたたえる遠藤HCと中瀬コーチ
photo by Kenji Demura (RJP)