世界10位を相手に未来につながる健闘ぶりを披露ジャパンを補完する若手メンバーを育成する目的で4月中旬から2週間に1度の1DAYセッションを行ってきたジュニア・ジャパンにとって、初の対外試合となったトンガ戦。22人のメンバーにはジュニア・ジャパンスコッドに加えて、ジャパン組からも9人が合流(PR坪井秀龍、LO篠塚公史主将、FL村田毅、FL桑水流裕策、SH内田啓介、SO田村優、CTB中村亮土、CTB森川海斗、WTB竹中祥)。 後半5分にトライを奪った他、積極的にボールに絡んでいくプレーでチャンスをつくったWTB竹中
photo by RJP 12日、13日に行われた日本代表との合同セッションではセットプレーで上のジャパンを圧倒する場面もあったジュニア・ジャパン。いきなりトンガボールのスクラムを2回連続でターンオーバーするなど、トンガに対してもセットは十分通用すること印象づける立ち上がりとなった。 10分に自陣から積極的にアタックしたジュニア・ジャパンだったが、WTB竹中祥がつかまり、ターンオーバー。そのままフェイズを重ねたトンガが最後はCTBシアレ・ピウタウ→WTBダミエン・ファカファヌアとつないで先制トライ。19分にも連続攻撃からNO8パウラ・カホがトライを奪って、トンガが14-0とリード。 それでも、ジュニア・ジャパンも直後のキックオフがマイボールラインアウトとなり、FL村田がタテにトンガDFを切り裂いた後、SO田村→CTB森川とパスをつないでブレーク。再び左サイドを「ジャパンで他のバックローの人たちとプレーして、任せるところは任せて、自分がいくところは100%で行くことを学んだ」という村田が再び前に出て、さらに順目に走り込んできたWTB竹中がトライラインに迫った後、最後はFWがなだれ込み、HO白が押さえて1トライを返した。 「後半は日本が勝っていた」(トンガのケフHC)前半35分から途中出場した17歳のSO/CTB山沢のプレーぶりは日本代表ジョーンズHCも絶賛
photo by RJP ジュニア・ジャパンは全員をプレーさせる方針だったこともあり、前半35分には注目の高校生SO/CTB山沢拓也が早くも途中出場。いきなり自らのパスミスでこぼれたボールを後ろに戻って拾い、右ライン際をブレークして、平日の16時からのキックオフにもかかわらず集まった1000人を超える熱心な観客を沸かせた。 10分に自陣でキック処理をしたWTB竹中がカウンターでまっすぐ前に出て、FB豊島翔平、WTB原田季郎の好走で敵陣に入り、PR坪井がタテに突破した後のラックから最後は山沢のパスを受けた竹中が右サイドを走り切ってトライ。 アタック面で目立ったFL村田は仏バーバリアンズ戦の日本代表スコッド入りを果たした
photo by RJP 「最初は1対1や接点も強いし、DF範囲も広いので、間合いがとりずらかったけど、プレーをしていく中で『この間合いだ』と何となくわかってきた部分もあった。今からこの間合いを経験していけば、わかっていくと思う」 「ずっとビビリッぱなしだった」という最年少の山沢から、「本当は私がここ(ジュニア・ジャパン)にいてはいけないんですが、トンガに勝つことが目標だったので負けて悔しい」という最年長の篠塚主将まで、本物のインターナショナルと対戦できた経験は必ず将来に生きてくるはず。 text by Kenji Demura 試合後の記者会見からトンガ代表、ケフ ヘッドコーチ(左)、カホキャプテン
◎トンガ代表 ○パウラ・カホ キャプテン ──今日のジュニアジャパンについて。 ○ケフ ヘッドコーチ 「日本人選手全般に対して私が思っていることですが非常に才能を持った選手が多い、アスリートとしても様々な能力を与えられた選手が多いといつも思っています。それが強さであったり速さであったりいろいろと思います。足りない所は何かと考えた時にメンタル面でのタフネスなのかなと。短い期間の短時間のメンタルタフネスではなく、長い時間持ちこたえるメンタルタフネスというのが必要になってくるのではないかと思います。 ──この試合に対しては? ○ケフ ヘッドコーチ 「前回の試合から短い試合期間であったのですが、それに関してはトンガのチーム・選手達には、あまり気にならないのが実情です。