日本代表はアキレス腱断裂から復帰した大畑が右WTBに復帰、前半は主将としてチームを牽引。初めて結成されたアジア・バーバリアンズを前半の10点に抑えて大勝し、ワールドカップに向けた国内での活動をすべて終えた。

照明設備が完成、ナイトゲームが復活した秩父宮には大勢のファンが集った。両チームの選手たちは場内アナウンスの紹介で1人ずつピッチへ。その中でひと際高い歓声を受けた大畑が前半3分、さっそくファンを沸かせた。左ラインアウトから出たボールをSO小野が右ライン際の大畑へキックパス。キャッチした大畑は巧みなコース取りで日本に先制トライをもたらした。14分にもラインアウトモールからNO8佐々木がトライするが、その後29分にWTB小野澤が個人技でトライを奪うまで、多くの時間敵陣にいながらも無得点。アジアFWの反則や、両チームのミスで度々笛が吹かれる、スローな展開となった。それでも33分にディフェンスから切り返し繋いでCTB平が飛び込み、また前半終了前には小野がインゴールに転がしたキックを有賀が押さえて前半で31-10と差をつけた。

日本は後半も6トライを奪い無失点で切り抜けたが、ハンドリングエラーを連発、思うような攻撃は組み立てられなかった。しかし、FKからの速攻やスピードあるサイドアタックを見せたSH矢富と、冷静な判断と様々な種類のキックを見せた小野のHB陣はよくチャンスメイクしていた。

アジアは前半、日本人選手中心のFWがよく対抗したが、次第に相手のプレッシャーを受け多くの反則を取られた。その中で元日本代表・元木と香港代表ビスレーのCTBコンビは何度か日本のディフェンスラインを突破。前半36分には、SO廣瀬からのパスを横へ開きながら受けた元木が、走りこんできたLO谷口へ繋いで上げたトライは見事。

日本代表はこの後イタリアで合宿し、同国代表との試合を経ていよいよ9月7日を迎える。(米田)

リポビタンDチャレンジ2007
日本代表 vs アジア・バーバリアンズ

ラグビーワールドカップ2007 日本代表壮行試合

日本代表 69-10 アジア・バーバリアンズ   日本代表 69-10 アジア・バーバリアンズ   日本代表 69-10 アジア・バーバリアンズ

右からジョン・カーワン ヘッドコーチ、大畑大介ゲームキャプテン(前半)、佐々木隆道選手ゲームキャプテン(後半)
右からジョン・カーワン ヘッドコーチ、大畑大介ゲームキャプテン(前半)、佐々木隆道選手ゲームキャプテン(後半)

日本代表 69-10 アジア・バーバリアンズ
(8月10日(金)19:30 at東京・秩父宮ラグビー場)

◎日本代表
――期待していたことが見られましたか。
○ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「今日は今までのパターンと実行力を見たかったのですが、そこは見ることができました。この試合をやったことで自信を持って飛行機に乗れるというのは良かったと思います」

――ムーブは効果的でなかったようですが。
○カーワン ヘッドコーチ

「あなたはすぐコーチになれますね(笑)。まず、前半はラックに人数をかけすぎてムーブも効果的でなかったが、後半はフィールドラックから早く出せたと思います。ワールドカップでは始めの1分からフィールドラックを使って攻めていきたい」

――最初のトライは見事でした。復帰おめでとうございます。

○大畑大介ゲームキャプテン(前半)

「グラウンドに帰って来れてすごく嬉しいです。ファーストタッチでトライが獲れるとは思っていなかったのですが、最高のお膳立てを皆がしてくれたと思います。
元ジャパンの選手たちとやるのは楽しみだったのですが、ジョンさん(松田選手)も自分が退いた後半に出たので、接点がなかったのがちょっとさびしいです」

――前半、PGの狙える位置でスクラムを選択したのはなぜでしょうか。
○カーワン ヘッドコーチ

「まず、練習でやってきたことを試したかったのですが、ワールドカップではオーストラリア、フィジー、カナダ、ウェールズすべて違うシチュエーションを選択していくことになります。チャンスがあればPGも狙うでしょう。ワールドカップでは日本のラグビーでは20点差で勝つのは難しいと思います。PからGOの早い仕掛けもしたいと考えています」

