1. はじめに
日本ラグビーフットボール協会では13才から15才の中学生プレーヤー諸君に採用している「ジュニアラグビー」競技規則を一部改訂することといたしましたのでお知らせいたします。皆様にはご一読の上、ご対応いただきたくお願い申し上げます。なお、当該改訂の背景、趣旨についても以下にご説明させていただきますのでご理解、ご協力の程、重ねてお願い申し上げます。
同改訂は平成18年度版・日本ラグビーフットボール協会競技規則(平成18年9月から)から施行することとなりますが、ジュニアの場合は中学校、及びラグビースクールの新学期が平成18年4月であることから、これに先立って同年4月1日付けで仮施行することといたします。
「改訂の背景・趣旨」
日本が12人制・ジュニアラグビーを採用して約10年余りの歳月が流れました。採用以来、12人制ラグビーは13〜15才という発育・成長期の青少年のラグビーとして定着しその目的を充分に果たしてまいりました。しかしながら、その間、IRBはラグビー憲章の趣旨をより具現化することを進め、逐次、ルール改訂を行い、この10年でユニオンラグビーのスタイルは大きく進化(或いは変化)したことは皆様ご存知の通りです。結果としてラグビー競技の中での高校生以上のラグビーと当該ジュニアラグビーの間に多少、差異が生じていること、及び設立時に目的としたジュニアラグビーのスタイルと現状との間にもギャップが生じています。
これらの状況を勘案し、当協会では12人制ジュニアラグビー設立時の目的とジュニアラグビーの現状の差異、13才から15才時期のラガー諸君の発育状況の変化、これらに伴った安全確保と安全対策の強化、及び高校生以上のラグビーとの整合性など様々な角度から検証してまいりました。その結果としてより明確で楽しめるジュニアラグビーを目指し、ラガーの次の年齢、さらに日本のラグビー界の将来につなげていく為に「ジュニアラグビー競技規則」を一部改訂することとした次第です。
2. 平成18年度・ジュニアラグビー競技規則
3. 施行・仮施行・試行時期、その他
「改訂する競技規則施行日と暫定的な試行措置に関して」
当該12人制ジュニアラグビーの競技規則は8月に発行する平成18度日本ラグビーフットボール協会競技規則(同競技規則は平成18年9月1付け施行)にて改訂するが、前述の理由により平成18年4月1日付けで仮施行する。
但し、来年度の新チーム(現2年生以下のチーム)を対象とした新人大会などについては三地域協会、或いは都道府県協会の判断でそれ以前に試行することができることとする。
なお、同改訂(案)の各地域における具体的な実施時期ついては所属される三地域協会、或いは都道府県協会にお問合せ下さい。
お詫び:平成17年9月日本ラグビーフットボール協会ホームページに改定案の骨子を掲載、パブリックコメントを募集しました。半月の掲載期間終了後、改定案骨子の削除作業をいたしましたが、一部、検索エンジンを利用すると同案が検出されるという不都合が生じました。この結果、一部の方に誤認を受けることとなりましたことをお詫びいたします。
「ジュニアラグビー指導者・関係者、中学生プレーヤーの皆様へ」
中学生期のプレーヤー諸君の安全確保については日頃から選手諸君自身、及び指導者・関係者の方々は管理、あるいは注意されていると認識しておりますが、さらに一層、安全対策を強化していただきたくお願い申し上げます。確認の為、以下に特に注意していただきたい事項の一例を記載いたしますのでご一読の上、周知徹底の程、お願いいたします。また、中学生プレーヤー諸君にはよくお読みいただき実行してください。
「注: 安全対策については下記に記載した事項の他、各協会の安全対策委員会、コーチ委員会等から出ている通知、通達、或いは注意事項を充分に考慮して周知徹底の上、厳格履行して下さい。」
1. プレーヤーの健康管理の徹底 |
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(1) |
健康(体調)管理 |
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プレーヤーは体調不良、特に頭部に違和感、頭痛、記憶が定かでない状況や打撲や圧迫などによる胸痛、腹痛などの兆候が少しでもある場合は、直ちに練習、試合を中止して医師の診断を受ける。指導者はプレーヤーの体調について充分に管理監督する。 |
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(2) |
脳しんとう報告と安静期間の遵守 |
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脳振盪(脳しんとう)を起こしたプレーヤーは必ず所属する協会に報告し、医師の許可があるか無いかに関わらず3週間は練習、及び試合を控えるよう徹底する。 |
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(3) |
軽度の頭部打撲とその後(二度目の頭部打撲による)の重症事故の危険性 |
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軽い頭部打撲でも医師の診断を受けるよう徹底し、練習を休むなど安静にした上で、経過を慎重に見守ること。特に最近の事例では最初に軽い頭部打撲を負った後、数日から数週間後に二度目の頭部打撲(脳振盪を含む)を起こし、重症事故(死亡事故)に発展しているケースが観られる。一回目の頭部打撲が軽いか、もしくは自覚症状がほとんどなくても頭部内は大きなダメージを受けている場合があるということに充分留意する。 |
