駒場WMM 15-38 六甲ファイティングブル 駒場WMM 15-38 六甲ファイティングブル 駒場WMM 15-38 六甲ファイティングブル 駒場WMM 15-38 六甲ファイティングブル 駒場WMM 15-38 六甲ファイティングブル
マッチリポート
トーナメント表


駒場WMM 15-38 六甲ファイティングブル

【決勝/2010年1月24日(日) at 東京・秩父宮ラグビー場】

10年ぶり4回目の日本一を目指す六甲と、準決勝で王者・タマリバを撃破した勢いで初優勝を狙う決勝戦は、駒場FL山崎真二朗の猛タックルから始まった。
「君達は冷静なヒットマンになれー」。水上ヘッドコーチの指示通り、六甲大型FWに次々と突き刺さる駒場。ブレイクダウンでも徹底的に意思統一された仕掛けでターンオーバーを連発する。

試合が動いたのは17分、六甲FL鎌田が相手キックをチャージ。そのままボールを拾って先制トライ。28分には六甲重量FWのモール攻撃で駒場をゴールラインに釘付けにした後、右に展開。SO由良-CTB山下-WTB内山と渡り、快足を飛ばしてゴールに回り込こんだ。その後も38分にはペナルティからNO8打出が突進。素早い球出しからCTB井口が飛び込み、ゴールも決まって、六甲は前半を19-3で折り返した。

後半に入ると、駒場はSH花崎を投入、ラインの動きが活発になる。後半3分、ゴール前ペナルティのトリックプレーでNO8山崎純が反撃のトライを上げる。局地戦での集中力はさらに増し、ゴールラインを割る場面もあったが、六甲SO由良が執拗な球のからみでグラウンディングさせない。六甲はゴール前のピンチでも、スクラム、ラインアウトで駒場に猛プレッシャーをかけ続けた。

 6分、ラックから右に展開、六甲SO由良が陣地を狙い気味に放ったキックはチェイスしてきたWTB内山の胸に納まるキックパスとなり、駒場を突き放すトライとなった。内山は終了間際にもダメ押しのトライを決め、六甲が10年ぶりに聖地で拳を突き上げた。
若手の慶応OBが主体の駒場はサイズが小さいながらもの低いタックル、激しい接点で最後まで食い下がったが、六甲は一度もリードを許すことなく快勝した。

試合後のファンクションで、駒場・水上HCは「自分のチームだが、リーグ戦4位だったチームがここまでお客さんを感動させる試合をしてくれたことに感謝したい」とチームをねぎらい、六甲・東田HCも「駒場さんの鬼気迫るタックル、ブレイクダウンに見ている側も奮えました。クラブチームのレベルの高さをアピールできた試合だったと思います」と最高の舞台で戦い抜いた両チームを称えた。

 3トライでマン・オブ・マッチに輝いた六甲・内山は「(駒場CTB・浩文との)兄弟対決や、試合に勝ったこともうれしいのですが、昨年、ワールドラグビー部がなくなり、新しい仲間と出会って、手探りながらもチームを作り、秩父宮で勝ち進んで、こうして皆さんとこの場を共有できることが一番うれしいです。僕達クラブラガーマンが日本ラグビーを支えている自負を持って、皆さん、もっとラグビーを好きになりましょう!」とコメント。遠藤主将も「日本選手権、下手な試合をしたら駒場さんや日本のクラブチームの意義が問われてしまう。帝京大に一泡吹かせる思いで勝ちに行きます」と、健闘を誓った。

“タマリバ一強”が終わり、群雄割拠の時代に入った感のあるクラブラグビー。今後も各チームのより一層の精進が期待される。(高鷲浩介)

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会見リポート
 

東田ヘッドコーチ(右)と遠藤主将
東田ヘッドコーチ(右)と遠藤主将

◎六甲ファイティングブル
○東田ヘッドコーチ
「選手が体を張ったプレーをしてくれました。ワールド休部以来(307日目)、ワールドから入った選手と従来からの六甲の選手が、一緒に新しいチームをつくってきました。日本選手権でクラブ初の1勝を目標にしてきました。次の試合(日本選手権の1回戦、帝京大戦)もチャレンジの気持ちを忘れずに戦います。選手に感謝したいと思います」

○遠藤主将
「前半ブレイクダウンをあまりとれなかったが、しっかりこらえてディフェンスからリズムを作れました。去年まではそれができず、関東のチームにはね返されていました。今年は去年と全然違うチームになりました。河川敷で5人だけの練習から始めてここまで来れました。感無量です」

──ここまで大変だった時期は?
○東田ヘッドコーチ
「休部決定までですね。そういう話を聞かされてから、いろんな人に会って相談した。結果的に会社に残った選手が、こんな晴れ舞台で活躍できて、ボクとしては一番うれしいです。クラブチームは前向きな話ばかりで、正直苦労なんてしていません」

──選手として出る予定はなかったのか?
○東田ヘッドコーチ
「出たかったです(笑)。選手たちがうらやましいですね」

──この1年のチームの変化は?
○遠藤主将
「『集中と継続』を1年間掲げ続けてきました。ブレイクダウンの強さ、球ぎわのいやらしいプレーなど、ワールドの選手が入って勉強になりました。意見交換して練習がやりやすくなり、『もっと練習したい』という雰囲気が生まれ、劇的に変わりました。それに、1年間フィットネスをやり続けました」

──トップウエストのレベルに近いチームを目指したと思う。優勝は確かにうれしいと思うが、レベルはどうか?
○東田ヘッドコーチ
「クラブ全体のレベルを上げていきたいです。まだまだだとは思うが、仕事も忙しいなかで、ラグビーを頑張っているその情熱は強いものがあります。もっともっとレベルを上げたいです。次の試合(日本選手権の1回戦、帝京大戦)は、クラブの歴史を変えたいと思います!」

──日本選手権ではクラブが勝てない歴史が続いているが。
○遠藤主将
「出させていただくからには、勝ちに行きます。大学と比べ練習回数は少ないが、1人ひとりが仕事の合間に時間を決めて走りこんでいます。まずディフェンス。ロースコアの試合をつくりたいです。相当厳しい試合になる覚悟はしています」

──どんな練習をしているのか?
○東田ヘッドコーチ
「練習グラウンドを探すところから始まります。学校のグラウンドをお借りしているが、なかなか取れません。もちろん芝ばかりでなく、土のグラウンドもあります。1回の練習は2時間です」

──どうやってワールドの選手と六甲の選手が融合したのか?
○東田ヘッドコーチ
「六甲40年の歴史を壊してしまわないかと、ワールドの社長も心配していましたが、全然心配することはありませんでした。環境はいろいろ変わったが、本当に好きなラグビーをやれています。お互い昔からの顔なじみも多いし」
○遠藤主将
「ワールド以外にも、トップレベルのチームにいた選手も多いので。自分は1年間嫌われ役に徹してきました。どういう練習が必要か話し合い続けましたが、去年は後半の失点が多かったので、その反省からフィットネスをやり続けました。最初の1時間はフィットネス。残りの1時間をどう使うかという練習です。ビデオミーティングもやりました」