――ワールドカップへのスタートをした感想は。

○佐々木隆道ゲームキャプテン(後半)

「ゲームの中ですぐに修正点を見つけて直せたのは良かったと思います。チームとしては最高の滑り出しとはいえなかったが、まあ、良かったのではないかと感じています」

――(18日に対戦する)イタリアとの力は接近していると考えてよいのですか。
○カーワン ヘッドコーチ

「まず、イタリアはトップ12に入ってくるチームです。ジャパンは力を全部出し尽くして、ようやく対等にやれると思います。イタリアの分析はしていませんし、準備もしていませんが、良い勉強になる試合と考えています。もちろん、目指すのは勝利ですし、勝ちにいきたいと思います」

――今日の収穫は。
○カーワン ヘッドコーチ

「お互いに学ぶべき点のあった試合だったと思います。相手のPからGOでイージーなトライを与えたのは悪かった点です」

――大畑選手の評価は。
○カーワン ヘッドコーチ

「大畑のカムバックにはおめでとうと言いたい。6ヶ月ビールを飲んでいないというのにも驚いたけどね(笑)。こんなに早く帰ってきてくれて彼の勇気に敬服しています。毎週、これから成長してくれるのが楽しみです」

――ミスも多かったが。
○カーワン ヘッドコーチ

「確かにミスは多すぎました。ワールドカップではああいうミスは命取りですから、ビデオを明日見て、修正箇所を点検し、改善していきたいです」

――今日のメンバーが開幕戦(9月8日、オーストラリア代表選)のメンバーですか。
○カーワン ヘッドコーチ

「メイビー(笑)」

――二つのチームでいくメリットと心配な点は。
○カーワン ヘッドコーチ

「まず、現在のジャパンは30名が均等の力を持っていると思います。若い人も6名連れていきます。現在、セカンドティアの国は中3日、4日という厳しい扱いですが、このことについては今後もクレームをつけていきたいです」

――これから30日でワールドカップ、ワラビーズ戦ですが、抱負は。

○大畑大介ゲームキャプテン(前半)

「正直、今日みたいな試合をやったらどうにもならないと思います。しっかり反省点を修正して、自分たちにできることを、一ヶ月やっていきたいと思います」

○佐々木隆道ゲームキャプテン(後半)

「何がだめで、うまくいっていないのかは選手が一番よく分かっています。1日も、いや、1秒、1秒を無駄にしないで準備したいと思います」

日本代表 69-10 アジア・バーバリアンズ   日本代表 69-10 アジア・バーバリアンズ   日本代表 69-10 アジア・バーバリアンズ   日本代表 69-10 アジア・バーバリアンズ

右からジェラード・ギャラハーIRBアジア地区担当、イ・ミョングン主将、坂田正影ゲームキャプテン
右からジェラード・ギャラハーIRBアジア地区担当、イ・ミョングン主将、坂田正影ゲームキャプテン

◎アジア・バーバリアンズ
○ジェラード・ギャラハーIRBアジア地区担当
「日本協会に、このような試合を準備していただき感謝しています。ジャパンに一泡吹かせたいと思って臨みました。ジャパンをアジアの代表として送り出すことと、アジアのラグビー普及を図るという点で意義のある試合だったと思います」

○イ・ミョングン キャプテン(韓国)
「いろいろな国の選手が集まり、正直、コミュニケーションの点で苦労しましたが、悪い試合ではなかったと思います。アジアの代表としてジャパンにはがんばってもらいたいと願っています」

○坂田正彰 ゲームキャプテン
「マレーシアで合宿して、いろいろな面で大変なことがありましたが、壮行試合としてはしっかりした試合だったと思います。責任を果たしきれたかというと疑問ですが、私自身、初めてのバーバリアンズとして良い経験になりました。また、アジアのラグビー普及という点でも良かったと思います」

――ジャパンの強さはいかがでしたか。
○坂田 ゲームキャプテン
「こちらのトライは、たまたまああいう形になっただけです。ただ、セットピースではバーバリアンズを粉砕するくらいのスクラムを組んでくれたら、もっと良かったのですが。ああいう試合になったのは、僕らにも責任がありますが、(経験から)ワールドカップではどれだけ熱い気持ちをもってやれるか、ですので」
○イ・ミョングン キャプテン(韓国)
「やっぱり強いです」