10月1日、都内で秋の国際試合に出場する日本代表メンバー発表記者会見が行われた。
この秋の日本代表戦は、「ジャパンラグビーチャレンジマッチ 2018」世界選抜戦(10月26日)、「リポビタンDチャレンジカップ 2018」ニュージーランド代表戦(11月3日)、「ラグビー日本代表リポビタンDツアー2018」イングランド遠征(対イングランド代表=11月17日、対ロシア代表=11月24日)の4試合がある。会見には、男子15人制日本代表の薫田真広強化委員長、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが出席した。

 

★この35名がトップリーグ第7節のプロテクト対象選手

会見冒頭で、15人制日本代表・薫田真広強化委員長は、「今回のメンバー35名は、2018年のトップリーグ、サンウルブズ、6月の日本代表戦でのパフォーマンスを見て選考されました。この選手たちはトップリーグ第7節のプロテクトの(試合に出場しない)対象選手になります」と説明。続いて、ジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチより、35名のメンバーが読み上げられた。

 

★堀越康介、梶村祐介など期待の若手もメンバー入り

ジョセフヘッドコーチは数名の負傷者が11月までに回復するか未知数のため、通常よりも多い35名を選出し、イングランド遠征時は33名に絞ると説明した。
「悪いタイミングで怪我が多発してしまいましたが、逆に言えば新しく入ってきた選手、若い選手に機会が与えられるということでもあります。今回の選考はトップリーグ第4節までのパフォーマンスを見てのものです。彼らが自らチャンスを作ったとも言えるでしょう。日本では各ポジションの層の薄さが取り上げられていましたが、若い選手が活躍してくれることによって層を分厚くできると考え、わくわくしております。
特に、堀越康介、梶村祐介などトップリーグで活躍していた若い選手が入っています。我々の掲げるスタンダードがどのようなものなのか、戦い方を理解してほしいと思っています」

今回メンバー選考から漏れたベテランについては次のように語った。
「堀江翔太は、コンディション不良で今回は選ばれませんでした。空いた穴については、堀越がチャンスを得ました。そして、もう一名、立川理道がメンバーから外れています。彼の最近のパフォーマンスが我々の求めるレベルに達していなかったということです。彼のことは選手としてリスペクトしています。
今回は苦渋の判断でした。この先のトップリーグの試合、今後の活躍で彼がこの逆境を乗り越え、復活してくれると信じています。2年前、2016年の日本代表メンバーを発表したことを思い出しています。その時は、堀江と立川が共同キャプテンでした。今回、彼ら2人は不在ですが、この2年の間に、たくさんのリーダーシップが芽生えたと感じることができます。一年間のブランクからリーチ マイケルも戻ってきています。流大、田村優、姫野和樹ら多くの選手がチームを引っ張れるようになってきました。彼らがこのままチームをけん引してくれるという手ごたえを感じています。
このチームで世界の強豪であるニュージーランド代表オールブラックス、イングランド代表に対して、しっかりと戦っていきたいと思います」

その後の報道陣との質疑応答では、10、11月の試合で、どのような戦いをしたいかを問われて、こう答えた。
「戦い方の大幅な変更はありません。過去最強の相手との戦いになります。オールブラックスはここ数年90%以上の勝率を誇っています。手ごわい相手であることはご承知の通りです。日本のセットピースに対してプレッシャーをかけ、動揺を誘うようにしてくると思います。来年のラグビーワールドカップでのアイルランド代表やスコットランド代表も同じように戦ってくるでしょう。
我々は今までの通り、キックを駆使してチャンスを作る。そして、ストラクチャーからのトライを奪う。6月のイタリア代表戦でもそうしてトライを奪っていますが、これが我々の勝率が一番上がる戦い方だと思っています」

このほか、選手選考のキーポイントについて「現状のパフォーマンスがもっとも大事。学ぶ意欲、持っているスキル、取り組む姿勢、すべてを考慮して選んでいます」と話した。また、現在の日本代表のプレースタイルはSH(9番)が重要なポジションだと強調し、5名のSHについて言及した。「5人の有能な9番がいることを嬉しく思っています。それぞれに違う良さがあり、違うものをチームに提供できます。
我々が求めているのは、スキルが高く、スピードがあり、アンストラクチャーの中で素早い判断のできる選手です。(今回選考した)茂野と他の選手は僅差です。田中史朗、流大、内田啓介に加えて、日和佐篤も神戸製鋼コベルコスティーラーズで印象的なパフォーマンスをしています。9月下旬の合宿で5人を見て、今回の3人になりましたが、今後、誰が選ばれてもおかしくないレベルだと思います」

 

10月26日の世界選抜戦より、いよいよ秋の日本代表戦が始まる。すべてが来年のラグビーワールドカップ日本大会につながり、各選手にとっては本大会でのメンバー入りへのアピールの場だ。一試合たりとも見逃せない戦いだ。