ロシア戦後半の内容を80分間続け
15年につながる完勝で有終の美を

リポビタンDツアー2013欧州遠征中の日本代表が23日(日本時間同日深夜)、マドリードでスペイン代表とテストマッチを戦う。

1週間前のロシア代表戦の後半、締まった内容で4トライを重ねた日本代表だけに、「理想を言えばロシア戦の後半を80分間続ける」(WTB廣瀬俊朗キャプテン)完璧なパフォーマンスを見せて快勝し、秋のツアーの有終の美を飾りたいところだ。

(text by Kenji Demura)

WTB廣瀬主将を中心にスペイン戦で欧州遠征の有終の美を飾り、15年ワールドカップへの手応えをつかみたい日本代表
photo by RJP Kenji Demura
両PRは平島、山下の神戸製鋼勢が遠征初先発。進化するジャパンのスクラムを証明する
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欧州入りして以来、9日のスコットランド代表戦に始まり、12日にグロスター、15日がロシア代表と、7日間で3試合を戦う厳しいスケジュールだった日本代表。

そして、ロシア戦からスペイン戦までは中7日空くという変則的な試合間隔での遠征最終戦となる。

もちろん、こうしたスケジュールのツアーを組んだひとつの理由が、ラグビ―ワールドカップ2015年大会でも同じような厳しい日程での戦いになるから。

日本がアジア予選を勝ち抜いた場合、初戦の南アフリカ戦から2戦目のスコットランド戦までは中3日。その後のサモア戦までは中9日空くスケジュールとなる。

「ワールドカップでも同じような日程で試合をすることになるので、今回の経験はいい勉強になる。今回、試合を立て続けにやった後、1週間空くなと思うって、ちょっと緩んだ部分もあったり、波がありながらも最後はよくまとまってくれた。そういうことも経験しながらやっていくのが大事」と廣瀬キャプテンが語ってくれたとおり、2年後に向けた予行演習という意味でも収穫の多いツアーとなっている。

十分な準備期間が与えられることになったスペイン戦の先発メンバーはロシア戦から4人が入れ替わる。

両PRがこの秋のテストマッチで不動だった三上正貴、畠山健介のコンビから平島久照、山下裕史へ。

これはロシア戦の先発とリザーブをそのまま入れ替えたかたちでもある。

「三上とハタケ(畠山)はここまで素晴らしい仕事をしてきた。ただ、みんなで仕事を分け合う必要がある。山下と平島もチャンスを得るにふさわしい努力をしてきたし、途中出場で大きなインパクトを与えてくれている」というのが、PRのメンバー変更に関するスコット・ワイズマンテルヘッドコーチ代行の説明だ。

腰や膝のケガのため、エディー・ジョーンズヘッドコーチ就任後は日本代表としてプレーするチャンスに恵まれなかった平島だが、途中出場したグロスター戦、ロシア戦でしっかりした働きぶりを見せたことで、11年のワールドカップ以来となる先発出場を勝ち取ったかっこうだ。

「やるべきことはセットプレーの安定とワークレート上げること。(途中出場した2試合は)練習もしっかりやっていたので、違和感なく、いい感じでできた。スクラムは最初出た時は少し合わない部分もあったけど、試合の中で良くなっていったし、問題はなかった」

一方、この秋のテストマッチでは初先発となる山下は「リザーブの時はインパクト大事だけど、先発でも基本的にやることは一緒。セットプレーをしっかり。相手は大きくて重そうなので、前半からすぐには圧倒できないと思う。徐々に削っていって、ハタケ(畠山)にいいバトンを渡せるようにしたい」と抱負を語る。

テストマッチでは今秋初先発のNO8菊谷にとってスペインは初キャップ時の相手。成長した姿を見せる
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テストマッチ初先発となるWTB山田はマドリードを代表初トライの地とするために燃えている
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WTB山田がテストマッチ初先発

FW第1列以外では、NO8がホラニ龍コリニアシから菊谷崇へ。そして左WTBが藤田慶和から山田章仁への変更となる。

ロシア戦で途中出場を果たし、昨年の欧州遠征では届かなかった念願の初キャップを獲得した山田は、「去年はテストマッチに出たいという気持ちが強過ぎた。いまはテストマッチうんぬんじゃなく、チームに求められる自分の仕事をしていくという意識が強くなった」と、自分よりもチームを優先する気持ちを強調。

「自分も含めて、みんなで最初の厳しいところをしっかり我慢して体を当てて行けば、外にスペースができる」と、トライを取り切る部分では課題が残る、この秋の日本代表の最後の試合でしっかりした結果を残すイメージを持っての先発出場となる。

「フランスでプレーしている選手が多く、FWには大きな選手が揃う。CTBコンビも大きくフィジカルなプレーをしてくる」というのが、フランスでのコーチ経験もあるワイズマンテルHC代行のスペイン評だ。

日本としては、当然まずはフィジカル面でしっかり対抗して、ゲームの主導権を握ることが重要になる。

「前半20分のところはしっかりダイレクトプレーしながら、フィジカルでも上回っていきたい。途中テンポ落としたりもしながら、最後の20分はもう一度テンポ上げる。そういう枠のしっかりした試合をして、2015年につなげていくためレベルアップしたところを見せたい。単なる1試合ではなく、特別大事な1試合だと思って引き締めて臨む」(廣瀬キャプテン)

80分間納得のいく内容で、リポビタンDチャレンジカップ2013のオールブラックス戦、そしてリポビタンDツアー2013と続いた秋シーズンを締めくくり、約1万km離れた日本に朗報を届けるつもりだ。

「進化した姿を見せてスペインに勝つ」と宣言するワイズマンテルHC代行
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