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トーナメント表


名古屋ラグビークラブ・クラスクラシコ 36-33 玄海タンガロアラグビー

【一回戦/2011年12月25日(日) at 埼玉・県営熊谷ラグビー場】

名古屋クラブ 36-33 玄海タンガロア 名古屋クラブ 36-33 玄海タンガロア 名古屋クラブ 36-33 玄海タンガロア

2011年12月25日。熊谷ラグビー場の第1グラウンドで12時から、初対戦となる関西2位代表の名古屋ラグビークラブ・クラスクラシコ対九州代表の玄海タンガロアの試合が行われた。
熊谷ラグビー場にしては寒すぎない気温だったが、風はいつものように強く吹いていた。
トスで勝った玄海は風上を選び、名古屋ボールで試合が開始された。名古屋は玄海陣に攻め入るもキックで簡単に陣地を返され、自陣で名古屋は攻める展開となった。
前半4分、名古屋がキックで敵陣に行こうとタッチキックを狙うが、風に押し返され、ボールが玄海14番ギャムことカメリの前に転がる。それをギャムがドロップゴールを狙うが失敗し、名古屋はタッチキックで逃れる。

前半5分。そのあとの玄海はマイボールラインアウトからモールを押そうとするが名古屋FWの固いディフェンスで思うように押せない。そこですぐにBKにボールを展開。10番荒牧からパスをもらった13番堀田がそのままトライ。10番荒牧のゴールも成功。0-7で玄海が先制する。
それに勢いづいた玄海はキックで名古屋陣に攻め入る。名古屋も激しいDFで防戦する。
前半8分。名古屋はその玄海の勢いは止めきれず、玄海はマイボールラインアウトからドライビングモールで抜け、FW-10番-13番-14番とボールを回し、ギャムがラインぎりぎりを走りきりトライ。10番荒牧のゴールも成功。0-14で玄海が名古屋を突き放す。
玄海の勢いはさらに増し、名古屋もDFするもキックでエリアを取られる。

前半15分。名古屋は自陣5mマイボールラインアウトからタッチキックを狙うが、風に押し返され、ノータッチキック。そのボールを玄海11番徳永がキャッチし、逆サイドまで15番-13番-14番とボールを回し、ギャムがハンドオフで名古屋のタックルをかわしながらトライ。10番荒牧のゴールも成功。0-21で玄海が名古屋をさらに突き放す。
その後も玄海は10番荒牧のキックでエリアマネージメントをし、ボールを支配する。
前半21分。玄海の連続攻撃に名古屋も激しいDFで応戦するが、玄海の強いアタックに名古屋の選手が二人倒れる。その隙を玄海が狙い、11番徳永がトライ。10番荒牧のゴールは失敗。0-26。玄海が名古屋を圧倒する。

熊谷ラグビー場で観戦していた人は皆、玄海の勝利を感じていたであろう。名古屋としてもトライを取られすぎたため、負けが少しだけ頭をよぎる。しかし、敵陣に入れた名古屋はじわりじわりとFWが攻め続けマイボールをキープする。そして、玄海FWの体力を奪い始める。しばらく果敢に名古屋FWが攻め続ける。
前半29分。名古屋は相手ペナルティで確実にタッチを切り、玄海自陣5mでラインアウトを得る。名古屋は執拗にFWで攻め続け、玄海の目がFWに向いたところでBKに展開し、14番内藤がトライ。15番三原のゴールも成功し、7-26。
名古屋のしつこいDFとFWのアタックに玄海はまたもペナルティ。名古屋はタッチキックを狙うが風に押し返されノータッチキック。
前半35分。ボールを玄海は風上を利用し、キックの蹴り合いを制し、ラックから玄海9番小柳のパスを受けた13番堀田が抜け、サポートしていた9番小柳にボールを戻してポール下にトライ。10番荒牧のゴールも成功。7-33。名古屋がトライを返したあとすぐに玄海がトライをして突き放す展開に。
もうトライを許されない名古屋は効果的なキックができないため、FWを中心に攻め続けボールを継続する。その攻撃に玄海FWは体力を奪われることとなり前半が終了する。

