競技規則につきまして、ワールドラグビーよりこのほど、下記の通りルーリングに関する通達が出されました。日本協会でもこれを受け、ここに通知いたします。
記
明確化の要請:
ニュージーランドラグビー協会は、以下の2点について、競技規則の解釈の明確化を要請する:
・競技規則9.17には、「プレーヤーは、地面から足が離れている相手側プレーヤーをタックルしたり、チャージしたり、引っ張ったり、押したり、または、掴んだりしてはならない。」と記されている。
・競技規則9.11には、「プレーヤーは、他者に対して危険な行為はいかなるものもしてはならず、これには肘や前腕を出す行為を含む。」と記されている。
・競技規則9.7には、「プレーヤーは、故意に競技規則の反則を犯すことをしてはならない」と記されている。
確認1. プレーヤーが、競技規則に則って低いタックルをしようとしているタックラーを飛び越えた/タックラーの上を飛んだ場合、ディフェンダーがボールキャリアーをタックルすることを妨げることになる(ボールキャリアーが空中にいてタックルはされないため)。これでは不公平に見え、競技規則9.7の「不当なプレー」の条項に反すると考えられる。
スーパーラグビー・パシフィックの第1節において、ピタ・ガス選手がアーロン・スミス選手を飛び越え、立ったまま着地し、そして、飛び込んでトライした。
https://www.youtube.com/watch?v=LLIrJZ5SV9A
この行為が、正当なのか、違反となる不当なプレーなのか、あるいは、不当で危険なプレーなのか、明確化を求めたい。
ラグビー委員会の指定メンバーによるルーリング:
タックラーになろうとしている相手を飛び跳ねて越えることは、ボールキャリアーがタックルに対して飛び込んだという事実から、危険なプレーであることに同意する。たとえ接触がないとしても、この行為は競技規則9.11に対する明確な違反であり、競技全般において重視されるプレーヤーウェルフェアに反すると考える。
今回のケースにおいては、罰としてボールキャリアーに対するペナルティキックが科されるべきである。
確認2. 2021年、ジョニー・メイ選手が追ってくるタックラーを跳んでかわし/飛び越え、コーナーにトライした。同選手は、跳んだ/飛び越えたことと体をひねったことで、一つの動きの中で直接トライしていた。
https://www.youtube.com/watch?v=M8oZ6apE6GI
この行為が、正当なのか、違反となる不当なプレーなのか、あるいは、不当で危険なプレーなのか、明確化を求めたい。
ラグビー委員会の指定メンバーによるルーリング:
ボールキャリアーは、トライするためにボールを持って飛び込むことができ、それは許されるべきものと考える。
公平性の観点から、このような場合、ディフェンダーは、そのプレーヤーに対して安全で競技規則に則ったタックルをしようとすることが許されている。
上記で述べているように、タックルを避けようとして跳ぶことは危険なプレーとみなされるべきであり、たとえ接触がないとしても、しかるべき罰を科されるべきである。
このような非常に稀な状況においては常に、マッチオフィシャルが優先すべき決定要因はプレーヤーウェルフェアとするべきである。今回の稀な例を含めたそういう状況においては、プレーヤーの優れたスキルや器用さがそこにあるが、マッチオフィシャルは、どんな行為が行われたのかに対して判定をしなければならない。何らかの危険なプレーの要素があるならば、上記のルーリングにならい、トライは与えられない。
原則として、トライの状況において、その行為がトライをするために前へ飛び込んだものとみなされれば、認められるべきである。プレーヤーがタックルを避けるために地面から足を離した、または、跳んだ、または、タックラーになろうとしている相手を飛び越えたとみなされるのであれば、それは危険なプレーであり、しかるべき罰が科されるべきである。
■通達対象:加盟協会、競技運営関係者、加盟チーム
■文書作成:日本ラグビーフットボール協会 国際部門・技術部門
■本件についてのお問い合わせ先:
公財)日本ラグビーフットボール協会
技術部門マッチオフィシャルグループ 競技規則担当(referee@rugby-japan.or.jp)
以上