次の試合は一週間時間が空きますが準備に影響している事はあまりなくてモチベーションについてもトンガの選手は生まれ持ったアグレッシブさやモチベーションの高さを持っていますので監督としても助かっていると思います」 ──後半、日本に攻められた部分に対しては。 ○ケフ ヘッドコーチ 「後半の部分は日本がよりフィットしてきました。それから非常にボールをリサイクルする点で素早かった所があったと思います。一つ一つのプレーについてもかなり良くなって来ていましたので我々が一対一になった部分でなんとか持ち堪えて止めたと思います。実際に22mまで攻め込まれピンチだった場面など、後半に関していえばジャパンが勝っていたといえるかもしれません」 ──フィジー戦に向けて。 ○ケフ ヘッドコーチ 「今日の試合に関しては選手全員がフィールドの上で走り回って動けたという所が良かったと思います。次の試合に備えてフィットネスの部分も非常に良く動いたところを確認できたという点では良い収穫だったと思います。 ──ジュニアジャパンと日本代表との違いは? ○ケフ ヘッドコーチ 「正規のジャパンの方が選手一人一人のクォリティに差があったと感じました。体もジュニアジャパンよりも大きかったのではと感じています。ジュニアジャパンに関しては今日ミスが多かったと思っています」
◎ジュニア・ジャパン 今日、素晴らしい経験をさせていただいた、トウタイ・ケフ ヘッドコーチをはじめとするトンガ代表に心からの感謝の言葉を申し上げたい」 ジュニア・ジャパン、薫田アシスタントコーチ(右)、篠塚キャプテン
○篠塚公史キャプテン ──後半、良くなった理由をどう捉えているか。 ○薫田アシスタントコーチ 「基本的にはジャパンと同じで、ラスト20分でどう勝負していくか、ゲームプランとしてフィットネスで勝負しようというのはあった。前半から攻めようという意識はあったと思うが、トンガのDFに対して、特にブレイクダウンの部分で苦戦して、なかなかボールを動かせないケースがあった。それでも、後半追い上げられたというのは、選手が良くプランをイメージできていた証拠だと思う。リザーブの選手たちもよく自分たちの役割を理解していた。もう一度ペースアップしようというのは、グラウンドの上でもよく声が出ていた」 ──山沢選手の印象を。 ○篠塚キャプテン 「今日の試合まではすごく静かで、ほとんどしゃべらなかった。でも、いったんグラウンドに出ると大胆に自分からどんどん攻めていった。人を抜く力もある。すごくいいプレーヤー。歳がひとまわり以上離れていて、自分が埼玉出身だということも、知らないみたいで(笑)。ちょっと歳の差を感じた」 ──キャプテンと呼ばれる気持ちは。 ○篠塚キャプテン 「あまり気持ちのいいものではない。個人的には、後ろの方から口を出す方が好きなので、あまり前に出てしゃべるタイプではないので、この1週間はドキドキしていた」 ──相手にターンオーバーされるケースが多かった理由を。DFが緩かった気がしたが、それは急造チームなので仕方ないことなのか。 ○薫田アシスタントコーチ 「準備の期間が4日間しかなかったので、落とし込めることも限られてしまい、シンプルなゲームプランにならざるを得なかった。選手としては、オプションが少ないがゆえに、判断をしていかなければいけないケースも増えたが、正直ギャップはあった。ラック周辺でトンガのDFのバランスが崩れている場面も何回もあった。ただシェイプやリンケージというところに時間を割けなかったし、スペースを見つけられなかった面もある。あと、自分たちの強みである低いところでのプレーというのを徹底できなかった。トンガの高さでボールキャリアがプレーしてしまった。
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(5/15更新)ジュニア・ジャパン「ワールドラグビー パシフィック・チャレンジ2023」第3戦 マヌマ・サモア戦 試合結果のお知らせ
2023.5.15 (月)
ジュニア・ジャパンパシフィック・チャレンジ