マッチリポート

タマリバクラブ 64-17 駒場WMM

(決勝/2009年2月1日 at東京・秩父宮ラグビー場)

クラブ王者決まる
全国クラブ大会5連覇中の王者タマリバ、結成後5年でトップクラブリーグを経て全国クラブ大会決勝まで駆け上がってきた昇り竜 駒場WMM。東日本選手権決勝と同じ顔合わせとなった。
タマリバのキックオフで始まった試合、早々に駒場がゲームの流れをつかむ。
3分 タマリバゴール前左にできた駒場ボールのラックから、駒場SH佐藤が走りこんできたLO大塚にパス、そのまま飛び込んで先制。(0-5)
さらに6分。チャージから転がったボールを駒場がキャッチ。素早く左に展開してWTB亀岡がトライ、0-12と点差を広げる。

タマリバが反撃に移ったのは、駒場22m付近のペナルティからSO竹山による早いリスタート。得意のステップで二人かわし、フォローについたFL桑江にパス、左にトライ、G成功(7-12)。
しかし、タマリバは駒場の高い防御意識に苦しむ。全国大会より戻ってきた司令塔SO竹山のラインメイクも、駒場のタックルに防がれ、自陣での停滞を余儀なくされるが、19分ゴールポスト前でペナルティを得て、スクラムを選択。スクラムトライを決め、クラブ王者の意地と実力を見せる。さらに34分。10m付近でのラックから、No.8棚橋がピックアップして、ラック際から独走。LO井戸がフォローしてタックルをひきずりながらトライ。ゴールも決まり、21-12と点差を広げる。
風上を利用し、駒場WMMもキックを効果的に使って敵陣内で過ごす時間を多くとるが、タマリバも密集際の防御を効果的に行うことで、ゴールラインは割らさず。結局、前半の大半を駒場はタマリバ陣で攻め続けるが、細かなミスも続き、前半は21-12で終了。

後半の出だし、タマリバがノーホイッスルトライ。キックオフリターンで敵陣に入ると、大きく右に展開。FL桑江-LO井戸がゴール前に迫り、WTB中村にパス。作ったラックからNO.8棚橋が飛び込む(28-12)。
この立ち上がりで勢いを得たタマリバはさらに8分、ハーフウェイ付近のラックより左に展開。パスの渡ったWTB高木がライン際を疾走。最後に小さなパントを蹴り、自ら拾って左隅に技ありのトライ(33-12)。続いてWTB中村もこれで試合の流れを決定づけた。
12分、SOのあげたハイパントを駒場がキャッチミス。駒場陣内で転がるボールを抜け出したWTB中村が拾いトライ(38-12)。

その後は交代で入ったSH首藤がさらに攻撃のテンポをアップ、風上に回ったこともあり、タマリバがスピードにのった攻撃を展開。駒場陣内での攻撃が続く。素早くさばき、時には自ら持ち出し、FW・BKが一体となった攻撃をしかけた結果、このあとはFWによる4本のランニングトライを重ね、最終的に64-17の大差でのノーサイドとなった。

「同じチームと一年で3度目の対決。どうしても勝ちたかったが、力およばなかった。本物の力をつけて、また戦いたい」と駒場WMM 酒井主将は来季の挑戦を打ちたてた。
「自分達のプレーができず苦しみました。立ちあがりに2本続けて取られた時には『やらなければならないことをやろう!』と確認しました」とタマリバ主将 井戸。
試合後のファンクションでの本日笛をふかれた桜岡レフリーの言葉、「全国1,000チーム、3万人の代表」として、2月7日に日本選手権を戦うタマリバ。相手は大学王者 早稲田。全国のクラブチームのプライドをかけて全力でぶつかるその姿勢に注目が高まる。

タマリバクラブ 64-17 駒場WMM タマリバクラブ 64-17 駒場WMM タマリバクラブ 64-17 駒場WMM
会見リポート

駒場WMM

駒場WMMの宋代表(右)、酒井キャプテン
駒場WMMの宋代表(右)、酒井キャプテン

○宋仁浩代表
「創部6年のチームが最短でここまで来る事ができました。関係の皆様の努力、声援の結果と感謝しております。この試合に勝って早稲田とやることを6年前から考えてきました。この5年間、タマリバさんのほうがやはりよいラグビーをやっていると感じました。最短でも薄っぺらです。もう一度、来年、タマリバさんを倒して日本選手権に出たいと思います」

──どんな練習状況か?
「公式には土日の週2日です。非公式には水曜日もやっています。春から大学、社会人と練習試合をさせてもらっています」

○酒井歩キャプテン
「チームとしてプレッシャーをかけられず、自分たちのラグビーができませんでした。非常に悔しいです。また、来年タマリバさんとやって勝ちたいと思います」

タマリバクラブ 64-17 駒場WMM

タマリバクラブ

タマリバクラブの高橋代表(右)、井戸キャプテン
タマリバクラブの高橋代表(右)、井戸キャプテン

○高橋清貴代表
「駒場さんは今シーズン3度目の対戦でしたが、一番強かったと思います。毎試合、技量を上げてきておられると感じます。立ち上がり、プレッシャーを受けて先制され、シビアな試合でした」

──日本選手権に向けて。
「タマリバはいつも対戦相手を研究して戦っています。日本選手権でも研究していますが、結果を出せていません。これまで以上に早稲田さんを研究して、いかに勝つかを考えたいと思います」

○井戸聞多キャプテン
「駒場さんとは合同練習をやるなど、色々お世話になっている相手です。前半、気持ちの入ったブレイクダウンに圧倒され、後手に回って苦しい試合になりました。ただ、クラブラグビーに携わる皆の思いを受け止めた試合はできたと思います。日本選手権は無策で臨むわけではありません。これまでとは違う試合を、『もがく』と言うか、クラブの試合をやってやろうと思います」