■1回戦
北海道バーバリアンズ vs 川南クラブ(1月13日)
第15回全国クラブラグビーフットボール大会の1回戦。
対戦は、クラブチームの象徴的存在、またトップクラブチーム全国2位の強豪北海道バーバリアンズ。対するは昨年より九州トップクラブリーグに参戦し、21世紀枠での初出場 川南クラブの試合が鞘ヶ谷競技場にて行われた。
開始5分バーバリアンズの波状攻撃が始まる。余裕とも見えるゲーム運びでモール、ラックを支配。フランカー諏訪がトライ。ゴール成功。試合の流れを持っていかれてしまうかと思われた、川南クラブも敵陣に攻め込みうまくモールを押し込み、応戦。ラックを連取した後、ラインのギャップを突き前半17分FB岡本がトライ。ゴール成功。
ここからは、バーバリアンズの本領発揮。ラックからの停滞状況をフランカーマクドナルドが絡んだ技ありのターンオーバーから前半20分センタービークリーのトライ。ゴール失敗、前半26分と連続トライ。ゴール失敗。2つの連続トライでバーバリアンズの圧勝かと思われた。
ここから、川南クラブが反撃。プロップ篠原を中心に、相手スクラムを押し込み前半32分スクラムトライ。ゴール成功。
前半37分バーバリアンズ意地のモールを押し込みトライ。ゴール失敗 前半が終了。
後半14分、センタースクラム川南のサイド攻撃からフランカー安藤がよく走りきりトライ。ゴール成功。ここで、19対21。
後半21分、バーバリアンズ自陣にてペナルティー。ゴール中央惜しくも外れ、川南クラブ逆転ならず。
ここから、ゲームの流れを引き寄せきられずにいたバーバリアンズが執拗な攻撃。モール、ラックを連取し川南のペナルティーを誘い、後半21分モールを押し込みトライ。ゴール成功。後半38分もペナルティーから速攻。ラックから展開しトライ。ゴール失敗。ここで、ノーサイド。初出場の川南クラブも万事休す。会場からは善戦を惜しむ拍手が送られた。
お互い、懐が見えない相手との対戦とあり、やりにくい一戦だったのではと推測する。
川南クラブは、クラブ運営の先駆けとしてバーバリアンズを6月に視察に行ったばかり。全国大会で対戦など予想もしていなかったはず。
その中で、全国2位との実力差や全国レベルを感じることができたことが大きな収穫が出来たはず。来年への躍進を期待したい。
■一回戦
帆柱クラブ vs 三鷹オールカマーズ(1月13日)
会場となった本城陸上競技場には、今年、東福岡高校・福岡県中学選抜と各カテゴリーの全国大会(花園)を制した福岡に、3つの目の「クラブ」の賜杯をと期待する地元ラグビースクールの小学生、保護者など約300人の大応援団が集結。この地をホームタウンにする九州1位代表の地元・帆柱クラブの登場に沸いた。その帆柱クラブのキックオフで始まったこの試合、一番に見せ場は前半29分の三鷹のスクラムトライ。今季よりスクラムの組み方が4段階にルール変更になった利点をよく分析し、ゴールラインに対してまっすぐにFW8人の力をまとめ押し切った。ホームの歓声を一身に背負った帆柱FWを力づくで跳ね返すシーンだった。
そして、この試合を通じて「セットプレーの安定」、「ペナルティーに対する意識」、そして「相手への敬意」この3つの点が試合を象徴していた。
前半開始早々から突破力のあるNo.8紀、WTB下田が再三力強いアタックで三鷹ゴールライン間際まで迫るが、粘る三鷹ディフェンスのタックルの前に一進一退の攻防が続く。試合展開を占ううえでひとつのターニングポイントとなったのが、前半15分の帆柱のペナルティー。なかなかゴールラインを割れないフラストレーションからか、オフェンス側のオフサイドを引き起こしてしまう。この一つのプレーを境に、ようやく前半初めて三鷹が帆柱陣へ入ることになり、その後、たたみ掛けるように前半18分、29分、40分と3トライを挙げた三鷹が21-0で前半を終えた。
後半は風上に回った三鷹が開始1分WTB鈴木のダメ押しのトライを挙げ勢いに乗った。SO堀川の効果的にキックで敵陣深くへ進み、帆柱ボールのスクラム・ラインアウトにプレッシャーを掛け、ミスを誘う。ゲームプラン通りの試合運びを見せる三鷹に対して、帆柱も後半27分に帆柱陣22m付近での三鷹ペナルティーから速攻に転じ、WTB下田がタッチライン際を独走。ついに三鷹ディフェンス網を突破し、トライ(ゴール成功)。その後、39分、42分と合計3本のトライを挙げ、反撃を試みたが最後まで三鷹がゲームの主導権を離すことはなった。
この試合のペナルティー数は帆柱が11(前半6)に対して三鷹は8(前半3)。両チームともに反則をしない意識の高さが試合を引締め、一層見ごたえのある試合展開となった。特にボールの継続を阻害するネガティブな行為はなく、例え自チームが圧倒的に不利な状況下であっても反則をしない強い自制心を持ち、まっすぐに相手との勝負を愉しむ。相手ラグビーへの敬意をプレーで示すことの大切さこそ、クラブラグビーの「あるべき姿」だと改めて感じ、そして感動を持って観戦することができた。
