■ジュニア・ジャパン PRC第2戦 レッズカレッジXV戦 試合結果
■3月18日(月) 18:00キックオフ (日本時間:18日(月) 17:00キックオフ)
■ジュニア・ジャパン 14 - 59 レッズカレッジXV
2戦続けての大敗も「DFの粘りと攻撃マインド」では成長を感じさせる試合となった
photo by Kenji Demura (RJP)
スーパーラグビーの強者に連敗も
アタックマインド、DFの粘りに手応え

「チームとしてレベルアップしている部分も多いし、みんなファイティングスピリットも十分に出してくれているので、前向きにチャンレンジを続けて行きたい」(遠藤哲ヘッドコーチ)
スーパーラグビー「レッズ」のスコッドメンバーから先発に7人、控えまで含めるなら計10人。リザーブには豪州代表キャッパーでもあるロドニー・ブレイクも含まれていた。
6日前に同じブリスベン・バリモアスタジアムで戦ったブリスベンアカデミーよりも数段上の実力を持ったレッズカレッジに計9トライを取られての大敗にも、試合後、遠藤ヘッドコーチ率いるジュニア・ジャパンを覆っていたのは、前に進んで行くしかないというポジティブな空気だった。
「前回からのフォーカス点として、76-26の26を伸ばすように、アタックを中心に練習してきた。26は上回れなかったけど、後半の14-26というスコアはポジティブになれる」(村田毅主将)


前半31分にチームを奮い立たせる突破を見せたNO8佐々木だったが、左足を痛めそのまま負傷退場
photo by Kenji Demura (RJP)

レッズDFの激しいタックルを受けるCTB野口。多くのメンバーにとって異次元のプレッシャーの強さだった
photo by Kenji Demura (RJP)

「『世界一のアタッキングラグビー』を目指しているジャパンの次を狙う存在として、強い相手に覚悟を決めてチャレンジしていくこと」
遠藤ヘッドコーチが何度も口にしてきたジュニア・ジャパンの方向性は、実はレッズカレッジXVとしても十分承知していたことだった。
「先週のブリスベンアカデミー戦をみて、日本のラグビーに強い感銘を受けた。どこからでも攻めようとする相手に対して、80分間集中を切らさず、自分たちのDFストラクチャーを崩さないで対応できるか。それが、我々にとっての、この試合における一番のテーマだった。今日のディフェンスには満足している。一番の勝因だ」
レッズカレッジXVを率いるピーター・ウィルキンス監督は、試合後、ジュニア・ジャパンのラグビーをしっかり研究して臨んだ一戦だったことを明らかにした。
なんと、9トライを奪った勝者が「守りが勝因」であることを強調する。
これこそ、ジュニア・ジャパンが80分間、アタックする姿勢を失わなかった証拠と言えた。

立ち上がりから、6日前のブリスベンAC戦で安定感を欠いていたジュニア・ジャパンのスクラムが安定。修正ポイントのひとつだったセットからのアタックとう意味では、明らかに流れは良くなっていた。
それでも、前半40分間のジュニア・ジャパンの得点は「0」。
「セットが安定していて、この点差。ブレイクダウンで潰されている」
ハーフタイムには遠藤HCからそんな指摘もあったが、確かに前半レッズカレッジXVに奪われたトライの多くは、日本が攻めながらブレイクダウンでのターンオーバーから一気にカウンターを浴びて奪われたもの。
アタックシェイプが保てずに、ボールキャリアーがやや強引に仕掛けてのミスも目立った。

後半、途中出場組の頑張りも目立った

もちろん、3月4日に集合した多くの若手メンバーにとって、上のジャパンにつながる高速アタッキングラグビーは
、初めて挑戦するスタイル。
遠征に来ても、世界一のアタッキングラグビーの前提となるS&Cトレーニングを毎日早朝から行う厳しいスケジュールを続けながら、チームのアタックベースを構築し始めたところというのが、正直な現状でもある。
「アタッキングラグビーのベースとなるシェイプとブレイクダウンの精度を上げていくのはもちろん時間がかかる。でも、前の試合より随分進歩があった」


後半18分にトライを奪った他、プレッシャーの中での球さばきでも光るところを見せたSH重
photo by Kenji Demura (RJP)

試合後そう語った、精神的支柱であるNO8佐々木隆道は、チームを勢いづかせるボールキャリーを見せたところで左足大腿部を痛めて前半32分に退き、副将を務めるCTB林泰基もメンバーから外れていた。
それでも、若いチームは、後半、試合の中での成長を如実に感じさせる戦いぶりをしてみせた。

象徴的だったのは、後半5分という早目の時間帯に投入された2人のティーンエイジャーの働きぶり。
「前の試合では相手を見てしまうようなところがあったので、今回はもう一段低くということを心がけた」という攻守に低い姿勢で前に出てチームに勢いを与えたのはHO坂手淳史。
一方、前半リザーブ席からしっかり相手のプレーをチェックして、後半の自分のプレーに生かすクレバーさを見せたのはSH重一生。
後半18分、敵陣深くのラインアウトでFL村田主将がキープしたボールを受け取った重は「ラインアウトでハーフにプレッシャーが来ていなかったので、後半1回は行こうかなと思っていた」という分析を生かすかたちで、そのままサイドを突いて初トライを奪ってみせた。
35分にも、やはり途中出場のCTBトニシオ・バイフが相手DFを引きずりながら2トライ目。
結局、前の試合の26得点は上回れなかったものの、冒頭で紹介した試合後のチームの空気が物語っていたとおり、今後の確かな成長につながるポジティブさを感じさせるゲームとなった。


後半35分にトライを奪うなど、フィジカル面での強さを見せたCTBバイフ
photo by Kenji Demura (RJP)

「ディフェンスの我慢とアタックマインドでは前の試合よりも進歩した。それでも、結局は、1対1のところでフィジカルでも技術でも勝てていないのが、この結果になっている理由。すぐにマッチョにはなれないけど、いま取り組んでいるS&Cを続けて行くしかない」(村田主将)
豪州、ニュージーランドというラグビー強国で世界最高峰レベルを体感しながら6試合。
1ヵ月のハードな遠征を終えて帰国した際には、見違えるようなタフな集団となっていることがイメージできるブリスベンでの最初の2試合を終え、ジュニア・ジャパンは次なる戦いの場であるキャンベラ(3月23日、対シドニーアカデミー戦)に向かった。

text by Kenji Demura

CTBバイフのトライにつながる突破を見せたLO姫野。後半途中出場組が前に出てチャンスをつくった
photo by Kenji Demura (RJP)