U20代表メンバー構成のジュニア・ジャパンが
カナダ、フィジー、トンガ準代表とタフバトル

 

10日、フィジーのスバでワールドラグビー パシフィック・チャレンジ2015(WRPC2015=3月10-23日)が開幕する。

昨季まではIRBパシフィックラグビーカップと称されていた同大会は日本からジュニア・ジャパンが参加する他、フィジーA、サモアA、トンガA、アルゼンチンの第3代表とされるパンパスXV、そして今季から新たに加わるカナダAの計6チームによって争われる大会。
3チームずつ2つに分かれてプール戦を戦った後、最終順位決定戦が行われる。

 

(text by Kenji Demura)

WRPCプール戦でカナダA、フィジーA、トンガAと戦うジュニア・ジャパン。U20チャンピオンシップを見据え、U20メンバーで臨む(写真はHO堀越主将)
photo by RJP Kenji Demura
副将は昨季のJWRTも経験した帝京大1年の尾崎晟。今季の大学選手権、日本選手権ではWTBで活躍したがWRPC初戦はFBで先発する
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昨季のジュニアワールドラグビートロフィー(JWRT)で優勝を果たし、ユース世代の世界最高峰大会であるワールドラグビーU20チャンピオンシップ(6月、イタリアで開催=旧IRBジュニアワールドチャンピオンシップ)へ昇格を果たしたU20日本代表の強化のため、今回のジュニア・ジャパンもU20チームとしてフィジーに赴いている。

「誰が本当に戦える選手なのか。どれだけタフにやれるかを見極める」
ジュニア・ジャパンの中竹竜二ヘッドコーチ(HC)は、WRPC2015で4試合を戦う今回のフィジー遠征は3ヶ月後に迫っているU20チャンピオンシップでのタフバトルに向けたセレクションを兼ねていると語る。

「主体性を持って激しく。逆境に勝つ集団」(同HC)を目指すジュニア・ジャパンがWRPC 2015のプール戦で対戦するのはカナダA(10日)、フィジーA(14日)、トンガA(18日)。

3月2~4日に行われた直前合宿で「はじめてアタックはこんなふうに戦うというのを提示した」という中竹HCは、対戦相手の印象を以下のように語る。

「カナダは一番オーソドックス。体がデカくて、ちゃんとしたラグビーをやってくる。ヨーロッパの国に近い。トンガ、フィジーはフィジカルなところで今まで体感できなかったレベルだと思うので、向こうのプレッシャーに負けないタフネスをつけたい。相当圧力を受けると思いますけど、それを感じながら這い上がってほしい」

「スクラムやモールにはこだわりたい」(遠藤FWコーチ)というジュニア・ジャパンにとってFW陣の成長も世界で戦うための鍵となる
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初戦のカナダ戦で指令塔を務めるのはSO野口。昨季のJWRTでは出番がなかったが、1年間で成長した姿を見せることができるか
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「みんなで引っ張っていけるチーム。成長の加速も早い」(堀越主将)

すでに初戦のカナダ戦メンバーは発表されているが、前述のとおり直前合宿で初めて戦術の落とし込みに着手したばかりだけに、「極端な話、どこからでもアタックする意思があるかとか、『なにくそ』という部分だけでいい」(遠藤哲FWコーチ)と、重視されるのは勝敗というよりは世界で戦う本質を感じ取ること。
主将は「体は小さいが、いいスキルを持っていて、リーダーシップもある」(中竹HC)との評価を受けるHO堀越康介、副将は大学選手権、日本選手権での活躍も記憶に新しいFB尾崎晟也という帝京大1年生コンビが務める。中竹HCは尾崎晟に関しては「格が違う」という表現でその存在感の大きさを語るが、堀越、尾崎晟共に昨年のJWRT経験者でもある。

その他、やはり昨年の経験者を中心に9人からなるリーダーグループも存在するが、「なるべく全員をいろんな場面で出して、誰が戦えるか。タフネスがあるかどうかを一番見たい。意外な選手が引っ張っていってくれたりする」(同HC)というのがWRPC 2015での基本的なセレクションポリシーでもある。

最終的には6月のU20チャンピオンシップでウェールズを倒すことを目標にしているU 20代表(同大会ではイングランド、フランス、ウェールズとプール戦で対戦)。
ジュニア・ジャパンとして臨むWRPC 2015での戦いがタフなものになることは選手たちも自覚している。
「ジュニア・ジャパンとして行くので相手も相当強い。去年のPRCでもフィジーには全く歯が立たなかった。合宿で重ねてきたことをチャレンジして、おもいっきり戦っていくことが大事。アタックシェイプのところとか、ブレイクダウンのところとか。FWで言えば、ユニットのところで頑張りたい。」
昨年の経験を生かして積極的にチームを引っ張っていきたいという堀越主将だが、その一方で今年のチームならではの優れた資質を早くも感じている。
「このチームはリーダーが誰というより、みんなで引っ張っていける。だから成長の加速も早いと思う。すごく、いいチームになると思う」

「攻め走り勝つ」
かつて12年にU20代表を率いて赴いたウェールズで7―119という歴史的大敗を喫した経験を持ちながらも、あえてU20チャンピオンシップでの「ビート・ウェールズ」を目標に掲げる中竹HCは、そんなふうに日本が世界で戦うイメージを要約する。
3ヶ月後のイタリアでジャパンウェイを炸裂させるための端緒となる戦いが始まる。

「攻め走り勝つ」ラグビーを目指す中竹HC率いるジュニア・ジャパン。WRPCは世界で戦えるタフさを獲得する第1歩となる
photo by RJP Kenji Demura