マッチリポート 「第20回 全国クラブラグビーフットボール大会」
六甲ファイティングブル 49-0 北海道バーバリアンズラグビーフットボールクラブ
【決勝 2013年1月20日(日) /東京・秩父宮ラグビー場】
19年連続出場の六甲ファイティングブル(関西(1))と、15年連続出場の北海道バーバリアンズ(関東(1))。この試合が10度目となる東西トップチームの対決は、戦前の予想と違い意外な大差がついた。

バーバリアンズのキックオフで始まった。前半2分、早くも試合が動く。ラックの連取で敵陣に攻め込んだ六甲は左に展開。レフェリーがアドバンテージを上げたのを見た六甲10番カウフシは左中間にキックパスを上げる。走りあがってきた11番トケが競り合いをものともせずジャンプ一番キャッチ。そのままゴール中央に回りこみ先制トライ。ゴールも決まって7-0。続く5分には左中間スクラムから六甲8番板垣が突進。パスを受けた11番トケが左隅に飛び込こみ12-0。六甲が試合の主導権を握った。

悲願の初優勝を目指すバーバリアンズも、5番ベンジャミンと7人制日本代表でもある13番ロテ・トゥキリの縦突破でゲームを組み立てようとするが、肝心なところでの反則が目立ち、六甲陣内に入ることができない。

逆に六甲は17分に11番トケ、20分には10番カウフシが連続トライ。バーバリアンズの勢いを止めた。「(13日の準決勝)タマリバと厳しい試合(38-29)を経験したのがチームに自信となった」と鎌田主将の言葉通り、接点で優位に立った六甲はボールを左右に動かし始める。

23、26分と14番内山が、33分には11番トケがこの日4本目となるトライを決め、36分には5番奥野がフォロー良く左隅に飛び込み、44-0で前半を終了した。

後半、風上に立ったバーバリアンズが15番笹田のロングキックを利用して反撃を開始するが、六甲の分厚い防御にゴールラインを越えられない。逆に六甲は10分に13番山下が試合をほぼ決定づけるトライ。結局9トライを重ねた六甲ファイティングブルが、全国1000チーム、3万人のクラブラガーメンの頂点に輝いた。

北海道バーバリアンズ・清田祥史主将は「前半浮足立った時にトライを奪われたのが痛かった。エリアマネジメント、スクラムでの修正が最後までできなかった」と脱帽。前半途中で10番君嶋が負傷交代で退いたのも点差が開く要因となった。

ファンクションでの両チーム主将の第1声は「数日前の大雪にも関わらず、最高の環境を準備していただきありがとうございます」との感謝の言葉だった。関東の大学、高校チームの「友情除雪」のおかげで、選手たちは最高の環境で思い切りプレーすることができた。

2年連続6度目の優勝となった六甲ファイティングブルは、2月2日(土)、秩父宮で「史上最強の大学王者」帝京大と対戦するが、「昨年大敗(83-12)した悔しさを胸にこの1年頑張ってきた。これまで戦ってきたチームの思いも背負って、クラブラグビーの存在意義を示したい」と言葉に力を込めた。

会見リポート
東田GM(右)と鎌田キャプテン

◎六甲ファイティングブル

○東田哲也GM

「今日は、出だしからプランどおりのゲームをすることができました。特に、前半は今日の勝利のすべてを象徴するプレーができました。怪我人、病人もいて、不安もありましたが、一人一人がポジティブに臨んだ結果で、気持ちでしっかり上回れたと思います。この一戦に掛ける意気込みが違い、良い準備ができました。このキックオフにどう照準を合わせるかが課題でしたが、良いピークを持って来ることができました。ディフェンスが頑張って完封できたのは収穫です」

──外国人選手の活躍が目立ったが?

「トンガ出身の選手が2名、大活躍して、今シーズンを引っ張ってくれました。真面目な彼らが、春から積極的に練習に参加してくれています。関西の2部リーグ所属の大学出身者ですが、私自身も彼らから教えてもらうことが多いです。逆に、日本人選手が引っ張られています。出身校の花園大学さんに感謝しています」

──日本選手権に向けて?

「皆、全力でプレーしました。2週間ほど日程が空くので、しっかり身体を休めて、良い準備をして、何とか大学選手権王者に一泡吹かせたいと思います」

○鎌田崇史キャプテン

「今日、こういう大きな舞台で試合ができたのも、いろいろな大学の選手が雪かきをして下さったおかげです。働きながら、好きなラグビーに打ち込んでいる僕らとしては、最初から感謝の気持ちをもってプレーしました。試合は六甲らしい一つになった良いラグビーができたと思います。ゲームの入りが、すごく良くて、スタッフが集中しやすい環境をつくってくれたからだと思います。ボールを回してトライが獲れたのが大きかったです」

──外国人選手の活躍が目立ったが?

「リチャードもトケもラグビーに対する気持ちが素晴らしく、チームに溶け込んでいます。練習の質から引き上げてくれています」

──日本選手権に向けて?

「去年の帝京戦で、最多失点記録をつくってしまい、不甲斐なく思っています。大学4年でラグビーを辞める選手が多い中、一般社会人でも目指せるステージがあることを示したいと思います」

(以上、六甲ファイティングブルのみ)