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(4) |
熱中症対策 |
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練習、試合に際しては充分に水分補給を行い熱中症の発生を防止する。のどの渇きがあると無いとにかかわらず、練習、試合前には事前にある程度の水分を補給し、練習、試合中ものどの渇きを感じる前に継続的に水分補給を行う。 |
2. 身体的強化、及び技術的指導による安全確保 |
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(1) |
プレーヤーの首、背中、肩、胸、腹などの強化など |
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指導者、及びプレーヤーは安全確保を重視し、ラグビーを安全におこなうのに必要な、プレーヤーの首を中心に、首に連なる背中・肩、及び胸、腹などの筋力強化、及び股などの柔軟性強化に努め、プレーヤーが以下のプレーを習得できるよう努める。 |
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(注意)実施にあたっては中学生が成長期であり、骨が柔らかいということを考慮してプレーヤー自身の体重(体を利用した)によるトレーニングに限定して、用具を使っての過度(負荷など)なトレーニングはおこなわないよう注意し、柔軟性を高めることを重視した筋力作りを心がける。 |
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(2) |
全てのプレーにおいて |
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腰よりも頭が下がらないよう充分に注意する。頭が下がるローヘッドは全ての局面で回避する。 |
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(3) |
スクラム(含むタックル) |
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膝を充分に曲げ、腰を落とす。背筋を伸ばし、頭を腰よりも高くする。顔は相手プレーヤーを正面から直視し、スクラム(タックル時もほぼ同じ)の正しい姿勢を作れるよう充分に訓練し、安全でしっかりとしたスクラムが組めるよう努める。(スクラムの段階的な組み方に関しては平成18年度ジュニアラグビー競技規則を参照して下さい) |
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(4) |
タックル 1.・・・タックルするプレーヤー(以下タックラーという) |
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(1) |
タックラーは相手プレーヤーの動き、走る角度などを確認し、顔を上げて最後まで目を離さずにタックルする。 |
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(2) |
タックラーは逆ヘッドにならないよう充分に注意する。 |
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(3) |
タックラーは頭を下げずに充分に足を踏み込んでタックルする。くれぐれも上半身だけで飛び込むタックルは行わない。 |
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(4) |
タックラーは相手プレーヤーをしっかりとバインドしてタックルする。 |
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(5) |
以下のタックルは巌に慎む |
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× 手だけで相手のジャージをつかんで振り回すタックル |
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× 相手をバインドせずに押し倒すか、突き倒すタックル |
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× あご、顔、頭、肩の上部などの肩よりも高い位置へのタックル(ハイタックル) |
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× 腕を伸ばして相手プレーヤーに打ち付けるタックル(スティファームタックル) |
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× ボールを取る前のプレーヤーに対する早すぎるタックル(アーリータックル) |
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× ボールを蹴るかパスした後のプレーヤーに対する遅すぎるタックル(レイトタックル) |
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(5) |
タックル 2.・・・タックルされるプレーヤー |
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タックルされた場合を想定してボールを持った状況であごを引いて背筋を丸める正しい受身の動作ができるよう充分に訓練する。 |