 

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ハーフタイム中に玄海スタッフが「今日はFWが走り過ぎだな」とつぶやくほど、キックゲームでFWが攻めに攻めるが、名古屋の厳しいDFに合い、玄海FWは疲れ始めていた。
後半、風上に立った名古屋は前半耐えに耐えたキックを利用し、10番三原がエリアマネージメントをする。突き放したい玄海は後半開始早々攻めるも名古屋の固いDFに攻めきれない。
逆に名古屋は風の勢いを借りて攻め、ゲームを支配し始める。名古屋のアタックに玄海もDFするがペナルティを繰り返し、ペースは名古屋に。
後半10分。スクラムから逆サイドに攻めた名古屋は11番井上が左隅にトライ。15番三原のゴールは失敗。12-33。名古屋の反撃が始まる。
玄海も攻めるが、疲れからかミスで攻めきれない。逆に名古屋は前半から変わらずFWで攻め続ける。

後半20分。玄海ボールスクラムからフリーキックを得た名古屋はFWで攻め、玄海DFがポイントに寄ったところをBKに展開し、10番外処がロングゲイン。7番服部がピックゴーで玄海自陣直前まで攻め、最後は9番豊原からパスをもらった6番岩月がタックルを振り切りトライ。15番三原のゴールは失敗。17-33。ゲームは完全に名古屋ペースになる。
そこからは名古屋の時間。名古屋は焦ることなく、玄海がボールをBKに回すも名古屋が激しくDFする。
玄海は名古屋のタックルに圧倒され始め、攻撃チャンスを得るも大事なところでターンオーバーされる。
後半26分。玄海は自陣マイボールスクラムからタッチキックを狙ったが、風の影響でノータッチ。そのチャンスを名古屋がボールを継続し続け、最後はポイントサイドから9番豊原から3番上垣内がボールをもらってトライ。難しいゴールを15番三原が決め、24-33。9点差まで追い上げる。前半と全く反対の試合展開となる。風上に立ったチームが風を利用して、楽に試合をし、取るべきところでスコアーを重ねていく。

後半31分。さらに名古屋はFWが順目にポイントサイドを攻め、玄海DFがポイントサイドに寄ったところBKがブラインドサイドを攻めて、12番澤田のトライ。15番三原のゴールは失敗。29-33。あと1トライで逆転。
そのまま名古屋の勢いは止まらず、キックで確実にエリアを取り、相手のミスをチャンスにつなげ、攻め続ける。
後半36分。名古屋はマイボールラインアウトからFWでボールをキープし、BKにボールを回すと14番内藤がロングゲイン。そのボールを継続した名古屋は逆サイドまでボールを運び、最後は3番上垣内がゲインしたあとオフロードパスで11番井上にボールが回り左隅にトライ。15番三原のゴールも成功。36-33。ついに名古屋が逆転する。
その後も名古屋がボールを支配し、40分を過ぎたところで15番三原がタッチキックを蹴ってノーサイド。劇的な逆転勝利で名古屋が玄海を下した。

 

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玄海FWは6番鉄屋を中心に激しいDFを繰り広げていたが、試合終了直前に鉄屋が足をつってしまうほど走らされることなり、名古屋はFWにこだわって攻め続けていたことが大きな勝利の要因となった。そして、何よりも名古屋は仲間を信じ、勝利を信じた結果がこのような素晴らしいゲーム展開となり、観戦していた人たちは「久しぶりにいい試合を観た」と満足していたのが印象的だった。
名古屋はチームがひとつとなり、その結果の勝利だった。この日、名古屋のマンオブザマッチはキャプテン家長だった。この1年チームをまとめるのに苦労してきたが、今年1番のマンオブザイヤーとなった。
準決勝はタマリバ。名古屋にとってタマリバは初めて全国クラブ選手権に出場したときの対戦相手。2戦目となる。1戦目はタマリバはBチームを出してきて、あと一歩で勝利できなかった。そのタマリバにどれだけ今の名古屋クラブが通用するか挑戦したいと思います。(福嶋則人)