アジアの鬼門でのタフバトルを乗り切り
2試合連続完封勝ちでアジア制覇へ前進

27日、HSBCアジア五カ国対抗2013(A5N)第2節、香港 - 日本戦が香港フットボールクラブ(香港)で行われ、日本は計6トライを挙げて38 - 0で快勝。
1週間前のフィリピン戦に続いての完封勝利で、同大会の6年連続優勝に一歩前進する格好となった。
日本のA5N第3戦は4日、東京・秩父宮ラグビ―場での対韓国戦が予定されている。

(text by Kenji Demura)

photo by RJP H.Nagaoka
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「アジア五カ国対抗で最も重要な試合」
 
エディー・ジョーンズ日本代表監督が、そう位置づけていた香港とのアウェー戦。
 
2年前、ジョン・カーワン前ヘッドコーチ時代の2011年には、後半のスコアで下回るなど(後半14 - 19。試合は45 - 22で日本が勝利)、香港は日本代表にとってアジアの鬼門と言ってもいい場所でもあった。

「満員の観衆、若いレフリー、香港の激しいプレー。想像していたとおりのタフな試合になった」
 
ジョーンズHCはそう振り返った通り、開始7分にCTBマレ・サウ、FB五郎丸歩副将などが左サイドを攻略した後、フォローした木津が左隅に飛び込んで先制した後は30分以上トライがない時間帯が続いた。
 
反則スレスレで飛び出してきてプレッシャーをかけ、密集の球出しも遅らせる香港のプレーにペースを乱してもおかしくない展開。
 
それでも、この日の日本代表が2年前と同じ轍を踏むことはなかった。

「自分たちの軸はシェイプだったり、リンケージだったりするので、その軸を大事にしていくことを意識していた。みんなよく我慢したし、コンフューズしているところもなく、落ち着いていた」
 
前半なかなかスコアできなかった時間帯のチーム状態を代弁してくれたのはWTB広瀬俊朗主将。
 
アジアではフィジカルに強い相手である香港に対して「香港にはスクラムとモールで押していこうというのがあったし、前半ガツガツとボディーブローを打っておけばいいと思っていた」(No8 菊谷崇副将)と、FW戦でしっかりコントロールできていたこともあって、点こそ入らなかったものの、不安定さは全くと言っていいほど感じさせなかった。

「ミスもあったが、裏が空いている時にキックを蹴れるようになったのは成長した部分だと思う」というSH日和佐篤やSO小野晃征がキックでFWを前に出していた点も、安定した試合運びにつながった。
 
ようやく日本に2トライ目が生まれたのは前半38分。

「とてもパワフルだったし、ベストフォームになりつつある」とジョーンズHCが高く評価したWTB今村雄太が左ライン際を好走し、タックルを受けながらもボールを生かして、SO小野晃征につないだ。

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「韓国戦もベストメンバーで臨む」(ジョーンズHC)

「自分自身はレフリングもあってフラストレーションを感じていたが、選手たちはそうでもないようだった。ハーフタイムでは、自分たちでコントロールできる部分はコントロールしていこう、ハードに走って、ボール周辺をクリーンに、ゲインラインをしっかり越えていくようにと、という指示を出した。選手たちがいいアティチュードでプレーしてくれたことを嬉しく思う」(ジョーンズHC)
 
後半はいきなり1分にWTB今村がトライラインを越えるが、グランディングできずにノートライの判定。
 
それでも4分には、敵陣深くのスクラムから左展開して、今度は今村がしっかりグランディング。
 
24分、27分とWTB廣瀬主将が連続トライで香港を引き離し、終了間際には後半27分から今村に替わって途中出場していたWTB藤田慶和が香港ゴールへ駆け抜けてダメ押し。
 
38 - 0と、前週のフィリピン戦に比べれば得点は3分の1以下に減ったものの、2試合続けての零封でアジアの鬼門での戦いを乗り切った。

「トライはみんながお膳立てしてくれた感じのトライだったし、チームメイトのみんなに感謝したい」とは、衝撃の6トライ代表デビューを飾った昨年4月28日のUAE戦以来の代表復帰となった藤田。
 
後半のトライは全てWTBが記録。
 
自らインゴールに飛び込みながら相手にボールを奪われトライにはならなかったプレーもあったFB五郎丸歩副将は「CTBに入ったマレ・サウなど、ブレイクできる選手がインサイドに多くなって、外側としては走りやすくなった」と、チームの進化に関する手応えを語った。

「2試合連続で0点に抑え、ラインブレークされたのも1度だけ。121 - 0のフィリピン戦よりも内容は良かった。
 
現時点の一番の目標はアジア5カ国対抗で優勝することで、次の相手である韓国を破ること。ベストチームで臨む」(ジョーンズHC)
 
韓国戦に向けた東京合宿には、フィリピン戦で衝撃的なデビューを飾ったWTB福岡堅樹のスコッドへの復帰、さらにSO/CTBクレイグ・ウィングや当初は代表スコッドに入っていなかったCTB霜村誠一が新たに加わることも発表された。
 
どんな「最強メンバー」で韓国戦を迎えるのか、注目される。

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