「RWCセレクションも兼ねている」本気のフィジーA代表に大敗も後半は前に出るプレーで手応えも得たジュニア・ジャパン
photo by RJP Kenji Demura
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パワー、スキルで上回るフィジーA相手に必死にタックルするCTB笠原(左)とFB尾崎達。「どれだけタフか」(中竹HC)試される試合に
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6月にイタリアで予定されている「ワールドラグビーU20チャンピオンシップ」に備えるため、20歳以下のメンバーで構成されているジュニア・ジャパンは、「本当にタフだった」(HO堀越康介主将)という初戦のカナダA戦で17―69で大敗。
「1試合やってみて、自分たちの実力がわかったはず。相手どうこうではなく、いかに走り勝つか」(中竹竜二ヘッドコーチ=HC)
一昨年はWTBネマニ・ナドロ(NECグリーンロケッツ、クルセイダーズ=SR)も参加していたフィジー第2代表“ウォリアーズ”に対して、そんなテーマで臨んだ第2戦。
キックオフ直後こそ、実力が上であることは間違いなかったフィジーの出足を止める場面も見られたが、前半6分に縦突破からオフロードパスをつながれて先制トライを許すと、9分、19分、20分、25分、29分、38分、40分と前半だけで8トライを重ねられる一方的な展開に。
「普通のパスが取れない。普通のタックルができない。普通のボールキャリーができない。
前半は普通のプレーが1個もできなかった。途中、パニックになるところもあった」(中竹HC)
実は、昨年3月、IRBパシフィックラグビーカップという名称だった今大会で同じフィジー・ウォリアーズと対戦したジュニア・ジャパンは13―99という大差で敗れていた。
1年前も翌月に控えていたIRBジュニアワールドトロフィーに向けてジュニア・ジャパン=U20メンバーで構成。
「フィジーにだけは歯が立たなかった。タックルしてもオフロードでつながれて、そのままトライというのばかりだった」とは、当時を知る(後半途中出場)HO堀越現主将の述懐だ。
あるいは、前半だけで終了していたなら、今回も対フィジー・ウォリアーズ戦の印象は1年前とさほど変わらないものになっていたかもしれない。
「前半はアタックしてもファーストフェイズでミスが出て、ディフェンスにしても圧力がなくて全部オフロードでつながれた。
ハーフタイムにロッカールームで、ディフェンスはまずは早くセットして圧力かけよう、アタックは3フェイズまでしっかり走って3フェイズ超えたらチャンスが来るということを確認して、後半は前に出る部分は良くなった。修正できた部分は良かった」(同主将)
大学選手権、日本選手権で活躍したWTB尾崎晟副将も「個人のレベルの差」を実感。第3戦へは「まっすぐ走り込む」点などを修正して臨む
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後半18分から途中出場して攻守に積極的に前に出るプレーでチームに勢いを与えたCTB岡田。後半は日本のペースで戦える時間帯が多くなった
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初戦で苦い思いの途中出場組がチームに勢い
スコアだけ見るなら後半も点数を挙げられなかった日本に対して、フィジーはいきなり2本連続でのノーホイッスルトライを皮切りに5トライ。最終的には点差は83にまで広がった。
それでも、堀越主将がポジティブな面を強調したとおり、後半に入るとジュニア・ジャパンが「戦える時間」が増えたのは紛れもない事実だった。
フィジーに後半3本目のトライを奪われたのは7分だったが、同4本目のトライは38分。
この間は日本が試合を支配していたと言ってよかったし、フィジーゴール前で攻め続けるシーンも何度もあった。同28分には相手にシンビン退場者も。
後半、日本が優位に戦えるようになった要因としては、4日前のカナダ戦を経験したリザーブ組が揃ってチームに勢いを与えるような働きを見せたことも大きかった。
「(後半18分に途中出場した時に考えたのは)ゲームの流れを変えること。ずっとアタックされ続けていたので、ディフェンスからチームの流れ変えて行きたいと思った。しっかりディフェンスを続けていくと、自分たちのボールにもつながったし、最後はボール保持率でも自分たちの方が上回れた。ボールキャリーもしっかりゲインできた」というCTB岡田優輝の攻守に前に出るプレーは間違いなくチームに勢いをもたらし、後半20分からプレーしたSH村瀬謙介、同24分から登場のSO野口竜司のハーフ団も、とにかく積極的に仕掛けるゲームメイクで何度もチャンスを作った。
「リザーブで入ってきたメンバーが自分を追い込んで、タックルに行って、アタックでも頑張った。前の試合ではパニックになっていた選手。ひと皮向けてきた」
今大会はU20チャンピオンシップへ向けて「誰が本当に戦えるか」を見極めるセレクションであることも強調する中竹HCはカナダA戦とフィジー・ウォリアーズ戦の2試合でメンバー全員を試すような選手起用を実践。
その中で、「戦える選手」が見えてきたことの収穫を強調する。
4日後に控えるトンガA戦では、フィジー・ウォリアーズ戦で「20分くらいは持ちこたえられた」(同HC)という日本の時間帯をさらに増やし、チャンスを確実にものにすることが課題となる。
「カナダA戦に比べれば前に出るという部分では、みんなできていた。取りきれないのは細かいミスであったり、自分たちのアタックのシェイプだったり、まだまだ実力不足。継続した中でトライを取り切るところまで持っていきたい。フィニッシュをテーマにやっているBKがあそこでミスしてはダメなので、まずは基本に戻って、日本の原点であるまっすぐ走り込むというところと、うまくシェイプのところでリンクできるように修正して臨みたい」(WTB尾崎晟也副将)
「お互い言い合えるチームになっているし、日本にいる時より全然いい」(堀越主将)というチームの成長をそれぞれが実感しながら、次なる強敵のトンガAに立ち向かうことになる。
後半24分から途中出場したSO野口の自ら仕掛けるプレーでチャンスを作るなど、初戦を経験したリザーブ組の奮起が後半の健闘を呼んだ
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スバのANZスタジアムには現地在住の日本人など多くのジャパンサポーターも駆けつけ声援を送ってくれた
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試合後、集合写真に収まるジュニア・ジャパン。U20チャンピオンシップを目指す若い選手にとって厳しい経験こそが世界で戦う糧になる
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