リポビタンDチャレンジ2008
日本代表 vs アメリカ代表

マッチリポート
13年ぶりの東海地区・瑞穂での日本代表戦。前日夜からの雨の影響も心配されたが、前座のタグラグビー教室が終わる頃より雨も上がり、薄日が差し込む中、試合開始となった。
開始早々より日本代表は、相手陣にリズム良く攻め込む。3分日本代表は、敵陣ゴール前でアメリカ代表の反則を誘い、12番ライアン・ニコラスがPGを成功。3点を先制。序盤、両チームともテンポ良く攻めるが、ダウンボール、ノッコン等のミスでスコアができない。日本代表も攻め入るが、アメリカ代表のプレッシャーが強く、マイボールのコントロールができにくい。9分アメリカ代表は、敵陣左サイド22m付近で日本代表10番のコンタクトからのハンドリングミスボールを1番マイク・マクドナルドが拾い左隅にトライ。10番マイク・ハーカスのゴールも成功し3-7、アメリカ代表が逆転。その後、お互いノッコン、キックミスで効果的な攻めにならず、試合が拮抗する中、アメリカ代表のターンオーバーからの速攻が目立ち、効果的に陣地を挽回した。24分アメリカ代表は敵陣10m付近でのラックの攻防からPKを得て、10番マイク・ハーカスがゴールを狙うが不成功。お互いラインアウトのセットプレーがかみ合わず苦労する中、30分日本代表はPKで得た敵陣ゴール前ラインアウトよりモールを押し込み、左中間にグラウンディングするが今回、日本に初導入されたビデオ判定でトライ不成功となる。33分日本代表は敵陣ゴール前スクラムより10番がラックを作り、8番龍コリニアシが飛び込み右中間にトライ。12番ライアン・ニコラスのゴールも成功し、10-7と日本代表がリード。39分アメリカ代表は敵陣ゴール前右中間ラックより素早く右に展開し、14番タクズワ・ングウェニアがゴール中央にトライ。10番マイク・ハーカスのゴールも成功し、10-14で前半を終了した。

後半早々お互いに敵陣10mを超えて攻め込むが、ノッコン等でチャンスを潰す。5分日本代表は12番の突進よりチャンスを作り、敵陣10m付近ラックより右に展開し、14番遠藤が中央にトライ。12番ライアン・ニコラスのゴールも成功し17-14と日本代表が逆転。日本代表は10番のキックで敵陣に入り効果的に試合を進めると、疲れの見えたアメリカ代表より13分、19分、23分と反則を誘い、PGを成功させ26-14と勝利を決定づけた。特に19分の10番ショーン・ウェブのキックは、ハーフウェイ中央付近からのキックで観客を大いに沸かせた。29分アメリカ代表も敵陣10m付近ラインアウトからのパスを16番ジョセフ・ウェルシュがインターセプトしそのまま右隅にトライし、26-19。しかし、37分日本代表は、ラックでのPKを得て、12番ライアン・ニコラスがゴールを成功させ3点を追加し、29-19でノーサイドとなった。夕暮れにナイターのカクテル光線がきらめく中、13年ぶりの瑞穂の日本代表戦でのジャパンの勝利に観客も魅了された。(大久保 誠)

日本代表 29-19 アメリカ代表   日本代表 29-19 アメリカ代表   日本代表 29-19 アメリカ代表   日本代表 29-19 アメリカ代表   日本代表 29-19 アメリカ代表

会見リポート
日本代表 29-19 アメリカ代表

2008年11月16日(日)15時キックオフ 名古屋市瑞穂公園ラグビー場

カーワン ヘッドコーチ(右)、菊谷キャプテン
カーワン ヘッドコーチ(右)、菊谷キャプテン

◎日本代表
○ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「選手を誇りに思う。勇気を持ってプレーしてくれた。最後の円陣で『醜かったけど、すばらしかった』と言った。最後までしっかりプレーしてくれた」

○菊谷崇キャプテン
「応援してくれた周りの方に感謝したい。前半はアメリカのペースで我慢の展開だったが、後半は練習でやってきたことを出せた」

──「醜かったけど、すばらしかった」の意味は?
○カーワン ヘッドコーチ
「前半はアメリカのペースで醜かったと言った。アメリカに翻弄されペースが出せなかった。後半は、強くボールに入っていった。ジャパンのジャージを着たら誇りを持てといつも言っているが、それができた。ビッグヒットもあり良かったがまだまだ修正点もある」

──若い選手を使ったがどうだったか?
○カーワン ヘッドコーチ
「ファーストキャップの選手が良くやってくれた。スクラム、ラインアウトも良くフロントローが頑張ってくれた。松下は冷静沈着で、冨岡も良かった。菊谷キャプテンはファーストキャプテンとして良くやってくれた。11月の段階としては良くやった。今後は修正点を直してきたい」

──初キャプテンとして前半の流れをどう後半に修正したか?
──コンタクト局面で注意したことは?
○菊谷キャプテン
「後半はスキルよりもハートを強く持とうと声をかけた。アメリカのコンタクトはそれ程強くなっかた。自分たちが前へ出ることを意識した。初キャプテンだったので、周囲の選手が声を掛けてくれるなど、サポートしてくれた」

──若い選手を試したことはジャパンにどういう意味があるのか?
──第2戦の修正点は?
○カーワン ヘッドコーチ
「日本に良い選手がたくさんいて選手層の厚みがあることがわかった。第2戦に向けて、ブレイクダウンとゲームのリズム、特にボールを早く動かすというジャパニーズスタイルを修正し勝ち癖をつけたい」

──本日のゲームプランは?ハーフタイムにはどんな指示を?
○カーワン ヘッドコーチ
「アメリカの前半のキックゲームが上手かったので、後半は敵陣でゲームをするように指示をし、ボールキープを我慢するように伝えた」

──アメリカの印象は?
○カーワン ヘッドコーチ
「アメリカの印象は変わらないが、ディフェンスが組織化されていた」

日本代表 29-19 アメリカ代表   日本代表 29-19 アメリカ代表   日本代表 29-19 アメリカ代表   日本代表 29-19 アメリカ代表   日本代表 29-19 アメリカ代表

ジョンソン監督(右)、クレバー  キャプテン
ジョンソン監督(右)、クレバー キャプテン

◎アメリカ代表
○スコット・ジョンソン監督
「タフなゲームだった。地域が取れなかった。日本のミスを生かせなかった。次はこんなゲームにならないようにする」

○トッド・クレバー キャプテン
「タフなゲームで前に出られなかった」

──試合中何かアクシデントでも?
○クレバー キャプテン
「一度退場したが、来週も出たい」

──前のワールドカップと比べて日本の印象は?
○クレバー キャプテン
「強くなっている。我々も強くなってティア1に入りたい」

──ビデオと実際のジャパンの違いは?
○ジョンソン監督
「ELVの導入がアメリカよりも進んでいる」

──後半運動量が落ちたようだが、コンディショニングが悪かったか?
○ジョンソン監督
「フィットしていないことはなかった」

──次の試合に向けての修正点は?
○ジョンソン監督
「皆さんには言いません」

──印象に残った日本代表の選手は。
○ジョンソン監督
「8番と12番」

──日本とやるときもう少しペースを遅くしたかったのでは?
○ジョンソン監督
「自分たちも楽しみたかったし、観客も楽しませたかったのでスローペースにしようとは思わなかった」

──JKは日本流を目指しているが、アメリカはいろいろな地域に選手がちらばっていて難しいのでは?
○ジョンソン監督
「とても難しいが、うまくいくように指導していきたい」