香港代表 22-45 日本代表

【2011年4月30日(土) at 香港・香港ラグビーフットボールクラブ】

text by Kenji Demura

宮崎合宿に参加した40人から30人に遠征メンバーを絞り込んで臨んだHSBCアジア5カ国対抗2011(A5N)初戦の対香港戦。
「アジア5カ国対抗では、30人全員にチャンスを与えたい」(ジョン・カーワン ヘッドコーチ)
そんな意図から、香港戦の先発メンバーには、3人の初キャップ組(LOジャスティン・アイブス、SH日和佐篤、FB上田泰平)をはじめ、経験の少ないメンバーも並んだ。

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試合開始直前には、宮城県気仙沼市出身のPR畠山健介の発案で日本代表メンバーが東日本大震災の被災者へのメッセージを書き込んだ日の丸がグラウンドに持ち込まれ、1分間の黙祷も捧げられた。
それでなくとも、大事な大事なワールドカップイヤー初戦。
どう考えても、気持ちが入る条件は揃っていた。

実際、前半の40分間は、人工芝からの反射熱もあってピッチ上の体感気温は30℃を超えようかという厳しい条件にもかかわらず、日本がほぼ一方的に攻めまくる展開となった。
11分。香港ゴール前のスクラムからNO8ホラニ龍コリニアシがサイドを突破して先制。
さらに18分には連続してのワイドな展開からSOショーン・ウェブ。29分に右サイドを突破したWTBアリシ・トゥプアイレイのプレイクの後、ハイテンポで逆サイドにボールを回してWTB小野澤宏時。終了間際にも再びWTBトゥプアイレイが力強い走りでトライを奪い、31-3でハーフタイムを迎えた。

宮崎合宿から取り組んできた浅くフラットなラインでテンポよくパスをつないでいく攻撃スタイルがまだ消化しきれていない部分もありミスも目立ったものの、94-5で大勝した1年前の対戦時の7トライには及ばなかったとはいえ前半だけで5トライ。
9月のニュージーランドを見据えた初戦の最初の40分間に関しては、まずは幸先いいスタートを切ったように見えた。

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ところが、ハーフタイムを挟んでの後半は、最初の40分間とは全く異なる展開となってしまう。
FL菊谷崇主将はハーフタイムのロッカールームで「とにかく焦らずにいこう」と声をかけたというが、後半、戦い方を変えてきた香港の激しいプレッシャーに日本らしいテンポの攻撃はまったくと言っていいほど陰を潜めた。
DFの連携ミスを突かれるかたちで1分、10分と香港にト2ライを許した後、23分には昨季まで豊田自動織機に所属していた香港WTBローワン・バーティーにインタセプトからの95m独走トライまで奪われてしまう。
日本も4分にトゥプアイレイ(この日、3本目)、14分にはNO8ホラニの突破からFLマイケル・リーチが、それぞれパワープレーでトライを記録したものの、後半のスコアでは14-19と香港を下回ってしまうという、ややふがいない内容となった。
「後半に関してはプアーパフォーマンスと言わざるを得ない」(カーワンHC)

試合前にベテランWTB小野澤宏時が「アタックに関しては時間がかかる」と指摘していたとおり、新しい攻撃スタイルは、前半、テンポよくワイドに振ってトライをとる場面もあったが、まだまだ消化不良であることが露呈。
キーマンであるSH日和佐も「今日は全然さばけなかった」と、プレッシャーのかかる状況でのプレーに課題を残すかっこうとなった。

「修正するべきことはたくさんある。それでも、前半、いいトライをとることもできたし、スタートとしてはいい」(カーワンHC)
後半の40分間で出た課題を4日まで滞在する香港で修正し、カーワンジャパンの一行は次なる戦いの場であるタイ・バンコク(7日、対カザフスタン戦)に移動する。

日本代表ヘッドコーチ ジョン・カーワン
  ジョン・カーワン日本代表ヘッドコーチ
「今日の収穫は、勝ったことだけです。香港代表の激しいプレッシャーや早い展開などが予想以上で、前半は日本がやりたいことをうまくやれていましたが、後半はしっかりと日本のリズムで戦うことができませんでした。今日は、細かい部分、よくない部分がたくさんあり、修正することがたくさんあります。次の試合に向け、ひとつずつ修正していきたいと思います。また、今度からはレフリングに対応できるよう準備が必要です。
初キャップの3人については、ミスもありましたが、激しいプレッシャーの中で試合が出来たことは、選手たちにとっては良い経験だったと思います」
菊谷 崇キャプテン
菊谷 崇キャプテン(トヨタ自動車ヴェルブリッツ所属)
「自分たちがやろうしたラックやスクラムの強さなどがうまく生かしきれなかったことが残念です。次の試合までに一度整理をして、落ち着いて考えて、試合に臨みたいと思います」

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