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六甲ファイティングブルは46年、名古屋ラグビークラブ・クラスクラシコは50年と屈指の歴史を誇る両クラブ。毎年春シーズンには定期戦を行っているが、全国クラブ大会では初対決。互いの手の内を知る伝統クラブの激突は最後まで見ごたえのあるものになった。
前半、風上を取った名古屋クラブはキックで敵陣深く攻め込み、試合を有利に展開していくが、ゴール直前で六甲が盛り返し、得点に結びつかない。両チームともブレイクダウンで激しく応酬するも、寒波で気温が2度という極寒のコンデションが影響したのか、細かいところでのミスが目立った。
試合が動いたのは22分。敵陣右中間のラインアウトから波状攻撃を仕掛けた六甲。最後は6板垣武志が右中間にトライ。10番越村一隆のコンバージョンも決まって7-0と先制する。続く29分には9谷晋平、36分には11和田晋也と、風下の六甲が得点を重ね19-0で前半を折り返す。
後半に入ると、風上に立った六甲に分があると思われたが、六甲6板垣が負傷交代してから流れが名古屋に変わる。キープレイヤーの退場に動揺が見える六甲に対し、名古屋クラブは風下から積極的に攻撃を仕掛けてくる。後半18分に名古屋クラブ7鎌田崇史が右中間に飛び込み反撃の狼煙をあげると、32分には六甲のゴール前でのキック処理のもたつきを名古屋クラブ11森継啓介がボールをかすめ取りトライ、さらには攻撃ラインの要でもある9猪狩有智が左から回り込み19対17と2点差に迫った。
この日が全国初戦となる六甲と、1回戦で北上矢巾RFCブレイズラガーとの激闘を制して勝ち上がってきた名古屋クラブ。六甲がやや強引なアタックから反則を繰り返したのに対し、名古屋クラブは球際に鋭さを見せて、ボール支配率を高めていく。それでも後半38分、六甲クラブは右中間からのマイボールスクラムを押しこみ右に展開。最後は主将でもある9谷がトライを決めて激戦に終止符を打った。
ノーサイド後、ピッチ上で「ミニファンクション」が行われた。名古屋クラブ・青木主将は「後半、自分たちのペースで試合ができたが、前半の失点が痛かった」と振り返ると、六甲・谷主将は「全国初戦の難しさを痛感しました。厳しい戦いになるとは覚悟していましたが、ここまで苦しくなるとは思っていなかった」と、名古屋クラブの攻撃に賞賛を送った。マン・オブ・ザ・マッチには六甲からは主将でもある谷晋平、名古屋クラブからは鎌田崇史が選ばれた。
会場には寒波にも関わらず、熱心なラグビーファンが両チームに声援を送った。ファンクションの最後に六甲・谷主将は「仕事を持ちながらもラグビーに真剣に取り組んでいるクラブラガーマンのプライドが互いにぶつかりあった戦いだったと思う。両チームとも、これからも『日本のラグビー界を支えている』というプライドを持ってラグビー界をクラブから盛り上げていきましょう」と締めくくった。
六甲は2月7日の準決勝で前回王者の神奈川タマリバクラブと対戦する。

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六甲―名古屋 後半38分、六甲SH谷が名古屋デフェンスを突破。このあとLO福島が勝利を決定づけるトライを決める