そしてノーサイド後、この試合を担当された久保レフリーとタッチジャッジの長井レフリー・本宮レフリー・渡辺レフリーにすべての選手から賛辞の握手が求められた。
■一回戦
六甲クラブ vs ウルトラマンクラブ(1月13日)
3年連続4回目の組み合わせとなったこのカード。序盤は地元・九州開催に燃えるウルトラマンクラブの激しいタックルに、六甲は苦しんだ。試合が動いたのは前半20分。ウルトラマン陣5mラインアウトから、六甲FL・伊藤宏成が一瞬のスキをつき、先制トライ。26分には、ラックの連取からLO打出がわずかなほころびを見せた防御陣を突破して、ゴールポスト真下に飛び込んだ。
ウルトラマンクラブは攻め込むものの、ノックオンなどの手痛いミスが響いた。「前半に1トライでも返しておけば、試合展開は違うものになっていたはず」とウルトラマンの白石代表は唇をかんだ。後半に入ると、FWでプレッシャーをかける六甲が爆発する。0分、3分、26分、28分と立て続けにトライを奪い、試合の大勢を決めた。六甲WTB山本幸宏は、この日4トライの活躍を見せた。
ウルトラマンクラブは果敢に攻めるも、スクラム、ラインアウトなどのセットプレーで苦しんだ。それでも後半31分、35分と、こぼれ球からトライを奪い返し、スタンドに駆けつけたチビッ子応援団の声援に応えていた。「あの2トライで、ウチらしさは見せることができたと思う」と、衛藤主将は来年以降の雪辱を誓っていた。
会場の鞘ヶ谷競技場は、八幡製鉄ラグビー部の伝統が染み込んだ歴史あるグラウンド。前夜の雨でピッチの状況が心配されたが、九州協会のスタッフとグラウンド関係者のご尽力により、選手は最高の環境の中で思い切りプレーを楽しむことができた。
「今日は両チーム合わせた反則が12。クラブラガーマンらしく、互いに反則しないように心がけているのが分かりました。私も気持ちよく笛が吹けました」。試合後のファンクションで石本レフェリーがコメントした通り、熱くなり過ぎることもなく、互いに正々堂々とした戦いぶりであった。「ウルトラマンさんのプライドも背負って、明日の準決勝に臨みたい」と、六甲主将・伊藤康裕は言葉に力をこめた。
■一回戦
タマリバ vs 岡山クラブ(1月13日)
クラブ全国大会の幕が上がった。日本選手権へのクラブ枠をめぐり集まった8チームが、クラブチームならではの時間に制約を受けて週末で2試合のハードスケジュールをこなす戦いである。
クラブ創設55周年の長い歴史を誇る岡山クラブvs8年目を迎える若いクラブであるタマリバの一戦はそれまでの曇り空の不安を一掃するようなキックオフ直前の快晴の中行われた。
風下より攻めるタマリバが前半5分にSO竹山のパスから加速したWTB中村が左隅にトライ。さらに7分にペナルティから素早く展開してまたもや中村が40m近くステップワークを駆使して3人かわしてトライ。開始早々に試合の主導権を握る。
一方、岡山クラブは早い段階でPGによる得点を狙うが、失敗。ラインアウトでも強い風に制球力をなくし立ち上がりより苦戦。前半30分にラインアウトからの展開をラインにエクストラで入ったHO青山がスタンドの内側を突破、そのまま30mを走りぬきポスト真下にトライを挙げる。
風下スタートのタマリバであったが、前半中盤よりFB若野の連続トライ、ハーフタイム間際のWTB高木のトライと、見事にコントロールされたBKラインが前半だけでバックスリーによる5トライを挙げ、早々に試合の行方を支配。
2年前の雪辱を誓う岡山クラブは後半に入ってもNO8南元の効果的な突進などでタマリバゴールラインまで何度も迫るが、自陣ゴール前でのターンオーバーより95mを走りきった若野の本日3本目のトライで勝敗を確定させた。
試合後のファンクションパーティーでは岡山クラブ主将・斉喜選手より「クラブの代表として、日本選手権を目指してタマリバに勝って欲しい」との言葉が贈られた。
全国1,100のクラブ、それぞれの地域の代表、その中で真の代表を選ぶ戦いが始まった。(萬井淳)
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タマリバ vs 岡山クラブ |
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三鷹オールカマーズ vs 帆柱クラブ |
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六甲クラブ vs 不滅のウルトラマン |
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川南クラブ vs 北海道バーバリアンズ |