RWCで日本が2試合を戦うグロスターで

因縁の相手ジョージアとのラストマッチ

 

英国時間4日(日本時間5日未明)、日本代表にとってラグビーワールドカップ(RWC)2015前、最後の一戦となるジョージア戦がイングランド西部のグロスターで行われる。

1日にイングランド入りし、「スクラムとモールディフェンスにこだわって練習してきた」(FLリーチ マイケルキャプテン)という日本代表にとっては、昨秋スクラムで完敗したジョージアを相手に進化を証明し、RWC本番に向けて勢いをつける格好のラストチャンスとなる。

1

泣いても笑ってもRWC前最後の一戦。昨秋のリベンジを果たし、最高のかたちで本番を迎えたい
photo by Kenji Demura

9月1日にイングランドに到着して4日後に行われるRWC2015最後の準備試合。

「先週のウルグアイ代表戦より強力なメンバー。80%は最強と言えるだろう」(エディー・ジョーンズヘッドコーチ)

立ち上がりから、完璧なまでに自分たちのペースで試合を続けて40—0で完勝。国内のファンの前で進化した日本代表をアピールした、ウルグアイ代表との第2テストマッチ時のメンバーよりもさらに強力。

最強チームとして臨むことが宣言されているRWC2015初戦の南アフリカ戦メンバーと大枠は同じ構成で「南アフリカ代表に似ている」(リーチキャプテン)ジョージアに対峙することになる。

FW第1列は、左PRが稲垣啓太のコンディションの問題もあり、8月のリポビタンDチャレンジカップ2015以来、先発出場を続ける三上正貴。逆に、パシフィック・ネーションズカップ最終戦のトンガ戦以来、毎試合、先発とリザーブを入れ替えている右PRは今回は山下裕史が先発で畠山健介がリザーブ。

HOは不動と言っていいポジションをキープする堀江翔太が6試合連続でのスターティング。

FW第2列は共にイングランド大会が3度目のRWCとなるトンプソン ルーク、大野均のベテランコンビが先発し、1週間前のウルグアイ戦で復帰し、20分間だけプレーした真壁伸弥が再びリザーブに入る。

バックローはリーチキャプテンが3試合連続で6番、「オン・ザ・ボールに強い」(ジョーンズHC)との評価を受けるマイケル・ブロードハーストが7番、先週はプレーしなかったホラニ龍コリニアシが8番という組み合わせ。

そして、初の試みとなるのが、先週はNO8としてプレーしたツイ ヘンドリックを11番のジャージーを着させながら「バックローとして入れた」(ジョーンズHC)点。

「今回の試験的な試み。つける番号はWTBの 11 番かもしれないが、アタックのときはFWとして、ディフェンスのときはWTBとしての動きになる」(同HC)という。

8月15日のリポビタンDチャレンジカップ2015初戦で194㎝、123㎏の世界選抜WTBタンゲレ・ナイヤラボロに3トライを決められたが、RWCでも大型WTBが日本に対峙してくることが十分考えられ、その対処法としての「11番を着けたバックロー」、ツイの起用ということになる。

右WTBは福岡で行われたウルグアイとの第1テストで途中出場して、「積極的にボールに絡み、チームに勢いを与えるランニングをしていた。ワンステージ上の選手になった」(ジョーンズHC)との評価を得た藤田慶和が4試合ぶりに先発復帰。

ハーフ団は2試合ぶりにSH田中史朗—SO立川理道が先発コンビを組み、CTB陣はRWCでもスタンダードになりそうなクレイグ・ウィングーマレ・サウ。

FBは当然、五郎丸歩という布陣だ。

 

2

決定力を買われてWTBに起用されるツイ。「FWとしてプレーすることに変わりはない」とも
photo by Kenji Demura

体が大きく、スクラムにこだわり

仮想・南アフリカとしても最適

 

「今日は練習でもミスが多かった。みんな緊張している」

当地時間の4日の前日練習を終えて、リーチキャプテンはチームの雰囲気をそう代弁した。

すでに、13年秋にグロスター戦を経験しているとはいえ、実際にスコットランド戦、アメリカ戦の2試合が行われるキングスホルム競技場でRWC前最後のテストマッチが戦えるのは、本番前のシミュレーションとして、これ以上は望めないものだろう。

しかも相手は「オールブラックスもウェールズもスコットランドもスクラムで問題なく自分たちのボールを出せたけど、ジョージアだけは出せなかった」(リーチキャプテン)、「世界有数のスクラムの強いチーム」(ジョーンズHC)。

「サイズも似ているし、スクラムとモール。それに大きなランナーに走らせて、勢いをつけてくる」という仮想・南アフリカとしても最適な相手でもある。

昨秋、ゲームキャプテンとして臨んだジョージア戦でスクラムを粉砕され、「申し訳ない気持ちでいっぱい」と語っていたPR畠山は「修正できるようになった」と、今年に入ってのチームの成長に自信をのぞかせる。

「日本ラグビーの歴史を変える」ことをイメージできる試合になるはずだ。

text by Kenji Demura

3

4試合ぶりの先発となるWTB藤田。「ワールドカップにつながるような試合をしたい」
photo by Kenji Demura

4

進化を続ける日本のスクラムはジョージアに対抗レベルになっているのか。重要な最終テストとなる
photo by Kenji Demura

5
険しい表情で前日練習の様子を見つめるジョーンズHC。RWC前最後の一戦に臨む
photo by Kenji Demura