北海道バーバリアンズラグビーフットボールクラブ 22-24 タマリバクラブ 【決勝/2011年1月23日(日) at 東京・秩父宮ラグビー場】 今季三度目となる対戦。東日本決勝は北海道バーバリアンズが制したものの、互角の1勝1敗で全国決勝にて雌雄を決する両チーム。その激突は残り数秒までもつれ込んだ。 前半から強力なフィジカルパワーを誇る外国人勢でラインブレイクを図る北海道。体格で劣るタマリバは速い出足と低いタックルで対抗する。 先手を取ったのはタマリバ。前半11分にペナルティを得ると、迷わずショットを選択。3-0と先制。 一方、北海道はFB笹田のロングキックで陣地を有効的に稼ぎ、常にタマリバ陣内で勝負を続ける。14分、北海道ボールのラインアウトからNO8フィフィタからFLカフトルとつなぎCTBコリンズが突破する北海道独自のパワープレイでトライ。(ゴール失敗3-5) その後も北海道がタマリバ陣内で優位にゲームを進め続ける。ボール支配率でいえば7割か。強引に攻め続ける北海道と耐えるタマリバ。 タマリバは27分に得たペナルティでFB遠藤が再度ゴールを落ち着いて決め、6-5。 タマリバがリードすれば北海道もすかさず取り返す。31分、北海道ボールのラインアウトからモール押し込んでトライ。ゴールも成功し6-12と逆転に成功。 タマリバは小刻みにペナルティゴールで追いかける。37分に三本目のショットを成功させ、9-12と点差を詰めて、前半を終了。 後半に入り、タマリバは持ち味のグランドを広く使ったラグビーを展開する。 2分、北海道陣内10mのラインアウトよりタマリバは大きく左に展開、WTB牧野が粘り腰でタックラーを振りきり、左隅にトライ。再逆転に成功。(ゴール失敗14-12) さらにタマリバは8分、敵陣でのラインアウトから左に展開。縦に切り裂いてゲインしたWTB武田からのパスをNO8マナセ-WTB牧野とつないでトライ、ゴールも成功して21-12と点差を広げる。 クラブの決勝戦にふさわしく、北海道も沈まずも食い下がる。圧倒的なプレッシャーをかけ、13分に正面からのペナルティを落ち着いて成功させ21-20と追いあげると、18分にはゴール前ラックを執拗なサイド攻撃。FLカフトルが飛び込んで、21-22と逆転に成功する。 37分、タマリバはペナルティゴール成功。シーソーゲームが再度タマリバに傾く。(24-22) 残り数分となってから、北海道怒涛のラッシュ。 「あそこで連続して攻めきれなかった」と戦後に北海道バーバリアンズ西尾HCが語った通り、最後のラックからの攻撃をタマリバが渾身のタックルで防ぎきり、ノーサイドを迎えた。 タマリバは2年ぶりのクラブ王者奪回。この10年で8度の優勝を誇るクラブは2週間後、クラブ王者の誇りをかけて、大学王者の帝京大学と日本選手権を闘うこととなる。 北海道バーバリアンズの西尾ヘッドコーチ(右)と、橋本主将 ◎北海道バーバリアンズ ○西尾ヘッドコーチ 「うちが意図したプレーはできていたと思います。もう少しタマリバの広い展開を止める防御ができていればと思いますが、力及びませんでした」 ○橋本主将 「東日本決勝でタマリバに勝って優勝した後、こちらも充分な準備をしましたが、タマリバがさらにレベルアップしていました」 右から、タマリバの富野ヘッドコーチ、飛野主将、フォラウ選手 ◎タマリバ ○富野ヘッドコーチ 「タマリバにとってのベストゲームができました。ボールを手にしたら確実にスコアに結びつけることを徹底できたことが勝因だと思います」 ○飛野主将 「タフなゲームになると予想して臨みました。ボールを持ったら大きく動かす、それがチームコンセプト。チーム一体となって勝利できました」 ○NO8 フォラウ・愛世選手 「苦しいゲームでしたが、試合中からチームメイトと励ましあっていい結果が出ました。全員で勝利を挙げられて嬉しいです」 ──今日の試合にかける思いはありましたか? フォラウ・愛世選手 「昨年、自分の至らなさから多くの方に迷惑をかけました。もうラグビーができなくなるのではと悩み続けましたが、タマリバクラブで様々なことを勉強できました。色々な人、仲間がいるな、と思えたことが自分を強くしてくれました。自分ができることで何かに恩返ししたい、それはプレーで出すしかないと常に思ってます」 Q.フォラウ選手の加入について 富野HC 「NO8として色々な選手を見てきましたが、苦しい時にも仲間を鼓舞するという本当に大切なことを理解している選手です。彼の献身的な防御で助けられた面は大きいです」