日本協会公認A1レフリー 大槻 卓 1 はじめに このたび、11月27日より29日までドバイで行われたDubai Rugby Sevens2008にマッチオフィシャルとして、戸田京介レフリーとともに参加いたしましたので、報告させていただきます。 2 日程および活動概要 11月25日(火) 移動 11月26日(水) 移動、アクティビティ、マッチオフィシャルミーティング 11月27日(木) 大会1日目、アシスタントレフリーミーティング 11月28日(金) 大会2日目(IRB Sevens World Series1日目) 11月29日(土) 大会3日目(IRB Sevens World Series2日目)、移動 11月30日(日) 移動 今回大会が行われた競技場はドバイ市内からバスで45分ほど走った砂漠の真ん中にありました。メインスタンドを含めピッチが7面ある非常に大きな競技場でした。来年3月のワールドカップセブンズに向けてまだ建設中であり、完全には完成していませんでしたが、その施設やグラウンドの芝の状態はすばらしいものでした。この大会は国内・国外から160を超えるチームが参加しており、その大会規模たるや私の想像をはるかに超えるものでした。メインであるIRB Sevens Seriesをはじめとして10を超える大会と400を超える試合がこの3日間で行われ、連日熱のこもった試合が繰り広げられました。それだけの試合やイベントなどをとりしきる運営能力の高さに感心しました。 大会に関係するマッチオフィシャルも地元アラビアンガルフをはじめ世界各国より集まり、60名を超える大所帯となりました。競技の日は朝6時過ぎにホテルを出て、戻ってくるのは夜の11時過ぎ、とマッチオフィシャルにとって非常にタフな大会でありました。気候も湿度こそあまり高くはありませんでしたが昼間は気温が急激に上がり、試合に向けたコンディショニングも大変でした。 私はIRB Sevensのアシスタントレフリー(アジアより12名)としての参加でしたが、IRB Sevensの始まっていない大会一日目は他の大会のレフリーやアシスタントレフリーもつとめました。インターナショナルの大会への参加チームは非常にスキルレベルも高く、また、ウクライナやロシアなど様々な国からも参加していたのでレフリーとして貴重な経験をすることができました。 アシスタントレフリーやインゴールジャッジは当然ながら集中した状態を維持することが必要になります。IRB Sevensでは一日あたり7,8試合を約1時間おきに担当しました。そのため、試合と試合の間のオン、オフの切り替えに非常に気を使いました。全44試合のうち15試合のマッチオフィシャルとしてピッチに立ちましたが、インゴールジャッジではありますが、ファイナルのイングランド-南アフリカのピッチに立つことができた事は私にとって貴重な経験になったと思います。 3 アシスタントレフリー及びインゴールジャッジ確認内容 大会1日目の午後にIRB Sevensのアシスタントレフリー及びインゴールジャッジを担当するレフリーに対してStan Wright氏及びKeith Lawrence氏より以下についての確認・説明がありました。また、マッチオフィシャルも様々な国から集まっているので、マッチオフィシャル間のコミュニケーションは的確に簡潔に行うことを確認しました。 【アシスタントレフリー】 (1) チームワーク ・ レフリー、アシスタントレフリー、インゴールジャッジはTeamである。 (2) 基本役割 ・ 基本的な役割はタッチに関することとファールプレイの報告である。 ・ その他のことはあくまで+αである。 ・ LeadingとTrailing を的確に。 (3) ラインアウト ・ クイックスローインの為にもタッチの際は早くマークを示すこと。 ・ 相手スロワーが5m×10mかつ少なくとも2m離れた位置にいるかの確認。 (4) ファールプレイの報告 ・ レフリーが見ていたとしても必ず行うこと。 ・ 推測ではなく、また観衆の反応に惑わされることなく、見たことを報告すること。 ・ 報告の流れ (5) マッチオフィシャルに対するクレーム等 ・ ピッチから退場するときはマッチオフィシャルが一緒になって出ること。 (6) キック ・ Trailing ARはキックの後のチャージやタックルに注意すること。 (7) スクラム ・ ボールが出た後に相手をつかんでいないか。 ・ 5mのオフサイドの確認(立つ位置はグラウンドに向かって右の5m) (8) 時間の空費 ・ 時間の空費のためにボールをタッチやデッドボールラインに出していないか。 【インゴールジャッジ】 (1) チームワーク…同上 (2) ポジショニング ・ トライ…できる限り早くトライが確認できる位置に動く。特にコーナー近くの場合についてもライン上で判定をできるように。 ・ ゴールキック…確認しやすい位置に立ち、すぐに動くことができるように準備をする。 (3) 時間の空費 ・ ゲームの進行のスピードアップのためにもトライ後のキックがスムーズに行われるようにサポートする。(トライしたプレーヤーがボールを置いていってしまった場合等) (4) ファールプレイ…同上 (5) マッチオフィシャルに対するクレーム等…同上 4 おわりに 今回、Dubai Rugby Sevens 2008にマッチオフィシャルとして参加させていただきました。今まで経験したことのない大観衆と雰囲気の中でマッチオフィシャルとして試合に関わることができたことは非常に大きな経験となりました。また、平林レフリーをはじめとしたIRBレフリーとともにチームを組み試合に臨んだり、レフリングを間近で見たりできたことも大きかったと思います。この経験を今後のレフリングに活かしていきたいと思います。