各地で梅雨に関するニュースが盛んに流されております。熱中症はご存じのように、梅雨の晴れ間の急に暑くなったときによく起っています。次の「熱中症予防について」をしっかり熟読し夏合宿前の練習や夏合宿に備えてください。 また夏合宿中の練習試合については、まだまだ試合数の多いチームが散見されます。疲労した体でなおかつレベルの違う相手では、弱い者に大きなダメージがくるのは戦いの常識であります。強い相手にどれだけ現在のチーム力が通じるのか試したい気持ちは十分理解できますが、ダメージを受けるのは体力的に弱いプレーヤーです。 昨年の日本協会からの呼びかけに、夏合宿中の練習試合は1日1試合ということが守られ始めてきたようです。引き続き今年も練習内容を工夫されて1人のプレーヤーが出場する試合は1日に1試合以内を守るよう注意しましょう。 「熱中症予防について」 《原因》 暑い環境のもとで激しい運動により、からだが生み出す熱に対して、周囲は高温多湿のため熱の放散が妨げられ、体温が上昇することにより起きる。重要な臓器(特に脳)が障害を受けることもあり、死亡することがある。 《症状》 頭痛、吐き気、めまい、脱力感、けいれん、意識障害、高体温等などが認められ、意識障害がある場合は重症である。 《処置》 <意識がはっきりしている場合> 涼しいところへ運び、衣服をゆるめ、寝かせる。 吐き気やけいれんがなければ、水分補給。水分摂取ができない場合は救急車を要請する。体温が高ければ、水を全身にかけて風を送る、または氷で首の横、脇の下、足のつけね前面を冷やす。様子がおかしければ直ちに救急車を要請する。 <意識がないあるいは意識がぼんやりしている場合> 応答が鈍い、言動がおかしい、あるいは意識がない場合は、迷わず救急車を要請する。 涼しいところへ運び、衣服をゆるめ寝かせる。体温が高ければ、水を全身にかけて風を送る、または氷で首の横、脇の下、足のつけね前面を冷やす。経過を注意深く見守ること。 《熱中症要因》 外的要因 周辺温度 直射日光 湿度 風 衣類(黒い衣類、ヘッドギア、ショルダーパッド) 薬物 風邪薬、カフェイン 内的要因 熱中症の既往のある選手 体格(肥満)、有酸素性体力、気候順応 水分補給状態 病気(かぜ、下痢、など) 《予防》 暑熱環境の把握 暑熱馴化 水分補給(体重減少2%以内、喉の渇きにもとづく自由飲水、0.1-0.2%の食塩水) 吸湿性・通気性の良い衣服 直射日光の下では帽子やタオル 《熱中症対策:熱ストレス減少のための戦略》 (IRBガイドライン) 教育 トレーニングとプレーにおける適切なスケジューリング 暑熱馴化 コンディションの評価 現場での対策 危機管理 (選手への教育) 過去の熱中症の既往の有無を報告する 発熱を伴う感染症の罹患の有無を報告する 薬物 風邪薬、カフェインを使用した場合は申告する 水分補給の重要性を理解(練習および試合前、中、後) 熱ストレスの徴候の早期報告 痙攣、頭痛、嘔気、嘔吐 通気性の良い、軽い、締め付けの少ないウエアを着る (現場指導者の注意点) 暑熱環境の把握(WBGTが望ましい) 選手の熱ストレス徴候を早期発見 発熱を伴う感染症にかかっているかどうかを報告させるよう指導 水分補給を意識した練習計画(自由飲水の可能な練習環境) 運動前後の体重測定(体重減少2%以内となるように水分補給) 熱射病の危険性の理解 暑熱馴化には7-10日かかる 選手の特性(熱中症のなりやすさ)の確認(経験年数が少ない、過去に熱中症の経験あり、肥満気味、体力が低い) (試合での対策) ロッカールームでのエアコンまたは扇風機の使用(または団扇) ロッカールームが無い場合はグラウンドサイドにテントなどの日陰を確保する 氷水につけたタオルの準備 ウォーターブレークを入れる ウォーターブレーク時に熱ストレスのチェック、身体を冷やす、水分補給を行う 参考: 暑熱環境を把握することは熱中症予防のうえで非常に重要です。 環境省熱中症予防情報サイトで、日本全国840地点の暑さ指数(WBGT)の3日後までの予測値が公開されています。 安価な携帯型熱中症計が市販されています。 2014年6月 (公財)日本ラグビーフットボール協会 安全対策委員会 → 夏季の練習についての注意(2014年)インデックスページへ